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2022年を振り返って。国内ソーシャルリスニングに関する新しい変化と展望。

みなさんこんにちは、ソーシャルリスニングBlogです。
今回は、2022年の総決算ということで、Ipsos SIAが見てきた日本国内におけるソーシャルリスニング界隈の動きと今後の展望などを中心に、1年を振り返りたいと思います。

以下、対談内容の書き起こしです


井出:
皆さん、こんにちは。
SIAの井出と申します。普段はnoteでブログという形で皆さんに発信しているんですけども、今回はちょっと新しい試みとして、音声でも皆さんに色々と発信してみようということで、今回こういう形で音声ファイルの形式を取らせていただいております。

本日はゲストに来ていただいております。私と同じチームで恐縮なんですが、山崎さんです。

山崎:
よろしくお願いします。SIAの山崎と申します。本日は井出さんのnoteに出張してきました。井出さん、お邪魔します。

まずはこちらのnoteの簡単な紹介から入ってみたいと思います。では、井出さんはこちらのnoteを今年から始められたと思うんですが、こちらのノートは井出さんにとってはどんな位置づけなんでしょう?

井出:
僕のnote自体はまだ初めて半年ぐらいで、今年の夏ぐらいに始めたものです。まだ記事も十ちょっとぐらいなので、まあそんなに情報を積み上げているっていう感じでもないかなとは思っています。その時その時で、関心のあることを発信しています。

一番最初の記事にも書かせていただいたんですが、個人的にはソーシャルリスニングをやってる人間って、まあ調査会社だったりとか、事業会社の中にそれぞれいると思うんですけども、ソーシャルリスリングっていうものに関しての情報発信というか、横のつながりみたいなものも含めて情報発信はあんまり日本では活発ではないなぁって思っていて。それぞれの場所で、それぞれの担当の人が、それぞれ工夫をしながらやっている、みたいなところが現状なんじゃないかなと思っていました。

そういう中で、もうちょっとリスニングに対しての情報というか、取り交わされる量というか、流通する量みたいなものを増やしていけるとソーシャルリスニングをそれぞれの場所でやっている人たち同士も、横で繋がれるキッカケになるんじゃないかなと思って。まずは自分から発信してみようというところが、このnoteを始めた発端になっています。

山崎:
なるほど、ありがとうございます。我々も日々仕事をしている中で、我々がやろうとしているソーシャルリスニングについての情報がなかなか入手できないっていう難しさがありますので、そのあたりの解決ということですね。

では、本日のお題に戻りまして、さっそく今年2020年を振り返ってみたいと思います。SIAチームですが、チームとして独立してから確か3~4年経つんですね。改めてそこを振り返って、今年の特徴的な動きっていうのは何かありますか?

井出:
そうですね、特徴的な動きは本当に色々あって激動の一年だったなぁと。毎年激動ですけど、激動の一年だなと思っています。SIAのリードという立場で、クライアントさんの動きだったり、業界的な動きだったり、技術的な動きだったり、またはチームのメンバーの動きみたいなものも、本当にいろんな激動があった一年だなという風に思っています。

特に私のこのnoteを読んでいただいている方だったり今回のこの音声を聞いていただいている皆さんは、おそらく何かしらの形でソーシャルリスニングに携わっていたり事業会社の中でリサーチですとか、ソーシャルリスニングにご関心のある方が多いんじゃないかなって思うので、その意味で調査会社から見たクライアント様側の動きみたいなところにちょっと目を向けてみるとソーシャルリスニングっていうのをこういう場所で使っていきたいよね、っていうのが見えはじめている、見えはじめの動きのあった一年っていうのが大きな動きの一つかなと思っています。

数年前とかはソーシャルリスニングって「ツイッターの投稿がバズった」「バズらなかった」以上のものは何が取れるんですか?みたいな意識がわりと主流だったかなと思っています。その時期から我々としては、もっと消費者の意識だったりとか、そういったものを取っていける手法だよねっていうことは発信してんですけども、ここ一年ぐらいはそれを踏まえた上で、じゃあソーシャルリスニングをこういう風に活用していこう、ですとか、こういう場面でこういうリサーチ的な役割として、ソーシャルリスニングを位置づけていこう、みたいな動きがクライアント様の一部で出始めているっていうのが、大きな動きかなと認識しています。

山崎:
ありがとうございます。
そうですね。外部要因、内部要因、クライアントさんの要因にいろいろと変化が大きかった一年かなと思います。クライアントさんの立場から、ソーシャル分析から得られるインサイトを自らのビジネスに利用するわけですけれども、その利用方法の進化という点ではどういった変化が今年に見られたと思いますか?

