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DP-X1リアルタイムDSD変換

最近はONKYOのポータブルデジタルオーディオプレーヤー(DAP)・DP-X1とDAC内蔵ポータブルヘッドフォンアンプ(ポータブルDAC)・PHA-3をDP-X1内蔵の専用オーディオプレイヤーのリアルタイムDSD変換を利用して聞くようになっています。

DSDとは?

DSDというのは、簡単に言えばPCMが音の大きさを時間毎に棒グラフにしたものだとすると、DSDは音の大きさは一定(つまり0か1)で、密度だけが変化したもの(粗密波と言われます)です。ただし、PCMではせいぜい44.1kHzとか、96kHzとかキロヘルツ単位なのに対して、2.8MHzとか5.6MHzとか周波数が全然違います。

上図は http://jijijolno.up.n.seesaa.net/jijijolno/image/fig_3_1_1_1.gif より。

DSD方式の方が音が良い?

一般的にPCMよりかはDSDの方が音がアナログの音に近く、また音も良いと言われます。これは、PCMはどんなに細かく棒グラフを刻んでもカクカクは綺麗になりにくいからと言われています。それに反してDSDは粗密波で、周波数が格段に高く、原理的にカクカクとした波になりにくいからということらしいです。ただ、PCM方式でもサンプリングレートを十分上げれば、また、時間軸のずれをなくし、デジタルフィルターや補間を適切にかければ、それほどDSDに引けを取るものではない、という意見もあります。

DSD方式で音の大きさが変化する理由

このDSDの粗密波で音の大きさが変わる理屈がなかなか分かりにくいです😅。話は変わり、電源の領域で、最近はACアダプターが超小型化してますが、これはスイッチング電源の進化の恩恵よるもので、このスイッチング電源の原理とDSDの粗密波の原理が良く似ていますので、以下の図に引っ張ってきました。図は http://www.piclist.com/images/www/hobby_elec/ckt22_2.htm からです。

つまり、電力を音の大きさと考えると、同じ電力でもバルス幅を変えると電力の変化として表すことができる、ということです。

DSDが音質でPCMより有利な理由

上の図( http://www.sony.jp/audio/technology/images/transplant/sacd_f_image02.gif )はSONYのスーパーオーディオCD(SACD)の説明図ですが、SACDは記録方式にDSDを採用していますので、原理的には同じです。図の上のSACD(DSD)と比べて、下のPCMのCDは手順が色々と多いことが分かります。下の図の補間とノイズシェービングが曲者で、ここで音が決まると言っても過言ではありません。

また、PCM方式の宿命として、ジッターという、時間軸のずれが生じると波形がゆがみやすく、粗密波であるDSDはジッターの影響を受けにくいというのがあります。下図は http://kanaimaru.com/PS3/a1.htm より。

これは、人間の耳は時間軸のずれ(PCMではもろに音程に関係します)は敏感に感じ取りますが、音の大きさには鈍感という性質に由来します。DSDは高い周期の粗密波なので、時間軸が多少ずれても音程には影響しにくく、音の大きさの微細な変化として現れるのでジッターの影響は受けにくいんではないか、と想像しています(勿論、あまりにジッターが大きいと音程にも影響しますが)。

上記の図は http://innocent-key.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/12/pulse_responce.jpg からの引用ですが、短時間のパルス波形入力したとき、最も良い応答性を示すのがDSDで、PCMではサンプリングレートが落ちるに従ってだらっとした波形になってしまっていることが分かると思います。このあたりも音質にかなり影響していると考えられます。

DSDには音質以外の使い勝手に難点あり

もちろん、最初からDSDで録音されたものをDSDで再生するのが最も良いに決まっているのですが、疎密波であるDSDは編集性が極端に悪く、カット&ペーストがやりにくいという致命的な欠点があります。またファイルサイズが1GB近くあるなど、およそネット配信に向いていないこともあり、音質がいいのは分かっていても普及はほとんどしていません。

リアルタイムDSD変換

ということで、元々PCMで記録されている音源を昨今のスマフォの高い処理能力を活かして、スマフォの音楽再生アプリで大胆にもDSDに変換してしまってDACに送り込んでしまおう、という発想がリアルタイムDSD変換です。下図はONKYOの http://onkyodirect.jp/pc/shop/g/gDACHA300B/ より。

従来はDAC側のデジタル-アナログコンバーターのICに何が使われているかが再生音質に影響していましたが、ONKYOのDP-X1内蔵のオーディオプレイヤーが採用するVirtual FPGAというPCMをDSDに変換するプログラムがあれば1bitに変換する部分までの音造りをアプリ側で独自に行うことが出来るようになります。実は、DSD信号をアナログに戻すのはとても簡単で、余計な超高周波をフィルターでカットしてあげるだけです(実際にはもう少し複雑みたいですが)。

実際に元々PCMのCD音源やハイレゾ音源をDP-X1内でリアルタイムにDSD変換して、PHA-3等のDSD音源を直接再生可能なポータブルヘッドフォンアンプでこの頃は聴いていますが、例えば44.1kHzのCD音源を384kHzにアップサンプリングして聴くより、リアルタイムDSDで5.6MHz高精度再生にして聴く方がより音が正確になり、音により深みが増していると感じられます。

DSDはONKYOのDP-X1やHF Playerみたいにリアルタイムに変換するものもあれば、PCを利用して予めPCMのファイルをDSDに変換しておくという手もあります。ただ、あらかじめPCMのファイルを5.6MHzや11.2MHzのDSDに変換しておいた方が音は良いらしいですが、DSDファイルになると容量も極端に大きくなりますし、使い勝手ということを考えると、リアルタイムDSD変換というのは良い方法と思います。

ただ、難点はDP-X1本体ではPCMでしか再生できないため、DSDが直接再生可能なポータブルDACが必須であると言うところですね。また、DP-X1のCPUを酷使するためか、バッテリー消費も大きくなります(PHA-3の方がバッテリー消費が大きいので、リアルタイムDSD変換でDP-X1のバッテリーが1日持たないということはないですが)。

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