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英国CHORD社DAC-AMP Hugo2

6月30日にイギリスのCHORD社が開発したHugo2というデジタルアナログコンバーター(DAC)を内蔵したヘッドフォンアンプが発売されました。このHugo2はかなり前に記事にしたMojoの兄貴分にあたるDACヘッドフォンアンプで、これまでHugoが発売されていましたが、その後継にあたる機種です。

外箱を開封した中身は上の写真の通りで、据え置き使用に便利な赤外線リモコンまで今回は付属しています。短めのUSB-OTGマイクロUSBケーブルや通常のUSBタイプA-マイクロUSBケーブルと光接続用の短めのケーブルと長めのケーブル、5V-2.1AのマイクロUSBタイプのACアダプターも付属します。

上の写真はポータブルデジタルオーディオプレイヤー・OPUS#3とHugo2を付属のOTG-USBケーブルで接続した写真です。OPUS#3はVer. 1.00.04のファームウェアからUSBデジタル出力に対応し、Hugo2とUSB-OTGケーブルで接続するだけでHugo2を認識し、Hugo2で音楽を楽しむことができます。公式にはOPUS#3はDSD128(5.6MHz)までの対応になっていますが、DSD256(11.2MHz)も再生できました。ただ、OPUS#3はspotifyアプリを強制終了させておいた方がDSD再生が安定します。

上の写真は英国iFi社DACヘッドフォンアンプmicro iDSD BLと並べた写真です。こうして見るとHugo2もそれほど大きいわけではないことが分かります。

Hugo2を作ったCHORD社もmicro iDSD BLを作ったiFi社も英国のメーカーですが、どちらも独創的な製品でデジタル再生に対する考え方が全く違うのが面白いです。micro iDSD BLは電源回路やアナログ回路を重視して作られており、カスタム仕様のオペアンプやBB社のPCM1793というD/Aコンバーター・チップをダブルで使ったりしています。普通はD/Aコンバーター・チップに内蔵されているサンプリングレートを引き上げるオーバーサンプリング機能を使うものなのですが、iFi社はBit-Perfect再生を重視していて、敢えてチップ内蔵のオーバーサンプリング機能を使っていないという話を聞いたことがあります。これに対してCHORD社は市販のD/Aコンバーター・チップは使わず、FPGAというソフトウェア的に回路構成を設定できるチップとパルスアレイDACでD/A変換を行っています。このD/A変換で初段で16倍、次段で16倍(つまり256倍)のオーバーサンプリングを行い、最終的にリニアインターポレーション(線形補間)フィルターで2048倍のオーバーサンプリングとしています。この途方もないオーバーサンプリングを行うことで波形を元々のアナログの波形に近づけようといている訳です。オーバーサンプリング演算を行わない方が波形の崩れがないはずというiFi社と途方もないオーバーサンプリング演算を行うことで原音再生を目指すCHORD社はデジタル再生に対する考え方が全然違うことがよく分かります。

肝心のHugo2の音質ですが、低域~高域までバランスよく再生しますし、極めて解像度が高く、また一つ一つの音の分離も良く、左右の分離も正確で、楽器の立体的な位置が音で分かるような感じでサウンドステージも大変広いです。ホールの反響音や残響音もリアルに再生します。mojoの時もそうだったのですが、1つ1つの楽器の音が極めてリアルで、特にギターやピアノなどの弦楽器、ハイハット、シンバルなどの打撃音が正確かつリアルです。なお、mojoよりは音場は広く、よりリアルさが増している感じです。mojoと違い、DSD音源の時に音飛びしたりしませんので、DSD音源再生も大丈夫です。

Hugo2は正確無比なFPGAとパルスアレイDACによるD/A変換が効いていると思いますが、オーバーサンプリングを初段16倍だけにしてもそれほど音質が低下する訳ではありませんので、基本的なD/A変換の精度やクロックの精度、D/A変換後のアナログ回路が極めて優秀なんだろうなと思います。インピーダンスの高い鳴らしにくいヘッドフォンを駆動できるだけのパワーを持っていますが、純A級の増幅をしているせいか本体は結構熱を持ちます。この点、同じように鳴らしにくいヘッドフォンを駆動できるパワーを持っているmicro iDSD BLはほとんど発熱しないですし、空気感やリアルさなどHugo2には敵わないところもありますが、micro iDSD BLもHugo2同様768kHzのPCM音源やDSD512(22.4MHz)のDSD再生に対応しており、価格を考えるとなかなか凄いなと思います。

Hugo2はRCAアナログ出力端子もあり、ここからパワーアンプを介してスピーカーを接続するか、パワーアンプ内蔵のスピーカー(アクティブスピーカー)を繋げることでコンパクトにデスクトップ再生も実現できます(Hugo2のボリュームでアナログRCA出力を調節するプリアンプ機能を持っています)。

まとめると、Hugo2は持ち運びするには重さだけでなく本体の発熱の問題もあり、カバンの中に入れて音楽を聴きながら移動するような使用は特に夏場は厳しい感じです。音質的にはDACポータブルヘッドフォンアンプのカテゴリーでは間違いなくトップだと思います。micro iDSD BLはそこまで発熱しませんが、ボリュームノブがくるくると回りやすく、本体底面のスイッチや側面のスイッチが移動中に不意に動いたりするのでそういう意味で移動しながら音楽を聴くのはあまり向いていないかも知れません。どちらの機種も自宅が移動先で机の上に置いて使うのが良いようです。

#オーディオ #AUDIO #ポタアン #ポータブルDACヘッドフォンアンプ  #Hugo2


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