『REAL』L'Arc〜en〜Ciel(お気に入りのアルバムについて語るシリーズ)

今日はお気に入りのアルバムについて語ってみたい。
取り上げるのはL'Arc〜en〜Cielの『REAL』。
このアルバムは、自分が初めて購入したCD【アルバム】だった。

シングルはそれまでにもいくつか購入していたものの、アルバムはそれに比べると高い、アルバムのみに入っている曲にあまり魅力を感じていない、等の理由から、アルバムはレンタルだけで済ませてしまったいたのが当時の自分だ。

ただそんな自分でもL'Arc〜en〜Cielにはどっぷりハマり、ここまで好きになったならアルバムも!と思い手を出したのである。

購入当時自分は中学一年生。
ファーストインプレッションは、、とにかく暗いなという印象だった。

一曲目からしてとにかく暗いし、二曲目もその流れ、その後の十曲目『a silent letter』は更に落ちていくような雰囲気で、正直良さが理解できなかったのである。

曲調てしてポップだったり勢いのある、『STAY AWAY』、『ROUTE666』ばかりヘビロテしていた。

それからしばらくして、L'Arc〜en〜Cielが長らくの活動停止期間を経てアルバム『SMILE』をリリースした。
『SMILE』を聴いて思った。

「あれ、なんかREALと全然違うな」と。

この時なぜか『REAL』って本当は物凄いアルバムだったんじゃないかという気分になり、聴き直した。
結果、物凄いアルバムだった。

『SMILE』が嫌いというわけでは全くない。
ただ『REAL』の持つ空気感は、今他のアルバムと聴き比べても異質だなぁと感じる。

それはこの頃のバンドを取り巻く状況が大いに影響しているんだろうと予想されるけど、実際のところはよくわからない。
もしそうだとしたなら、決して良いとは言えない状況下でこれだけのアルバムを制作したL'Arc〜en〜Cielというバンドは本当にとんでもないバンドなんだなと脱帽してしまう。

ここからは一曲ずつ触れていきたい

1.get out from the shell -asian version-
この曲が一曲目か!と思った人は多いんじゃないだろうか。
既にシングル『STAY AWAY』のカップリングで日本語詞バージョンが収録されていたが、同曲の英語詞バージョンである。
作曲はyukihiro。この頃までのyukihiroはとにかくダークでインダストリアルで打ち込みを基調とした曲が多かったので、後にシングル曲を担うことになるとは全く想像していなかった。
この曲はその路線のyukihiro曲の象徴とも言えるような雰囲気で、打ち込みのダークなサウンドの中に六弦ベースのフレーズ、ギターのリフが合わさりとてもカッコいい。
ボーカルに関してはカップリングの日本語詞バージョンよりもこちらの英語詞バージョンの方が好きだ。

2.THE NEPENTHES
ウツボカズラという意味のこの曲。
この植物からオマージュされたような、非常に官能的に感じられる歌詞が終始展開される。
一曲目の打ち込みメインの音像とは全く異なり、4人のバンドサウンドがメインのロックな曲調。
Ken作曲ということもあり、Introからのギターのリフをメインに曲が展開されていく。
間奏のトーキングモジュレーターを駆使したソロ、ブリッジの低音弦を使ったフレーズが非常に格好良い。
ベースはリフとユニゾンするのではなく、ルートを細かく隙間を空けて刻みながら所々でフレーズを入れるような展開で、比較的渋い構成。
この曲はスラップで弾かれているよう。
tetsuyaはtwinkle twinkleやXXXなどでスラップを使っているが、何となく定番とは違った捉え方でスラップを使っているような気がして、とても面白い。
ドラムはブリッジのスネアを細かく叩いていくようなフレーズが格好良い。
L’7で披露された時にはhyde、kenが非常にノリノリだったのが印象深かった。

3.NEO UNIVERSE
シングル曲であり、L'Arc〜en〜Cielの中でも高知名度であろう曲。
にも関わらず中身は結構マニアックで、まずドラムはスネアを叩いていない、いわゆるベースを刻んでいるのはシンセベースで、tetsuyaは六弦ベースで裏メロを弾いている、ken作曲なのにギターはE BOWを使った効果音的な役目を担っている箇所がほとんどと、不思議な構成になっている。
またボーカルパートは非常に高音で、だからなのかはわからないが、ライブではキーを下げて披露されることがあった。
AWAKEツアーで披露された際には、反戦をテーマにした本編の中で、この曲が平和になった新世界を象徴するようで印象的であった。
あと、個人的にはシングル版のあのCDジャケットはL'Arc〜en〜Cielのジャケットの中でも上位に入るくらい好きだ。

4.bravery
tetsuya作詞作曲の、何かと問題作と言われがちな一曲。
歌詞を抜きにして聴けばtetsuyaらしいポップでメロディアスな曲なのだが、ファンを辛辣に批判するような歌詞がやはり印象的。
明るいポップな曲になかなかに攻撃的な歌詞を載せるというのは前作に収録されたPerfect Blueに通ずるものがある。
歌詞に賛否があるのはそうだろうと思うが、個人的にはこれはこれでありだと思う。
この曲もボーカルパートは高音が多用されており、サビ以外はほとんどファルセットで歌われている。
バンド全体で見ると比較的シンプルな8ビートで、細かい音はあまり入っていないものの、ベースのフレーズはかなり動きがある。
ちなみにこの曲は東京事変のベースである亀田誠治がアレンジに参加しているのだが、それを念頭に置いて聴くと、何となくベースに亀田さんみが感じられるような気もする。

