はしたない

30代

はしたない

30代

最近の記事

ちょうどいい

ワセダ三畳青春記 高野秀行 東京の早稲田にあるボロアパートの話。ほんの数年程度の話ではなく十年以上を紡いだ作品。 エッセイが好きだ。その人となりも見えるし、その人から見た周りの人物の描写が面白い。 描写というか本来のその人が持っている持ち味が面白い。癖のある住民たちがごった返して、さながら修学旅行といった感じだ。 もしくは寮か。寮生活はしたことがないのでわからないが、こんなにも日々混沌が重なるとストレスになりそうだ。だがそのストレスが、外でのストレスを忘れさせるような

    • 満ちてる

      週に1回、知らない人から電話がかかってくる。内容は特に当たり障りのないもので個人情報を聞かれることもない。電話も1分くらいで特に困っていることもない。ただ目的がよく分からない。どこかで聞き覚えのあるような声だが、誰かは分からない。不思議だとは思うが怖さはない。なぜかけてくるのか理由がわからない。聞かれたことを答えるだけでこちらから質問することはない。謎だ。

      • 26通り

        蜘蛛を見かけた。苦手だ。黒い点のような小さい蜘蛛ならまだしも白と黒のまだら模様が目に入る。 キモい。 昔も今も虫は苦手だ。虫を見つけるだけでほんともうテンションが下がってしまう。見た目も無理だが、動きが予測できないところがつらい。飛ぶヤツなんかはもうどうにもならない、降参だ。 昆虫図鑑なんてのも厳しい。小学生の頃、ジャポニカ学習帳には花や虫の写真が表紙に添えてあり、あれも苦手だった。 虫と仲良くなろうとかは考えられないしこっちが歩み寄ってもふらふらと周りを飛ぶだけだろ

        • 蓄積と体験

          フロムダスクティルドーンを久しぶりに見た。 見たのは三回目。 初めに見たのは二十歳の学生時代に一人で住んでいる友達の家にもう一人の友達と三人で見た。とても映画好きな友達でプラスチックの衣装ケースにDVDやBlu-rayが三ケース分あったのを覚えている。そんな映画好きな友達から見る前に「どんな映画が好きなん?」と聞かれ僕は当時、直近で見た「最近おもろかったんは、パルプフィクションかなあ」と答えた。考える間もなく友達は「フロムダスクティルドーンは見たことある?」と聞き、僕は「な

          白い夏

          朝と夜が最近涼しい。このくらいの心地よさが昔の夏にもあったが昔は昔、今はこの訳がわからない酷暑を毎年乗り越えなくてはいけない。 この酷暑のせいか今年の夏は食欲のなさと大量の汗によって体重が5キロくらい落ちてしまった。無駄な脂肪が落とされたと思うとこれでいいのだといった感じだ。第一誰にも気づかれないということは何も落ちていない気がする。体の何かが減ったということだ。こわい。 減ったといえばお昼ど真ん中に出ることは少なくなった。休みの日は朝一か昼過ぎ出ることが多い、このままじ

          勘違いさせよう

          とてつもない本を読んでしまった。この本は錯覚資産について語られている。錯覚資産というのは人々がバイアスのかかった状態で実績を思い浮かべてしまうこと。こうして言葉にしてみると意味が分からないが本を読んだ人なら分かると思う。 この本に魅了されてしまった時点で著者の錯覚資産の一部になってしまった感があるが、この多幸感は何だろう。まさしく今生きる世界がひっくり返る感覚に近い。世界は通常運転で廻り続けるが僕はそれに抗うわけでもなく俯瞰で見ている感覚がする。神になった気分というよりはF

          勘違いさせよう

          つるつる

          洗たく以外何もやるきがしない。外に干す時に風を感じる。外の空気を吸うのはここで完結、あとはせんぷうきの風を浴びるだけ。 こないだ野外フェスに行った。ひとりで行ったしアーティストたちもよくわからなかったが楽しかった。誰も人目を気にせず楽しんでるけど、皆が一体となってる感じ。その日からずっとぼーっとしてしまっている、身体に熱がたまっている感じ。暑い、暑すぎるんよ。 最近の高校生は8月の終わりにはもう学校が始まるらしい。ぼくも昔はそうだったかもしれないが、この暑さで通うとなると

          4時間前

          現在、夜中の22時。起床。いつの間にか寝落ちしていた。汗くさく、不快。寝る前の行動を振り返る。 18時ごろにYoutubeで見た豆腐チヂミという非常にヘルシーな響きの料理をつくり始める。30代に突入してから2年か経過し、こんなにも自分がエネルギーや糖質、たんぱく質など、目に見えないkcal、gに怯えて生活するとは思いもしなかった。調理過程をどう間違えたのか、できた料理はあつあつのごま油香る流動食になっていた。悲しいけど食べる。まだあずきバーも噛み砕ける咀嚼力もあるし餅を詰ま