井出:
一番大きな進化は、我々がディスカバリーっていう風に呼んでいるんですけども、ソーシャルリスニングから何かビジネスの次の新しい一手を考えようみたいな、大きな閉塞感的なものを打開しようみたいなところに使われるようになった、使われるようになり始めている、というのは大きな変化かなって思っています。

で、もともとソーシャルリスニングって、いわゆるソーシャルメディア上で、自社のブランドがどういう風に語られているのだとか、自分たちの公式アカウントから発信している投稿がどの位インパクトを生んでいるの?だとか、SNSのツイッターのキャンペーンをやったけども、それってどのくらい効果があったの?みたいなところは従来からソーシャルリスニングというものの分かりやすい利用方法として、また間違いない利用方法として、ずっと続けられているかなというふうに思うんですけども、そこに加えて新しいトレンドの兆しだったりとか、少しニッチだったりエクストリームなケースから次のビジネス開発のヒントにしていこうだとか、そういったところに目を向けられるようになったっていうのが大きな進化のひとつかなと思っています。

山崎:
ありがとうございます。
そうですね。我々イプソスが日々やっている調査も、スピーディーなサービスの提供を心掛けてはいますが、ソーシャル分析のスピード感はちょっと次元が違う形でインサイトの発見をライブにして行くみたいなところはメリットかなと思います。

ユーザークライアントさんって一口で言っても、いろんな立場の人がいると思います。マーケティングリサーチを行う部門以外にも、コンシューマインサイト統括するような方やブランドマーケティング、特にデジタルマーケティングを担当される方とか、色々な方々がソーシャル分析のユーザーとして携わっていらっしゃると思いますが、日々イプソスが一般的なマーケティングリサーチで直接関わらせていただく方とは、ちょっと雰囲気が異なる個人的な印象を受けたりします。その点について井出さんから見るとどういう風に感じられますか?

井出:
ソーシャルリスニングっていう言葉もう本当にいろんな側面を持っていて、いわゆるデジタルマーケティングを主戦場としてお仕事されている方とか、あとVOCをやられている方、あとは我々がよくお付き合いさせていただいているリサーチ部門の方のところで、わりとニーズだったり、ソーシャルリスニングに関して、どんなことをしたいかとか、どういう分析をしなくてはいけないか、みたいなところは結構違ってきてるなあっていう印象を受けてます。

ちょっと話はずれるんです。私のブログでもソーシャルリスニングって一言で言うと、ちょっと解像度が粗すぎるよねっていう話をで、もうちょっと細かい分解で名称しないといけないんじゃない?みたいなことを記事にあげてたりするんですけど。

例えば、もうデジタルコミュニケーションの方だと、どうしても直接的に普段の投稿がどのぐらい反応があるのかですとか、キャンペーンとかイベントのイベント施策がどの位の話題性を生んでいるのかみたいなところがやはりKPIになってくるので、そこのKPIがどの位上がっているのか下がっているのかですとか、その上がった要因や上がらなかった要因って何?みたいに。それから次のイベントの企画だったりキャンペーンの施策に活かしていこうというのがメインのエリアになっているので、そこに対してソーシャルメディアの情報というのをわりと直接的に使っていく、というところが主要な使いどころかなと思っています。

山崎:
そうですね。デジタルマーケのキャンペーン施策の効果測定といったような領域はソーシャルリスティングの王道の利用領域だと思います。
たとえば、それ以外に、コールセンターのようなVoCを扱われる方々も、わりとソーシャルリスニングをお使いになられている方が多いんじゃないかというふうに見えたりします。

SIAが目指すソーシャルインテリジェンスというサービスがあると思いますが、その領域はわりとVoCを扱われるコールセンターのアプローチと近いところもあるんじゃないのかな?なんて思ったりします。

井出:
そうですね。おそらく少なくない事業会社様たちがソーシャルリスニングっていうのがVoC活動の一環みたいな風に取り組まれているところも少なくないのかなっていうふうに思っています。
その場合には基本的には自社のブランドとか製品名というのが主語になってデータを集めてきてそこに対して何かネガティブな発言がないかとか、なんかちょっと困っているところがないかとか、アクティブサポートみたいなニュアンスも含めてVoC活動の一部としてやられているかなというふうには思っていまして。
その意味ではある種の直接的な炎上監視っていう一言で片づけるとちょっと違うかなと思いつつ、自社のブランドとか製品に対してどんなポジ/ネガがあって、製品開発や製品改良に繋げるとしたらどんなことがあり得るかみたいなところをVoC部門から発信したりするところも、一部のクライアント様は取り組まれているかなと思っています。

特にこの一年はそこをさらに踏み込んで製品とかブランド名ではなく、もう一個大きなカテゴリーで消費者の動きっていうのを捉えた上で、ビジネスにVoC部門からどうインプットしていけるかみたいなところまで取り組まれているクライアント様は出てきてるっていうのは、本当に2021年とか2020年とかにはそういう動きはなかなか見えなかったところだったりするので。そういう意味では、そこも大きな変化の一つかなっていうふうに思っています。

