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南禅寺について語りたい(京都シリーズ)

今年もなかなか初めの一記事を生み出す力がなく、もう一月も後半になってしまった。

新年一つ目の記事ということで何を書こうかと迷った末、ここは一つ音楽についてではなく、京都のおすすめスポットについて語ってみようと思う。

筆者は京都の人間ではなく、そもそも関西在住ですらないのだが、京都が好きで度々訪れては色々なスポットを回っている。
そうして色々と回っているうちにそれなりに観光事情にも少しずつ詳しくなり、ちょっとした知識をひけらかしたいなぁと思い始めてきた。

なので今回は京都の中でも個人的に指折りのお気に入りスポットである南禅寺について語っていきたい。

南禅寺基礎情報

南禅寺の京都観光における位置付けはどんなところだろうか。
多分初めて京都に観光に来た人は立ち寄らないだろうけど、2回3回と繰り返し観光しているうちに立ち寄る確率が上がっていきそう。
修学旅行の定番である清水寺、金閣寺、嵐山‥その辺りを回った後に辿り着く場所というイメージがある。

南禅寺は正式名称が太平興国南禅禅寺と言って、南禅寺というのは通称らしい。

お寺は基本的に創建した時にお金を出した人【開基】、創建当初の住職【開山】がセットで語られることが多く、この南禅寺の開基は亀山法皇、開山は無関普門という僧だ。
亀山法皇は天皇の時に元寇を経験しており、そのことからも分かるとおり鎌倉時代の人である。
後醍醐天皇に象徴される南北朝分裂のきっかけを作った人でもあるらしい。
無関普門は長野出身の僧なのだが、南禅寺を作り始めて間も無く亡くなってしまい、その後同郷の規庵祖円という僧が引き継いで今日のかたちに近い南禅寺の姿が完成したようだ。

南禅寺は名前に禅と入っていることから推測できるように、禅宗の臨済宗のお寺である。
京都の臨済宗のお寺のランキングのようなものとして京都五山という制度があるのだが、この南禅寺はその五山の更に上に位置付けられ、チートキャラのような扱いになっている。
それにしては少しお寺としても注目度合いが弱い気がするし、五山の一位に君臨している嵐山の天龍寺が世界遺産に指定されているのにこの南禅寺が指定されていないのも不思議な感じがする。
あくまでも外から見た評価だから仕方ないのだろうけど。

臨済宗の中にも様々な派閥があって、この南禅寺はその名もまさに南禅寺派という派閥の総本山として君臨している。
同じ南禅寺派の寺院としては、京都で言うと詩仙堂の近くにある圓光寺(庭園が素晴らしい!)や哲学の道を逸れたところにある霊鑑寺(椿で有名な寺院だが行ったことはない)等がある。
南禅寺のウェブサイトを見ると日本各地の南禅寺派寺院の一覧が掲載されていて、その多さに驚かされる。
埼玉以北にはほとんどないのに対して、佐賀県にはやたらとたくさんあるのはどういった因果なんだろうか。
この南禅寺派がどういった要素で他の派閥と差別化しているのかは、少し調べたものの専門知識の全くない自分にはよく理解できなかった。

南禅寺の境内

南禅寺はメインとなる建造物が西を向いて立っているので、西側の南禅寺前の交差点側からアクセスすると魅力が味わいやすい。

南禅寺前の交差点から東に向かって歩いて行くと、湯豆腐屋さんやブルーボトルコーヒーを越えた先に中門がある。
巨大で重厚な門といった感じではないのだが、横に大本山南禅寺とドカンと書かれていて、南禅寺に来たなぁという気分が盛り上がるので是非この門を通って境内に入ってほしい。

中門の北隣にはまた別の門である閉ざされた勅使門があるが、この門は天皇家の関係者とかそういった偉い人しか通ることのできない門なので、見るだけで満足しておこう。

中門から中に入ると、春は桜、秋は紅葉が素晴らしい境内が広がっている。
個人的にここで良いなぁと思うのが木が密集して生えていないことで、迫力は無い一方で趣きの深さが感じられる、落ち着くのにはもってこいの境内になっている。
境内がそれなりに広いこともあって、桜の時期も紅葉の時期も土日の繁忙期でなければ多少のゆとりを持って回ることができるのも推しポイントだ。

中門を越えて少し進むと、若干の階段を登った先に三門が聳え立っている。
南禅寺と言えばこの三門という人も多いんじゃないだろうか。
この三門はとにかく巨大で、写真を撮ろうとするとかなり手前に下がらないと全貌が写り切らない。
ただ、近づくごとに三門の間から見える景色が額縁のように切り取られて絵になり、特に桜や紅葉の時期はたまらない。
同じことを考える人はたくさんいて、ここで写真を撮っている人は非常に多いので、色々な角度から熟考したいのであれば早朝のうちに来ることをオススメしたい。
600円支払えばこの三門の上に登ることができ、東側から京都市街のパノラマを楽しむことができる。
石川五右衛門の話は知れ渡っていると思うので省略。

三門を越えて東に進むと法堂(はっとう)がある。
寺院の行事等が行われる建物で、通常立ち入ることはできないが、手前で線香が焚かれており、建物の目前まで行くと少し内部を覗き見ることができる。
内部の天井には幡龍図が描かれており、とても迫力があるので見ておきたい。

