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ソーシャルリスニングって呼び方そのものの解像度が低いのかもしれない

みなさん、こんにちは。ソーシャルリスニングblogです。
今回は、そもそも「ソーシャルリスニング」と聞いて何がイメージされるのだろう、を考えてみたいと思います。

ここ数年はソーシャルリスニングを本業としています。
その中で、異業種の人だけでなく、同じマーケティングリサーチの人と話をすることもあります。その時、「ソーシャルリスニング」どういうニュアンスで使っているのかが、人によってけっこう異なるのかもしれない、と感じていたからです。

ソーシャルリスニングの広い定義

ソーシャルリスニングの定義を広い視点で考えてみると、

SNSデータを使って何かビジネスにインパクトを生ませようとする活動

といった形で定義できるような気がします。

自分が行っている、また、このblogで投稿している内容も、この意味での「ソーシャルリスニング」といって違和感は感じません。

ただ、同じ定義でありながら、リサーチ界隈、マーケ界隈、VOC界隈、テック界隈などで、けっこうイメージするものが異なるのではないでしょうか。

また、同じ言葉を使いながら別のものをイメージしてしまうことで、けっこうコミュニケーション上のミスマッチが起こっていたりもしそうです。

それぞれの界隈のソーシャルリスニング

同じソーシャルリスニングであっても、実際のバリエーションには以下に挙げるよな種類があるように思います。

  1. 炎上監視やアクティブサポート

  2. SNSマーケティング施策の効果測定

  3. 消費者インサイト発掘、アイデア発想

  4. SNSデータの統計的処理とシステム連携

私自身は、マーケティングリサーチ会社の中でソーシャルリスニングを行っているので、「3」と「2」に軸足があります。

ただ、この「3」や「2」の意味でのソーシャルリスニングに関するお話をクライアントさんとしようとする時に、「1」のことだったりすることも結構あったり、ソーシャルリスニングといったら「2」のイメージに振り切られてしまっている場合だったり、と実は様々です。

同じ言葉を使いながら通じ合えない気持ち悪さ

なんとなく話が通じていないというか、コミュニケーションがとれていない薄っすらとした気持ち悪さを感じながらリモート会議が終わることもしばしばです。

きっと、お互いに「ソーシャルリスニング」という言葉を使いながら、全く別の景色をイメージしているんだと思います。ただ、そこに「SNS」「投稿」「エンゲージメント」「Twitter」「インスタグラム」等々の共通言語が出てくるので、別の話をしているという理解にならないんだと思います。

やはりこういう問題って、「言葉の境界線」の問題だと思ってます。
実はビジネス課題も、データ分析を通じて答える問いも、実際の分析タスク内容も異なるのに「ソーシャルリスニング」という輪郭があいまいな言葉を使ってしまうことで、ミスコミが起こってしまう。

ソーシャルリスニングのサブカテゴリーのすすめ

個人的には、ソーシャルリスニングの解像度を上げるために、こんな呼び方にしたらいいんじゃないかと思っていたりします。

①炎上監視やアクティブサポート → ソーシャルモニタリング
②SNS施策の効果測定 → ソーシャルトラッキング
③消費者インサイト発掘、アイデア発想 → ソーシャルインテリジェンス
④SNSデータの統計的処理とシステム連携 → ソーシャルセンサリング

テック界隈の人が使う「ソーシャルリスニング」って、大量のSNSデータを一定のアルゴリズムで処理を行うことで特定の統計値に集約し、それをより大きなシステムの中に変数として組み込むことを指したりすると思うんですね。
でもそれは「ソーシャルセンサリング」だよねという呼び方をすると、消費者のUGC投稿(オーガニック投稿)から、消費者インサイトを定性的に洞察しようという活動と混在することがなくなりますよね。


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もしかすると、事業会社の中でも、おなじ「ソーシャルリスニング」と言いながら、ブランド部門、リサーチ部門、デジマ部門、IT部門で頭の中にイメージしていることが異なっている、みたいなこともあるんじゃないでしょうか。
やはり、心を食った議論をするためには、言葉の定義を明確にすることって重要なので、広くソーシャルリスニングに携わる人たちが、共通の言葉で話ができるようになるといいなぁと思います。

そもそも、このブログを始めた理由も、まだまだデファクトスタンダードや標準仕様のないソーシャルリスニングをもっと業界として洗練させていきたい、という思いがありました。
こういった言葉の定義や用語の使い方、みたいなものも地味なんですが、とても大事なことなんじゃないかなと思っている次第です。

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