宝石箱
宝石箱には、どんな種類の宝石が入ってるのかわかりません
サファリア、ルビー、ダイヤ、エメラルド知っている宝石はそれぐらいです
宝石は一つじゃ輝きが足りない、いろんな色の宝石が同じ場所にいて、輝きが増す、それぞれの宝石が乱反射し、相乗効果が与えられます
夜景も同じ、雑居ビルでも、集まれば
宝石のように輝くのです
あまり近くで見ない方がいいかもしれません
物事の核心は近づいて触れなければわからないけれど、近づいて見ると現実が迫ってきて、目を背けたくなります
夏休み明け、大学のゼミの教授に、あなたは夏休みに宝石でも売っていた感じがしますねと唐突に言われ苦笑いしました
あながち未来の私ではないと否定できないかもしれません
宝石箱を車のトランクに入れて、集合団地を渡り歩き、主婦に宝石を勧める未来をほんの少しだけ想像しました
悪くないけれど、良くもありません
宝石を売り尽くした後を考えると、悲しくなります
僕を魅了する宝石は宝石箱から飛んでいって、残ったのは、箱に敷かれた真っ赤な柔らかなクッション材だけになりました
売りたくなかったのです
綺麗な宝石をいつまでも持ち続けていたかったのです
宝石一つ、人生一つ、人生も人と出会い、寄り添い輝いていくのですか。
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