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自意識という邪魔者

よく晴れたある日の休日。一日の予定は、朝から東急スクエア内のカフェの外の景色が眺めるいつもの席で勉強をした後、午後は同施設内にある本屋で村田紗耶香さんの「地球星人」を購入して、近くの公園のベンチで一気読みをする。その日は、開店時刻とほとんど同時にカフェについたので席を確保することができた。

数時間して人も増えてきたので、勉強を切り上げようと教科書をカバンに入れて席を立つ。顔を上げると、外にいる真っ赤な花束を持った女性が目に入った。自分と同年代くらいの彼女の表情は、マスクで隠し切れない程の多幸感にあふれている。信号待ちをしていた周りの人々が歩き出しても彼女は動かない。きっと、誰かをそこで待っているのだろう。

もう少し、彼女を見ていたい。そう思ったけど、一度整えた身支度を崩すことが何だか恥ずかしくて、そのままカフェを出て本屋に向かった。   (購入する本は決めていたものの)何だかんだ30分くらい本屋で過ごして外に出た時は、その女性はもういない。やっぱ、座り直して見ていれば良かった。

代わりに外では、数十人の団体がボードを掲げながら道行く人に声をかけてアンケートを取っている。その団体の人たちも自分と同世代で、誰もが真剣な表情をしていた。何の活動をしているんだろう。色々話しを聞きたかったけど、そつなく質問する自信がなくてイヤホンで「安住紳一郎の日曜天国」を聞いていたので、声をかけれても「今急いでいるので~」と言って足早に去って公園に向かった。もう~、なんで話しかけれないんだよ~

こんな風に自意識が邪魔をして何かをやれなかったり、人に話しかけれなかったりして後悔することがよくある。読み終わった「地球星人」も面白かったけど、自分の中にあるこの邪魔者を追い払えたら、小説よりも奇なりな物語に出会えるだろうにな。


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