連載手紙風SS:6通目
『天才なぼくからきみへ100通の手紙』
雲の下で暮らすみんなへ
6通目の手紙です。『6』といえば、みんなは覚えていますか。ぼくの誕生月です。確か6月の誕生石は『ムーンストーン』という月の光のような石だった……はず。おねえちゃんが教えてくれましたね。図鑑を見せてくれたけど、ぼくはよくわかりませんでした。
ぼくは今でも、人間が宝石を集める理由がわかりません。ちょっとキラキラしているくらいで、舐めても味がしないでしょう? 食べられないものに、どうしてあんなにたくさんお金を出すのでしょうか。宝石を買うくらいなら、おいしいおやつを買ったほうがいいです。
ぼくはチーズとお芋のおやつが好きでした。おねえちゃんたちも好きだったでしょ? あまりにもぼくがおいしそうに食べるから「そんなにおいしいの?」ってこっそり味見していたこと、ぼくは知ってます。
あと、ぼくが空の上に行ってから、おかあさんとおねえちゃんがムーンストーンを買って、大切に持ち歩いていることも知ってます。
月と一緒に見守ってるよ。
空の上で暮らすぼくより
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