4/20【雑感】既得権益や根回しは日本を鈍感にさせる

先日の話です。普段は本を発売日に買うことはないのですが、楽しみにしていた一冊があったので書店へ行きました。が、しかし!まだ入荷には3日かかるというのです。え?もう売り切れたのですか?と聞くと、東京で発売されてから3日かかるものなんです。と言っていました。この時代になっても東京と地方で本の発売日があることにびっくりです。そりゃ本屋はネット通販や電子書籍に食われるわけです。

このような仕組みになっている理由はいくつかあるようです。一つは、出版社から書店に本が到達するまでに取次会社を挟むこと。Amazonにはこれがないわけですね。それでも、大手の本屋は在庫センターの整備を進めてきたので以前より状況は良いようです。店舗間での連携もあるのでしょうが、それでも限界はあるのでしょう。本の流通にはあまりスピード感を求められないという特質も関係しているかもしれません。スピード感より安定供給を重視している、という元書店店員の説明も読みましたが、正直ネット通販でも十分な安定感を感じてしまいます。

調べてみて背景は少しわかりましたが、冒頭に述べた私の驚きが、素直な消費者の感覚でしょう。私の働く業界でも一緒なのです。安定したシェアを持っていた企業が支配していた市場は、スピード感を出せる販社が出てくるとある程度のシェアを食われます。ある程度食われるだけで終われば良い方で、酷い場合はあっという間に立場が逆転します。当然、元から居た企業は変化を求められます。それで競争が正常に働くわけですから。

しかしどうも、日本の企業というのは合理的に変化をしていくことよりも、根回しで既得権益を守る発想に至ることが多い様です。自社の利益を減らしてでもシェアを守りにいく。売上至上主義の弊害です。日本の変化速度が遅いことを先日の記事で指摘しましたが、遅れをとる理由がまさにこれです。競争を避け、利益を小さくしていくことは経済成長の数字を鈍化させます。しわ寄せが卸メーカーから資材メーカー、原料メーカーへと波及しますから、経済全体の成長スピードが鈍ります。経済成長のロスに繋がります

※経済成長のロスに関する記事はここです。

【コラム】優しく噛み砕いて「経済成長」を解説する

このように書くと、実店舗を構える本屋も必要だ、という意見が必ず出てきますが、そんなことを話しているのではないのです。実店舗の本屋が必要かどうか、というくだらないニ極論の話ではなく、まだまだ時代の進歩を受け止められない業界が多い、ということを指摘しています。せっかくマイナンバーカード制度が出来たのに、普及率はたった15%だそうです。一気に変化させるべきところはさせていかないと、あっという間に世界での立ち位置を失います。

日本が変化を好まない、決定力に乏しい国になっている理由を、単純な国民性にだけ求めてはダメなのです。日本人的な陰湿な根回しとチャレンジ精神の欠落が経済にどのような悪影響を与えているかに焦点を当てないと、経済的にだけでなく、精神的な貧しさも加速させていまいます。良いところは残すにしても、行き過ぎた性質には歯止めをかけるべきです。コロナ騒動があってもなくても、最低限度2023年には新時代に突入してもらわないとなりません。その可能性はまだ生きていると思いますから、もう一度だけ信じてこの3年を過ごすしかありません。

さて、先週末頃から多くの銘柄の株価は目先の高値圏に入ってきました。経験上、セルインメイのアノマリーはよく当たる印象があるのです。もう5月は近く、個人的には警戒を強めています。大きく売るためにはまず買いを誘導しますから、無駄に高値で買い過ぎないようにしなければなりません。

一応、金や原油の値動きは観察しておきましょう。市場に不安が残っていれば金が買われるし、原油価格が不安定なままではやはり経済が安定しません。WTI原油は14ドル台に入りましたから、そろそろ買っていこうと思います。

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