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【読書記録】ジブリ本2冊【ジブリ好き】

「ジブリ」の文字がタイトルに付く本を2冊読みました。

1冊目:鈴木敏夫『仕事道楽―スタジオジブリの現場』

言わずと知れたスタジオジブリのプロデューサー・鈴木敏夫さんが書いた、ジブリ好きにはたまらない1冊です。
作品の舞台裏もさることながら、ジブリという会社がどのように成り立ち、これから何を目指していくのか(本が書かれた時点の話ですが)を知ることができます。

鈴木さんが徳間書店に入社し、雑誌の仕事に就いたところから話が始まります。
アニメージュ編集長(雑誌の創刊を無理やり押し付けられた)を経て、スタジオジブリでプロデューサー業に携わる経緯、高畑勲さん、宮崎駿さんとの出会いが軽妙な語り口で記されています。
その出会いからして個性的な巨匠たち。
2人の巨匠が個性的過ぎてかすんでしまっている気がしますが、本書を読んでもプレーンに感じる鈴木プロデューサーも、おそらくかなり個性的です。

宮崎駿、高畑勲というたぐいまれな才能がどのように生かされ、作品となって世に送り出されたのか、ジブリという会社の様子がうかがえます。

なかなか、やりたいことだけを仕事でやるなんてことはできないのですが、仕事を道楽と言える部分がジブリの強みだと思います。
職場に行くのが嫌だなと思ったり、任された業務からプレッシャーやストレスを感じたりすることは、誰しも経験することでしょう。
アニメーションをつくる会社であっても当然あるでしょうし、ジブリのように世の中の期待(言い過ぎかもしれませんが)を背負った仕事となると想像を絶するものがあります。

それでもうまく組織が機能し、期待に応える成果を出し続けたのは鈴木プロデューサーら経営に関わる人たちの力が大きいと思いました。

「教養の共有の程度は相槌の打ち方にあらわれる」「企画は半径三メートル以内にいっぱい転がっている」「地図を描けるかどうか」などの金言も多数得られます。

2冊目:小川仁志『ジブリアニメで哲学する』

鈴木プロデューサーの本の近くにあったので手に取ったのですが、中学生くらい向けの内容でしょうか。

ジブリアニメ「で」哲学するなので、ジブリアニメはあくまで考える材料です。
『となりのトトロ』の「となり」とはなにか? なぜトトロは「前」でも「後ろ」でもなく「となり」にいたのか?や『もののけ姫』の「腕」とはなにか? アシタカが腕に呪いをかけられた理由など考えると面白いテーマが取り上げられています。

ジブリアニメの解説本ではないので、アニメの内容の解釈という点では賛否が分かれる部分があると思います。
Amazonさんのカスタマーレビューも評価が分散しており、私自身は哲学的に考えるにはテーマが多すぎて、文章の切れ味が鈍いと感じました。

さらっと読み流す娯楽(この時点で哲学的ではない気がしますが)としては悪くないかもしれません。


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