弥生
3月の最後の週の日曜日は、我がマンションでは、ある行事がある。
それは、ふるまい餅という。
その頃、家内は仕事で出張に出ていて。長女は外出していて。取りに行くのは、だいたい、私ひとりである。ご多分に漏れず、今年も、そうなった。
そして。
長女は夜遅くなり、帰宅しないと連絡があった。
ふるまい餅、気にはなっていたが、置いておくしかなく。
翌日、また、夜遅くに長女は帰宅してきた。
「なんだ、コジくん、食べなかったの?」
2年前、長女が申し込んでくれたのである。それを家内が、置いておくと餅は固くなって食べられないからと言って、私と半分こで食べ切ってしまったのだ。
当然、長女は夜遅くに帰宅してきて、残念がった。
「私が、申し込んだのに!」
その思い出があるから、ひとりで食べることはできなかった。
固くはなっていたが、レンジでチンしてみると、柔らかくなった。
長女はそれで食べて、こう言った。
「美味しい!」
私は、家事のキリがつくまでやり、再び固くなってから、ひとり、深夜に食べた。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
2年前をを思い出すなぁ。
長女が美味しく食べてくれれば、申し込んだ甲斐があるというものだ。
ふと、そんな思いがした。
そんなこんなを家内に語ろうとしてソファーをみると、家内が笑って脚を指さして笑って言った。
たかが、ふるまい餅。されど、ふるまい餅。
いつものミッションの発動だ。きちんと、夜のミッションに勤しもう。
マッサージをすると、家内は上機嫌である。
家内が上機嫌だと、我が家は、明るくて平和である。
だから。
これで、いいのだ。
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