セレンディピティが起きる人・起きない人、あなたはどっち?
「セレンディピティ」という言葉が最近注目を浴びています。この言葉は様々な場面でよく使われるようになりましたが、時々異なるニュアンスで捉えられていることもあります。
今回は、言葉の意味と、さらにセレンディピティを高めるためにどのように行動すれば良いかを解説したいと思います。
セレンディピティ(Serendipity)とは
「セレンディピティ」は、「今日●●に偶然出会えてラッキーだった」というような、単なる「素敵な偶然の出会い・発見」ではありません。また、「ただ待っていたら素敵なことが起こる」といったパッシブなものではありません。
セレンディピティとは、そのような偶然の出会いや発見の中で、価値あるもの(こと)を見つける能力のことです。
そしてこの言葉は、イギリスの小説家、ホレス・ウォルポール氏が幼少時に読んでいた次のおとぎ話がきっかけで生まれた造語です。
「セレンディップと三人の王子たち」
簡単にストーリーを紹介します。
Amazon より引用 https://onl.la/D2JvyL8
これはペルシャの童話です。
スリランカはアラビア語で「セレンディップ」と言います。
昔むかし、スリランカの国に3人の王子さまがいました。
王様である父上のジアファが、 大きくなった3人の息子たちを鍛えるために旅に出します。
国を出発した王子たちはペルシャの国にやってきて、ひとりの男に出会いました。その男はひどく落ち込んでいたので、王子たちはどうしたのか尋ねたところ、 男は『ラクダがいなくなってしまった』と言います。
王子たちはまるでそのラクダを知っているかのように男に言いました。
『片目が見えないでしょ。』
『歯が一本抜けてるでしょ。』
『足も一本悪くて、引きずって歩くでしょ。』
これがすべて当たっていたので、 男は王子たちが本当にラクダを見たのだと思い 王子たちが来た道を探しに行きましたが見つかりません。
(中略)
男は、王子たちの話が全て当たっているにも関わらずラクダが見つからないので「この3人は、きっと私のラクダを盗んだに違いない。そうでもなければ、こんなに知ってるわけがない。」と疑い、王子たちを訴え、兵士に捕らえられます。
そして皇帝によって死刑宣告を受けますが、間もなくラクダが見つかり、王子たちの疑いが晴れました。
皇帝は不思議に思い、「どうして見たこともないラクダのことを知っていたのか?」と王子たちに聞きました。
『道端の草が左側だけ食べられていたので、右目は見えないんだなと思っただけです。』
『草を噛んだ後を見て、歯が一本ないんだなと思った訳です。』
『道に片足を引きずった跡があったので、足が悪いんだなと思いました。』
皇帝は王子たちの話を聞き、その洞察力に驚かされました。
そして自分のそばに置いて、さまざまな問題を解決させました。
しばらくして、王子たちはセレンディップへ帰り、その後、3人の王子たちはそれぞれ別の国の王となり、幸せに暮らしました。
どのようにすればセレンディピティは起こるのか
セレンディップの王子たちは、ペルシャの国を旅している時、「道端の草が片側だけない」「道に片足を引きずった跡がある」など、不思議な現象を発見していました。
それを気にも留めず、漫然と見ていたら、ラクダがいなくなったと困っている男に出会った時に、すぐに言い当てることができなかったでしょう。
つまり、その現象が価値あるものがどうかを見抜き「これは覚えておくと何かに役立つかもしれない」と記憶していたからです。
この「目利き力」が大事で、何もかもを記憶に留めれば良いわけでもありません(頭がパンクしてしまいますよね)。
では、この目利き力を高めるにはどのようにすれば良いのでしょうか。
セレンディピティを高めるために今日からできる2つのこと
1:好奇心を持つ
日頃から「あれ?」「なぜ?」という、ふとした感覚を大事にしましょう。その感覚が目利き力を養うことにつながります。
2:気になったことクイックに検索する
今はスマホで何でも調べることができる時代です。気になったことはすぐに調べましょう。ただなんとなく覚えておくよりも、一度調べたことは頭の中に定着します。
この2つを日々継続して行っていくことで、セレンディピティに気づく準備ができていきます。
ある時偶然、「セレンディピティが起きた!」と感じるのは、最後のパーツがはまった瞬間と言えます。
セレンディピティは、待っていれば偶然起こることではなく、偶然をきっかけに予想外のものを見つけ、そこに価値を見出し、自ら幸運をつかみとるという能動的なアクションです。
是非みなさんも、自ら行動を起こして、セレンディピティを起こしてください。