高橋克彦作品紹介(短編集「星の塔」)
ホラーというジャンルを、私は特に強く好むわけではありません。
小説だと、ホラーに分類される中でも、怪奇小説と呼ばれるものは多少読んでいます。
単に好きな作家(高橋克彦、横溝正史など)が手掛けているから、とも言えますが。
この「高橋克彦作品を語りたい」シリーズ(?)を始めてから、改めて高橋克彦氏の短編集をいくつか読み返しています。
ホラー短編が多く、「結局、一番怖いのは生きている人間」な要素もありつつ、「ないと信じていたもの・ことが立ち現れる怖さ」にゾクッとします。
ただ、怖いだけではない作品もあるのが高橋克彦氏のすごさです。
特に「星の塔」のせつなくも幸せな後味には、泣いてしまいました……。
短編集としての構成も見事で、最初の「寝るなの座敷」は心温まるタイプのホラーで、その後はやっぱり怖いホラーが続き、締めの表題作「星の塔」はホラーというより幻想小説風。美しさとせつなさにホラーテイストもあいまって彩られる物語が、私の心を直撃しました。
そして、ふと思ったのが、「ホラー小説は一人称で書く」のが暗黙のルールなのかな? ということ。
恐怖はかなり主観的な感情である、ということの証左なのかもしれません。
まあ、感情はみな主観的なものではありますが……。
そんな今更ながらの発見もありました。
とにかく。
やっぱり高橋克彦作品は面白いです。
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