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あざ

私は、月に一度、家内の髪染めをしている。だが、その機会がなくなりつつあるという話を、少し前の記事で書いた。

前回の髪染めからそれほど経たない、2月の末の週末だった。しばらくまともに帰宅できないから、髪染めをしてほしいと家内から申し出があった。



心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、つぶやいた。

髪染めをやってほしいなんていわれるなんて、珍しいね。


ここ2ケ月ほど、家内は、美容室でプロにやってもらっていた。だが、忙しすぎて、それすら、行けなくなってきたのだという。

だから、月曜日の夜に髪染めをしてほしいのだという。


月曜日。定時きっかりに退社して、早めに帰宅して。家内と一緒にドラッグストアに立ち寄り、ヘアカラーを購入して、久しぶりに、やってみた。

確かに根っこが、もう、白かった
よしよし、うまく染まったぞ


まずまず、出来たように思った。ムラは無かったはずだ。だが、染め終わり、お風呂で流し終わって上がってきた家内に、長女が笑いながら言った。

まるで、炭次郎だね。

私の髪染めは、ちょっと、はみ出してしまうのだ。だから、髪がかかる、顔の端っこに、髪染め剤が、着いてしまう。

確かに、炭治郎のあざのようになっている


鬼滅の炭次郎は、戦闘のときの傷か何かで、顔にあざがある。

長女は、そのことを例えに、私の至らなさを、笑った。


家内は、翌日から、日曜日の夜くらいにしか、帰れない生活になる。あるプロジェクトに参画していて。夜遅くまで働き、事務所の近くのホテルに泊まる。そういう生活が、しばらく続く。


心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、つぶやいた。

髪染め師などと、慢心しているからだな。

もう少し、丁寧にやらないと。


そうだな。今度は、もっと丁寧に、やろう。


家内がいないと、マッサージをやることは、ない。

楽だが、寂しい気がする。


夜、ふとんに入って。

ひとり、灯りを消す。


灯りが暗くなるフェードアウトが、本当の夜のとばりを連れてくる。


淡々といこう。


家内は、LINEでは、無事で元気なようだ。


だから。


これで、いいのだ。

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