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小説『雨上がりの虹』

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小説『雨上がりの虹』第一章(愁視点)ー下ー

【9】

 数時間かそこらが経った頃合いだろうか。 

 空の色は青みが増し、藍色の空に橙色の雲が混じるような時刻になっていた。

 愁たち二人は、さっきと同じ場所にいた。クールダウンに、だいぶ時間を要していた。

 天使野郎、もとい「なぜか羽の生えた元人間野郎」は、蚊の泣くような声で俯いてつぶやいた。

「もっと人間でいたかった」

「……」

愁は、素直に言うなあと思った。そして、肯定した。

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