抜糸
土曜日は、術後の抜糸だった。朝から雨で、家を出る時にはかなり本降りになってきた。空の様子から見て短時間だろうとは思われたが、躊躇無く車を使うことにした。
ほどなく病院に着く。受付に診察券を出すと、受付の女性がいつものように、アルコールポンプを指さして優しく言う。
手を消毒してくださいね。
私は素直に笑顔で、はい、と言って手を消毒する。そしてほどなく診察室に呼ばれた。
朝の挨拶をしつつ診察室へ。抜糸はすぐに済んだ。ただ、顔はできるだけ壁を向くようにと言われていたこともあり、先生との会話も必要以上はしない。看護師さんとも不要なやりとりもせず、ちょっとだけ長めの、抜糸という名のいつもの瞬間診療は終わった。
今度の診療は、病理検査診断の結果報告。8月最初の月曜日の夕方に予約してある。
予約時間を確認し、会計を済ませて出ようとすると、もうひとりの窓口の女性が顔を出して笑顔をくれた。そう言えば手術の日から、受付はひとり増えて2人体制になったのだ。最初からいる背のちょっと低めの女性と、新たに来た、ちょっと背の高い女性。
私が挨拶して出ようとすると、2人とも最高の笑顔で送り出してくれた。
では、また、来週。お待ちしています。
ここまできちんと笑顔で患者を送り出す病院は
なかなか無いだろう。挨拶がコンビニのように聞こえたのは、きっと気のせいだろう。気持ちよく私は笑顔で病院を後にした。
車に乗り込とうとした私は、雨上がりの空を見上げて思った。あの気持ちの良い受付の2人。ポプテピピックの2人に似ていた。