山崎:
初めに挙げていただいたような、アイデア探索やディスカバリーに加えて、効果測定ですとか炎上関心といった用途を越えたところで消費者のインサイトを深掘りして行くところは私たちSIAが目指すソーシャルリスニングサービスとの方向とも合致してるかな、と思います。一段レベルが上がってきていると言うか。

井出:
レベルが上とか下とかっていう議論の言い方があまり無いのかなとは思いつつ(笑)。
まあ複雑さとか分析のややこしさみたいなところで言うと、もう一段複雑さのレベルは上がってるかなとは思いますね。いろんなやり方があって、ソーシャルは宝の山だという風に言われることが多いんですけれども、そこからその宝を見つけ出すっていうのが、なかなか骨の折れる作業だなって言うのが正直思いますね。宝の山になってるんですけど、それ以上のゴミがいっぱいあるので、ゴミをいかにかき分けて宝に辿り着くかっていうところが腕の見せ所ってところですね。

山崎:
弊社が使ってるSynthesioというプラットフォームもAIやMLを使って、そのあたりのデータ解析のサポート機能はだいぶ充実してきた一年かと思います。ちょっと宣伝ぽいですが(笑)。

イプソスという会社がお付き合いさせていただいているクライアントさんに目を向けてみますと、リサーチ部門の方と取引することも結構多いかと思うんですけれども、リサーチ部門におけるソーシャルリスニングの変化っていうのは何か感じたことがありますか?

井出:
そうですね。リサーチ部門に関しても、大きく二つあるかなと思っています。
一つはいわゆる従来型のリサーチでカバーしていた領域から超えて、もう一つブランドですとか社内に新しいビジネスの次のアクションを提案型で持ってこいみたいなミッションを課されるようになっているリサーチ部門も少なくないのかなというふうに思っています。
そういったところで、先ほどのVoCのところとも絡むんですけど、我々がディスカバリーって呼んでいるようなアプローチをご提供さしあげたり、また場合によってはそういったものを事業会社様の中で自らできるようにサポートするみたいなニーズもあったりしますので、そういったところが一つ、大きなリサーチ部門の流れかなというふうに思っていて。

もう一つはソーシャルリスニングって言うとただTwitterでこれがバズった/あれがバズったというのを見るだけではなくて、消費者のいろんな側面っていうのをSNSデータを通じて見ることができるものだよね、という理解は進む一方で、じゃぁ、その新しい手法を既存のリサーチのフレームワーク、既にやり取りしている枠組みの中の、どの部分にどういうふうにインストールして行くと全体最適になるのかっていうところに意識が向けられているクライアント様も少なからず出てきたかなっていうふうに思っています。

ここに関しては、まだ充分に我々の方で全体の調査のスキームとしてどうあるべきかみたいなところまでの大きな話としてサポートしきれない部分があって。これはこれから来年を含めての課題だなという風に思っているんですけども。そこの部分に意識が向くようになったっていうところが、二つ目の大きな変化かなというふうに感じています。なるほど、そうですね。やはり今あげていただいたような二点あたりが、来年のソーシャル分析の活用に向けた好機になるような感じがしますね。

山崎:
なるほど、そうですね。やはり今あげていただいたような二点あたりが、来年のソーシャル分析の活用に向けた好機になるような感じがしますね。

はい、なかなかこちらの音声では語り尽くせないこともありますが、noteに井出さんが上げられている記事等も参考にしていただきながら、いろいろとソーシャルリスニングについて共に進めていただきたいと思っております。井出さんから何かもう一言ありますでしょうか?

井出:
そうですね、私のブログも細々とやっているものなので、この音声を聞いて頂いてる方は、もしかしたら何度か記事を読んでいただいている方も多いのかなと思うんですけど。ソーシャルリスニングがまだまだ伸びしろのある領域かなって思っていますので、今後も我々の方で新しいご提案だったりとか、新しいチャレンジだったりっていうのを続けて、どんどんこの領域をアップデートしてクライアント様の皆様にいろんな新しいバリューをご提供できるように頑張っていきたいなと思っております。

分析サービスをご発注していただく以外にも、我々のノウハウをご提供するみたいなプロジェクトの立て方ですとか、いろんな形があります。
我々はリサーチを案件として受けたいっていうこともビジネス的にはもちろんあるんですけども、むしろ、日本のマーケティングとか日本のリサーチっていう領域の中で、ソーシャルリスニングっていうものの社会実装をもっと進めて行きたいみたいなことを大きなビジョンとして持ってますので、そう言ったところでご興味のあるクライアント様がいらっしゃいましたら、いろんな形でお気軽にお声掛けいただけるとうれしいかなというふうに思います。

ブログの方でも年末のご挨拶的なことはもう差し上げてるんですけど、今年一年ありがとうございました。もしコメントとか頂けるとすごい喜びますので、ぜひぜひよろしくお願いいたします。

山崎:
色々と挑戦の多い領域を楽しんでいるメンバーの雰囲気が伝わりましたでしょうか?長い時間お聴きいただきありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

井出:
よろしくお願いします。



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