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億劫

ディスポーザーを交換した日。家内がかねてから気になっていたことが、2つあるという。

1つは、浄水器の移設。そしてもうひとつは、長男が部屋を次女のいた部屋に替え、その時に約束した、テレビなど、AV機器関係の移設である。

そこで、今から、できるならば、その2つ。やってほしいという話で。ミッションが発動された。




私の目の前には、いつもの、マイクロテープが置かれている。


お疲れ様。コジくん。

今回のミッションは、ずっとアラームが鳴りっぱなしになっている、浄水器のフィルター交換を、実行して欲しい。

コジくんが、面倒で後回しにしていたことだ。このミッションは、この家でコジくんだけが遂行できるお仕事である。分かっているとは思うが、途中で挫折したり、スルーしてフィルターを隠したりして証拠隠滅を図るような、エージェントにあるまじき行為だけは、決してしないように。


例によって、君、もしくは君のメンバーが捕えられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。



ぷしゅ〜。


目の前のマイクロテープは、跡形もなく消滅した。


シンクの下の隅っこで、エージェント・コジを待つ浄水器


この浄水器。シンクの下の狭いスペースに格納されていて。棚を外したり、戻したり。そして何より、作業スペースが低くて狭くて、如何ともし難い。

年末からフィルターを交換せよと、浄水の蛇口を捻るたびにアラームがけたたましく鳴り。それを数ヶ月間放置していたのだ。



心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。

まず、ひとつめ。観念して、やるか。



業者の人が、だいたい片付けたが、まだ時間も経っていなくて。棚を外すのは、さほど億劫ではない。

私は、とうとう重い腰を上げ、作業に入った。


すると。


ディスポーザーが小さくなり、作業スペースが若干広くなったこともあり、着々と作業は進み。前回は、半日がかりだった作業が、僅か30分程度で片付いた。



一段落して。家内が私に、声をかけてきた。


ちょっと休憩したら?お茶でも飲む?


ハイと言うまもなく、コーヒーとまんじゅう半分が出てきて。どんと、御御足おみあしが、投げ出された。


で。


コジくん、案ずるより、揉むが易し。


マッサージをすると、家内は、上機嫌になる。




だから。



これで、いいのだ。





■追記■
面ゆるって、なに?
それは、これ。西尾さんはじめ、みんな、面白い作品をあげていて。
私は、だいたい土曜日の夜に、そこそこの過去記事をあげています。
もしも、お時間があれば、みんなの作品、読んで頂けたら幸いです。





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