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修理をお受けした時に解ること。

当店は、Racconto/物語、紀行文を記すように、中世の手仕事を理想とし、私が制作するものを気に入って頂いた方のご希望とご予算に合わせた一品作りを主としたジュエリー、装身具(想身具)の工房兼店舗としております。

店舗には、〜で買ったサファイアの指輪なんですけど、サイズ直しをお願いできますか?

といった、他店舗で買われたジュエリー、アクセサリーのサイズ直しや、修理のご相談も多々頂きます。

※長野県松本市内に修理店が少なく、ジュエリーを作っていると聞いて、直せるかもと結びつくこと、思って頂けることは重々承知しています。
結論。殆ど全ての、他店で断られてしまう修理も、(※ご確認させて頂いた上で)お受けできます。

例えば、サイズ直しに関しては、小さくすることも大きくすることもできるので、できます。可能です。という返答になりますが、
サイズ直しをするにあたって、指輪の状態を観察すると、趣旨から外れた問題点に直面することもございます。

(多分、サファイア、じゃない、、、。)
(サファイア、割れている、、。)

といったことも、しばしば。

サイズ直しをしたい。ということは、思い入れがあったり、気に入っている指輪。大切に、これからも身につけていたい指輪。

指輪を観ると、落としてしまったことが過去にあるのか、などのこれまでの履歴。大切にしている、とは言うものの、靴の踵を踏んでいるような状況が見受けられたり。
作った方の技量、経験値も手に取るように解るもので、、(おそらく)買った時点で石が割れていたり、いつ壊れてもおかしくない状態、メンテナンスや検品が不十分でお客様の手に渡ったことも考えられる時もございます。ビンテージアクセサリーといった類のものだと、特に。

縫製が甘く、ボタンが取れてしまいそうなシャツ。動かず、不良品を疑う電化製品。のように、自ら、これは、、、と気づくことができれば良いのですが。

事実をお伝えするべきか、触れないべきか、、迷いが生じている最中、お客様によっては、自ら修理に持ち込まれた品にまつわる思い出などを話して下さる方もいらっしゃいます。

そこで、誕生石で〜、〜の記念、節目に、などのエピソード、〜お店の顧客で、、〜さんと仲良くて、、とお聞きすると、

(言えない、、、言わない方が良いのか、、いやいや、これはお伝えせねば、、、言い方、言葉選びは慎重に。。)

という状況に陥ります。

負担に感じてしまうことは、この状況に直面している自分は、サファイアと偽ったり、石の割れや変形などを不具合、不良を認識できる目を持たない販売員、販売店、製造元、デザイナー、職人(※敬称略)とは全くの無関係である。のにも関わらず、様々な負担、疲弊が生じていること。

お伝えすれば、お客様に事実を突きつけてしまい、お伝えしなければ、罪悪感。

ここでまたひとつ問題を挙げると、サファイアと偽った訳ではなく(お客様へ正確にお伝えしているかいないかは定かではないが)、"合成"サファイアである場合もある。ものはいいようで、サファイア。であることには変わりがない。※拡散、加熱処理、非加熱、含浸といった区分もありますが、修理持込みに関しては合成が多い為割愛します。サファイア、例えに出してごめんなさい。

以前、ホームページのBlogに記述した、購入店を伏せて欲しいとお願いをしたのは、
いい加減だな、こんな程度の仕事、ご商売をされて利益を得ているのか。プロ、デザイナー、職人を名乗っているのかと、(偽っているのか勉強不足で無自覚なのかはさておき)一方的に知って、疲弊してしまうのを避ける為。です。

どんな売り方をしているのか、SNSやホームページの文章を覗くと、生活の豊かさ〜、日々の装いに寄り添ってくれる〜、某有名ブランドと同じ工房で〜、熟練した職人がひとつひとつ丁寧に〜、といった類の言葉で溢れている。

ましてや、↑などをアフターケアサービスなど称して誤魔化す為に、販売店様自らご相談に来ることもございます。

そんな言葉に惹かれて買われた方が、修理できる場所を探して、ジュエリー作ってるから相談出来るかも、、、と、当店に来られている。

価格の高低、宝石の有無、希少、市場価値などに関わらず、身につける人、買う人にとって、どんなものでも大切に成り得るものだからこそ、
いずれお客様自身もどこかで気がつくような姑息なことはせず、シンプルに、方向性を間違えない努力をして、続けながら勉強不足を痛感して、その都度学びながら。評価して下さる方の感覚、目がどんなに肥えても通用する良いものを。と、そうありたいと、思います。自戒も込めて。

ひとつだけ、総じて言いたいことは、
あくまで、自らの作品作りを主として。手に職と言われるような貴金属加工の技術、スキル、工房設備を活用した修理であったり、箪笥の肥やしになってしまっている身につけていないものをなんとかする。などの、(体験教室なども同様の理由で)、消費者ニーズを満たすビジネスがしたいわけではないのです。

ただ、修理をさせて頂いたことで、大切なものだから直ってよかった、また着けることができて嬉しい。といったお言葉や、仮にネガティブな側面の諸々をお伝えして、知らなかったことを知れた、勉強になったと仰って頂けること、そんな瞬間に、支えられているように思えることもございます。

※経年や過度な負荷などによって止むを得ず壊れてしまうもの、こともあり、勿論、修理が必要になるもの=全てが粗悪品では決してありません。ミサンガなどでない限り、千切れたり壊れてしまうことは切なく、自分が作りたいものを作るだけでなく、自分に出来ることがあるなら修理自体を全てを断らず、ジュエリーやアクセサリーが心から好きなので、買われたものを消耗品にしたくないという思いから、修理できますか?とご相談頂いた際には、できないことではなく、直すことも好きなので、実物を確認させて頂いた後に、可能な限り喜んでお受けしています。

それでも、(面倒な人だな。。。と思わずに)修理のご希望やご相談などをご検討頂いたり、困っている方にご紹介頂ける際には、本文をご一読、ご共有をお願いいたします。

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