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違法の冷蔵庫【ショートショートnote杯⑤】

雷蔵は、発明家だった。ある日、変わった機能を持つ冷蔵庫を発明した。それは、一晩寝かしておくと、ひとりでに食材が満載になるというものだった。

だが、その食材がどこから補充されるのかは、雷蔵にもわからない。つまり、仕組みの解明できない偶然の産物だった。

ある日、隣の家の風蔵がやってきた。夕食を一緒に食べることになり、料理上手の風蔵が食事を作ることになって、冷蔵庫を開けた。

その瞬間、風蔵の手が止まった。

「雷蔵よ。この食材は、どこから持ってきた?」

「風蔵。それが、謎なんだ」

「雷蔵よ。俺の家の冷蔵庫は、毎日少しずつ食材が減ってる。つまり、俺の冷蔵庫から、ここに、まあ、盗まれているってことだな。間違いない。」

雷蔵は、絶句した。

そして、こう言った。

「魔法の冷蔵庫だと思っていたが、とんだ、違法の冷蔵庫だったか。人様の食材から補充するとは。」


その後、雷蔵と風蔵は、かかる費用を平等に負担し、庫内の食材を共有していくことで手を打った。

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