          少人数パーティプラン

          外に出たいが暑すぎる。映画やアニメをタブレットでたくさん観ている。休みの午前中に洗濯機を回しタブレットでアニメを観ていると窓の外は雲ひとつない青空が広がっている。気持ちよさそうだな。外にでようか。 梅田を暑い中人混みにまみれながら歩いて歩いて商業施設に入る、冷たいクーラーの風がぼくを冷やすが、汗がドバーッとでてくる。二の腕のベトベトが不快で、汗臭くないか不安。不満充満で本屋を3軒まわるが何も買わなかった。 夏に屋内から出るときにムワッとする感覚、空気の悪い感じが昔よりも少

          少人数パーティプラン

          パキパキ

          日中、目がバキバキだ。こう書くと血走った目を想像すると思うが、そこまで深刻ではない。だからといって頭が冴え渡ってハイな気分でもない。バキバキというよりパキパキが正しいのかもしれない。 目がパキパキなのは、睡眠を分割しているから。睡眠時間はいつも6〜8時間。分割前は早くて22時か日付が変わるくらいには寝て、朝の6時か7時に目覚める。 分割後は異なる。20時には寝て24時に目覚める。そこから目が覚め4時くらいにまた寝る。睡眠を分割しているのは自分だけではないと思う。昔の偉人で

          口内炎と涙

          Q.決められたことをするのは簡単ですか? A.レールの上をまっすぐ間違いなく、進んでいく、目的もなしにするのは難しいし、決められたことの程度にもよる。「決められたこと=慣れたこと」ではない。だから慣れたことを決めていくのが簡単。 Q.じゃあ慣れてないことはどうするの? A.どんどん失敗すべきだわ、失敗して慣れていこう。でも失敗という漢字を見るだけで辛い、だからエラーに置き換える。僕はエラーしていく、出直していく。 Q.具体的なエピソードをどうぞ。 A. 1週間前から

          口内炎と涙

          ヤバい奴に会った

          昨日「噛みあわない会話と、ある過去について」という本を読み終えた。短編集だが題名のテーマに沿った短編集。短編集の感想を書くのは困難だ、全体を書くとなんだか感想がぼやけてしまう気がする。なので初めの一編だけ感想を書いてみる。 「ナベちゃんのヨメ」 ざっくりあらすじ ”大学時代のコーラス部の仲間、ナベちゃんから結婚報告のメールが届く、その文面からヨメがヤバい人ではないかと他のコーラス部の仲間が言う” ざっくりかんそう ”街にいるヤバい人には関わりたくないけど、檻や柵があ

          ヤバい奴に会った

          オールシェア

          昔はご近所付き合いというものがしばしばあったみたい。僕の生まれるずっとずっと昔のことだと思う。具体的に何年代かはわからない。コンビニもないような時代、デパートの屋上に小さな遊園地があった時代。ちびまる子ちゃんの世界が近いのかな。ひとまずそういう時代のそういう世界。 夕飯の支度をしている途中、調味料が切れてしまった。そういった場合、スマホで家族に連絡したり、近くのコンビニに買いに行くことは昔はできなかった。通信手段を持ち歩いてはいないし、24時間営業している小売店はなかったか

          オールシェア

          定食

          月に一回程行く定食屋さんがある。いつも夕飯の時間に行くのだが大概混んでいて店頭で中を覗き入るかどうか定める。混んでいたら諦めるし空いていそうなら入る。絶対に食べたいほどではないが食べると満足度は高い。今日は空いていそうだったので中に入る。この店は美味しいし、接客も悪いところはなかったが、ずっと抱いていた違和感というか居心地悪さをようやく知ることができた日だった。 どこらへんに違和感や居心地悪さを感じていたかと言うと、カウンターと厨房の間隔が近くて困る。そう常日頃、思っていた

          もっとぼかして

          先月カセットテープをネットで購入した。送料が安くなるので、まとめて5本も購入した。ネットには衝動買いの魔物が潜んでいることをあらためて感じる。 再生機を持っていなかったので、カセットプレーヤーも購入した。ポータブルタイプのカセットプレーヤー。スーパーに売っているエリンギが2本入った容器くらいのサイズで、スマホやmp3プレーヤーと比較するとボタンが出っ張っていてゴツゴツしている。ズボンのポケットに入れてしまうとパツパツになるので、カバンに入れてイヤホンを垂らして聴いている。

          もっとぼかして

          町の住み方(あるいは住処か)

          いつもとは違う離れた土地で、なんだかノスタルジックな町に降り立つ(普通の町だったけどね)RPGのような町づくりだったが(いや、だった気がした)僕から見える教会は教会ではないだろうし、僕から見える道具屋は道具屋ではないだろう。「ああここに住みたいな」と思ったが数時間ほど町に滞在しただけ、時期尚早の極みで浅はかを覚える。 しかし住めば都とはよくいったもので、僕らはこの国すべての町をまわることは不可能であり世界レベルにもなると考えるだけで寿命が尽きてしまいそうだ。なんとなく僕らは

          町の住み方(あるいは住処か)