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中野奏人
2018年11月11日 16:58
【9】 数時間かそこらが経った頃合いだろうか。 空の色は青みが増し、藍色の空に橙色の雲が混じるような時刻になっていた。 愁たち二人は、さっきと同じ場所にいた。クールダウンに、だいぶ時間を要していた。 天使野郎、もとい「なぜか羽の生えた元人間野郎」は、蚊の泣くような声で俯いてつぶやいた。「もっと人間でいたかった」「……」愁は、素直に言うなあと思った。そして、肯定した。