5.LOVE FLIES
神曲。
とにかくイントロのギターリフ命。
あんな格好いいギターリフはなかなかないのではと思ってしまうほど好きだ。
ベースもかなり動きの多い曲で、特に1番のサビと2番のAメロの間で入ってくる4小節跨ぎのフレーズには痺れる。
この曲はライブだと最後のサビでhyde、ken、tetsuyaがボーカルを分担して歌うのだが、ここが本当に神がかっている。
特にkenが生き生きと歌っていて、とても引き込まれてしまう。
2番のAメロのコーラス、アウトロの徐々に人がいなくなって終わる感じなど、上げ出したらキリがないほどに好きなところがたくさんある曲だ。
そして、LOVE FLIESというタイトルを聴いてこういう曲調の曲だと想像できた人がいたなら、その人は天才だと思う。

6.finale
NEO UNIVERSEとの両A面としてリリースされた曲。
tetsuya作曲らしからぬダークな雰囲気だが、あくまでもメロディはキャッチーで、さすがメロディ職人だと思ってしまう。
ダークな雰囲気はhydeのおどろおどろしさも感じるAメロのボーカルもそうだが、kenのギターが担っている部分が大きいと感じられる。
アルペジオを弾いた後にコードをアームで揺らすところや、Aメロの途中から入ってくるゴリゴリの刻みなど、この辺りの曲の中での演出は本当にすごいと思う。

7.STAY AWAY
このアルバムの中で1番ポップな曲。
ただその中でもタイトルがSTAY AWAYというのが印象的で、作詞はhydeだが、どこかbraveryと似た雰囲気が漂っているように感じられる。
この曲はとにかく終始ベースが目立っており、ゴリゴリの音色でフレーズを弾きまくっている。
ベースソロと呼べるような箇所もあり、L'Arc〜en〜Cielの中でも屈指のベースが目立つ曲だと思う。
そのベースソロのところではマニアックなエフェクターが使われており、ライブの時の機材解説を見ると、まさにそのエフェクターがそのままボードに組み込まれていた。
ちなみにこの曲のキーはAで、DIVE TO BLUEと一緒なのだが、DIVE TO BLUEのCメロ〜ギターソロ途中までと、この曲の最後のサビはコードが同じである。
キーAから転調してこのコード進行にたどり着くのだが、これはtetsuya節なのかもしれない。

8.ROUTE666
このアルバムでは数少ないhyde作曲の一曲。
ストレートなロックで、タイトルからしてHYDEソロの『666』に収録されていてもおかしくないような勢いのある曲だが、L'Arc〜en〜Cielのメンバーが演奏するとこうなるのか…という驚きがある。
まず曲の象徴になっているのはベースのリフで、それに呼応するようにギターのフレーズが入ってくる。
ギターは所々でサーフロックというか、モズライトでテケテケと弾いていそうな感じのフレーズがあり、ギターソロも同じようなテイストで弾かれている。
ベースはSTAY AWAYに続いてこの曲もかなり動きがあり、代名詞の一つといってもいいであろう細かいトリルをふんだんに使ったフレーズを曲通じて聴くことができる。
初めてこのアルバムを聴いた時に1番印象に残ったのはこの曲だった。
ギターソロ前のhydeのトゥルルルルルルルを真似しようとしたが、上手くできなかった。

9.TIME SLIP
どことなく物悲しい雰囲気のある、ミディアムテンポの一曲。
個人的にはSell My Soulと似た雰囲気を感じている。
この雰囲気を再現できるかは別とすれば、楽器の演奏難易度はL'Arc〜en〜Cielの中では低い方なのではないだろうか。
ギターで印象的なのが、タイムスリップしたかのような少しローファイ(?)な音色が使われていることだ。
それとは別にシタール風の音色も使われている箇所があり、この辺りから時間旅行感を感じた。
この曲のサビのギターのフレーズ、アルペジオベースのフレーズを弾きながらC♯にたどり着く流れは非常に美しいと思う。

10.a silent letter
初めて聴いた時には暗過ぎると感じて受け入れられなかった一曲。
後にHYDEソロの『ROENTGEN』が出た時には、この雰囲気a silent letterっぽいと思ったのを覚えている。
そう思って調べていたら、黒ミサではこの曲が演奏されたらしい。
親和性バッチリだと思う。
個人的にはこの曲はfinaleよりもダークで、得体の知れない怖さを感じる。
それはメロディがfinaleに比べるとポップでない、hydeの歌い方、kenの最後のサビの裏のギターフレーズ等、様々な要素が合わさってそう感じられるんだろう。
こうした雰囲気を演出できるバンドは数少ないのではないだろうか。

11.ALL YEAR AROUND FALLING IN LOVE
ラストを飾る一曲。
正直この曲は、この曲だけで一つ記事を書きたいと思うくらいに好きな曲だ。
なので、2020年のツアーでこの曲が演奏されたと知った時には、震え上がるくらい嬉しかった。
その前までのL'Arc〜en〜Cielのリリースペース的に、解散するかもしれない、この曲はもう演奏されることがないかもしれないと思っていたのもあって、余計に感動した。
ツアーが中断となり生で聴くことは叶わなかったが、それでも嬉しい。
それくらいに好きな曲だ。
このアルバムは全体的に暗い雰囲気が立ち込めている。
その10曲目までを経て、最後に控えているこの曲はそれまでの暗さを浄化してくれるように感じる。
今は『REAL』の持つこの暗さも好きだ。
ただ、この曲が最後に控えていることで、最後に幸福感を得られるというか、暗いだけでは終わらなかった!という充実感が得られるような気がする。

というわけで、全曲振り返ってみた。
ALL YEAR〜については場所を改めてまた書いてみようと思う。

全体を通じて評論家気取りのキモい文章になってしまって非常に申し訳がない。
あくまでも主観でのみ書き綴っているので、そんなの違うと万が一読んだ方が感じたとしても、変な奴がいるなくらいに思い留めてもらえると嬉しい。

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