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電話、別れ際の微妙な空気

気ばかり焦って、気がつけば、

ケイタイ電話の「切る」のボタンを連打していることがある。

そんなことをしても何の時間の短縮にもならないのだけれど。


そんな時、いつも昔の会社の社長のことを思い出す。

背が小さくピョコピョコと歩く可愛らしい外見に反して

ビジネスに関しては、いつもバットを長くもって

一発逆転のホームランしか狙っていない大胆さを持ち、

人が急ぎの仕事をしているにも関わらず

自分の仕事を押し付けてくる強引さを持つ。

(そんなのだから会社は傾いているのだけれど)

僕は毎日のように、そんな社長によく怒鳴られ、

関西弁でまくしたてられたあげく

「消すぞ!」と吐き捨てられていた。

そんな、ヤクザまがいのオッサンでも

凄く繊細な部分がある。

それは、電話での別れ際。

相手が誰であろうと関係なく、

相手が受話器を置いたことを確認してから

自分も受話器を置く。

恐らく、電話の向こうの相手には絶対に気づかない

おっさん流の優しさなのだ。

相手に「ツーツー」という音を聞いて取り残された感を味あわせないためであり、

相手が何か言い忘れ、慌てて「もしもし」と言ったとしても対応できるようにしている

のである。

・・・と思う。

僕はボロカス言われながらも、そのオッサンのことは尊敬していたので、

その繊細な優しさを当時は自分でも実行していた。

しかし、僕が同じことすると

協力会社の方は、受話器を置く間際に

「うるせんだよなーコイツ」と悪口を言ったり、

片思いをしていた女の子には

「はぁーーーー」と長いため息をつかれたり、

なんだか、人間の素の部分ばかり見えてきて

結局はいいことはなかったのだけれど。


でも、なんか、そんな余裕は大切だなぁと今でも思う。

だからね、いつもその繊細な優しさを忘れないようにと

思うのだけれど、やっぱりほら、怖いのよね。

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