法堂手前の道を右に曲がると、こちらも南禅寺と言えば!の水路閣がある。
1912年に完成したものだということで、赤煉瓦の雰囲気からも大正感が感じられ、大正レトロ感のある衣装をレンタルして写真撮影をしている人をよく見かける。
寺院の中にこんな建造物があるのか‥と初めて目にした時は驚いたが、どの時期に来ても、どのアングルから撮っても絵になる風景だ。

法堂から更に東に奥に進むと、国宝指定されている方丈が待ち構えている。
方丈という言葉は鴨長明の『方丈記』で知った人が多いんじゃないだろうか。
いわゆる寺の職員が住まう施設のことだ。
中には作庭の名手小堀遠州が作ったと言われる方丈庭園があり、こちらも別途600円を支払うことで拝観することができる。
ちなみに南禅寺の拝観時間は午前8時40分からとなっていて、微妙に刻んだ時間になっているのが気になるところ。
京都の寺院は遅いところでも17時には拝観終了になってしまうので、効率良くたくさんの寺院を巡りたい場合は、早目に拝観が始まる寺院を優先して回っておくとスムーズなのでオススメしたい。

南禅寺の塔頭

南禅寺には複数の塔頭寺院があり、中には拝観でき、見どころの多いところもあるので触れておきたい。

まず水路閣の奥にある階段を上に上がっていくと南禅院がある。
ここは元々亀山法皇が住んでいた離宮のあった場所ということで、言ってみれば南禅寺発祥の地とも言える場所らしい。
かなり小ぢんまりとした敷地ではあるが、目前まで迫った森林を背景にした回遊式の庭園は慎ましい雰囲気で風情があり、落ち着いて回ることができる。
手前にある水路閣は多くの人で賑わっているが、その奥にあるこの南禅院は比較的人が少ないので、自然の中でホッと一息つきたい人にもオススメだ。

次に、中門から三門に向かう道を右に曲がると天授庵がある。
天授庵にも池泉回遊式の庭園があるが、南禅院のものと比べると規模が大きく(感じられ)、桜や紅葉の時期には大変賑わう。
時期によってはライトアップも行っており、この時の混雑もなかなかのもの。
ただ、その混雑を我慢してでも見た方が良いと言えるだけの美しさがあるため、時間に余裕を持って拝観してもらいたい。
また、庭園の端の方には開山の無関普門を祀る開山堂も建てられており、庭園の美しさに目を奪われていると急に開山堂が現れてビックリする。

更に、中門に入る手前で右に曲がると金地院がある。
ここは徳川家のブレーンとして活躍したことでも有名な以心崇伝が居住していた場所で、徳川家との繋がりを象徴するように、境内には家康を祀る東照宮が建立されている。
大河ドラマで家康が取り上げられていることもあり、今後更に拝観者が増えて賑わいそうな予感がする。
こちらの庭園も南禅寺方丈と同じく小堀遠州が作庭したと言われており、鶴亀の庭と呼ばれる枯山水庭園は国の特別名勝に指定されている。

南禅寺のアクセスと周辺情報

南禅寺があるのは京都市の左京区で、電車で行くのであれば地下鉄東西線の蹴上駅が最寄りだ。
蹴上駅から歩いて行くと徒歩5,6分で境内までは入れるような気がするが、いかんせん蹴上駅は改札から駅の出口までが遠めなのでそこには注意を。

出口から出るとすぐに蹴上インクラインがあり、桜の季節は大変な人手で賑わう。
そこから金地院の前を抜けて南禅寺の境内へと入って行くようなルートになるのだが、個人的には西側の南禅寺前の交差点側から境内に向かう方が気持ちが盛り上がる(蹴上駅から最短ルートで行くと脇道から来たような感覚になる)ので、少し回り道をしてでもそちらからのルートをオススメしたい。
もっと言うと平安神宮や岡崎公園の辺りからでも歩ける程度の距離(10〜15分ほど)なので、観光の流れを考えるのであれば平安神宮→南禅寺のルートはなかなか良いのではないかと思う。

南禅寺の境内を北に抜けると紅葉で有名な永観堂がすぐ近くにあり、秋には是非立ち寄りたいところ。
更に歩くのが好きだと言う人には、永観堂を越えて哲学の道に入るルートもオススメしておきたい。
哲学の道に向かう途中には日の出うどんといううどんの名店もあるので、そちらも是非。

まとめ

以上南禅寺についてつらつらと語ってみた。

南禅寺は寺院ならではの落ち着いた静謐な雰囲気を味わいたい人にも、三門や水路閣のような映える風景を楽しみたい人にも推すことのできる、魅力の多い寺院だと思う。
京都に行く機会がある方は是非足を伸ばしてみてはいかがだろうか。

今回の記事を書くに当たっては、南禅寺の公式サイト、そうだ京都、行こうの公式サイト、実際に現地を回って得た情報をベースにしたつもりだが、誤ったものが含まれている可能性もあるのでそこはご注意を。
一応アップする前に確認はしましたが、特別仏教に深い信仰心がある訳ではない人間が書いているものになるので、そこはご承知おきください。

参考サイト↓

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