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音楽の好みが変わる経験

昔は苦手だったのに、なぜか急にその良さがわかるという経験はありませんか? あれ、なんででしょうね? 聴こえ方が変わるというか、なんとも説明できないのですが。ということで、今回はそんな私の経験をいくつかご紹介します。

私の音楽履歴

私が洋楽にハマったのは84年頃。映画「フットルース」「ゴーストバスターズ」などがヒットし、ワム!がアメリカでも大ブレイクしてバンド・エイドがチャリティシングルを発表した時期でした。
当時は兄の影響でビートルズは別格として、第二次ブリティッシュ・インベイジョンの最盛期だったので、前述のワム!やカルチャー・クラブ、デュラン・デュラン、スパンダー・バレエあたりがお気に入りでした。それゆえこれらのメンバーが参加したバンド・エイドで一気にブリティッシュ系の関心が広がったわけですが、ティーンエイジャーとしてはチャートを賑わせるようなポップでわかりやすい音楽が好きでした(いまだに好きですが)。
洋楽への関心が広がると、音楽雑誌や本を読み漁り、いわゆる名盤というのを聴くようになります。レッド・ツェッペリン「IV」、イーグルス「ホテル・カリフォルニア」、マイク・オールドフィールド「チューブラー・ベルズ」、クィーン「オペラ座の夜」などなど。その良さがわかるのもあればわからないものも当然ありましたね。

スティーリー・ダン

84年の時点でスティーリー・ダンは解散して数年にもかかわらず、77年「エイジャ」・80年「ガウチョ」、さらにドナルド・フェイゲンの82年「ナイトフライ」は既に名盤の名を欲しいままにしていました。当然私も聴いてみたくなります。
最初に聴いたのはベスト盤だったと思います。友人がベスト盤をMD(死語)に入れてくれたのを聴きました。が…。全然良さがわからなかった
地味としか思わなかったんですよね。ダンの曲というのはグルーヴやアレンジの妙が魅力なわけで、メロディー・ラインが売りというわけではなかったと思います。そこがハードルだったんです。だから当時は割と気に入ったのはフェイゲンのメロディアスな「マキシン」や「雨に歩けば」くらい。
ところがあるとき、たまたまベストを聴き直してみたら、「FM」のかっこよさにいきなり気付きました。

「FM」は映画サントラ収録曲ということもあり、割とわかりやすい楽曲だったということもありますが、前述のグルーヴ感やアレンジの妙の魅力に取り憑かれました。そこから「エイジャ」「ガウチョ」と遡り、次に気に入ったのがファースト「キャント・バイ・ア・スリル」。この頃はソングライターの色彩が強い一方でバンド・サウンドだったというのも理解できた理由でしょう。「リーリング・イン・ジ・イヤーズ」「ドゥ・イット・アゲイン」「ダーティー・ワーク」といったあたりが気に入ってくると、あとはもう芋づる状態。セカンド「エクスタシー」からの「キング・オブ・ザ・ワールド」「ボストン・ラグ」、サード「プレッツェル・ロジック」からの「バリータウン」、4th「うそつきケイティ」からの「バッド・スニーカーズ」などなど初期から中期の曲を気に入り、現在は5th「幻想の摩天楼」からの「トルコ帽もないのに」、6th「エイジャ」からの「ペグ」「ホーム・アット・ラスト」、7th「ガウチョ」からの「バビロン・シスターズ」「サード・ワールド・マン」など。

ここまでくるともう止まりません。とうとうブ○トにまで手を出してしまう有様で…。ライヴ盤やスタジオ・アウトテイクなども聴き漁りました。
同様のタイプで地味だなーと思ってたところで急に好きになったのにはザ・バンドやボブ・ディランがありました。

全米大ヒット時代のエルトン・ジョン

ブリティッシュ好きな私としてはエルトンは元々好きでしたし、リアルタイムでは「アイ・ドント・ウォナ・ゴー・オン」のヒットで12インチを買うくらい好きではありました。が、彼の全盛期であるアメリカでヒット連発時代の良さが全くわかりませんでした。具体的には74年のアルバム「カリブー」から「キャプテン・ファンタスティック」「ロック・オブ・ザ・ウェスティーズ」の全米1位アルバム連発の頃。その前の「ピアニストを撃つな!」「グッバイ・イエロー・ブリック・ロード」も全米1位でしたが、「クロコダイル・ロック」「土曜の夜は僕の生きがい」のようなアメリカン・ロック的な曲は苦手だったとはいえ、「ダニエル」「グッバイ・イエロー・ブリック・ロード」のようなブリティッシュ・スタイルの名曲があったのでまだ大丈夫でした。ところがそれ以後はアメリカン・ロックの大雑把な曲とアレンジが苦手で。私は初期のような抒情性が好きだったんですね。

ところがですよ、これもいきなりその良さに気付きました。

しかも昨日w

なぜかわかりませんが、ベスト盤を聴いていて、「フィラデルフィア・フリーダム」「僕を救ったプリマドンナ」「アイランド・ガール」といった苦手だった曲が俄然魅力的に響いたんです。思うに日本でもこの時期の大ヒット曲はその割には人気がないように感じられますが、初期のリリカルさが好きな私と同じ感覚だったんでしょうね。
改めてこの時期の曲を聴いてみると、大雑把と思えたものがダイナミズムやスケール感の大きさに転換されたように思います。不思議なもんですね。


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