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三権分立

はじめに

政治や法はとっつきにくい分野だと思われているのではいでしょうか。学校の公民の授業で教わってもいまいち実感できない人が多いと思われます。今回は政治の仕組みと役割についてお話ししたいと思います。法と政治は切り離されているように思わるかもしれませんが、法があっての政治で、法に基づいて政治は行われています。政治を知るにも法の知識がないと少し誤った見方をしてしまうことがあります。逆に法の知識があって政治の知識がなければ、同様に誤った見方をしてしまいます。そうならないためにも、両方の知識を付けましょう。

司法・立法・行政って一体何者?

司法とは法が正しく運用されているか監視することです。裁判所が司法にあたります。刑事裁判であれば法に基づき、被告の行動が有罪か無罪かを判断します。民事裁判であれば、原告と被告どちらの主張が法律的に正しいかを判断します。裁判所は国民だけでなく、立法や行政に法にのっとった行動をしているかチェックしています。
立法とは法を作ることです。国会や地方議会が立法機関です。国会では法律や規則などを審議して、本会議で決議します。よく本会議場で寝ている人を見て、あんなのが国会議員をやっているとはどういうことかと言われることが多いですが、実は本会議では決議を取るだけ、内容の審議は委員会ですでに行われています。寝ている人は投票を終えたか、待っているかのどちらかであることが多いです。
行政とは国会で作られた法を実際に運用することです。内閣や自治体の長が行政にあたります。行政は法の運用を行い、課題解決を行う機関です。行政運営を行いやすいように法律で定められていない細かなことについては政令や省令を定めて、実際の業務を行っています。そのため、ニュースでよく話題に上がります。国会と内閣が混同しやすいですが、国会は法律を作るところで、内閣は作られた法律を基に国家運営を行っていく機関です。よく似ていますが、全く違う機関です。

官僚と呼ばれる人たちは行政の職員になります。労働基準監督署を例にとると労働基準法が各企業で運用されているかをチェックします。違反している場合は、法に基づき罰則を与えることができます。労働問題でのお困りごとは労働基準監督署に是非相談してみてください。無料で相談できますし、匿名での相談も可能です。会社員だけでなく、アルバイトされている方も相談することができます。政治と法を切り離して考えられることが多いですが、すべては法の下で行動しています。行政が行うとすることも法的根拠があり、そのことを推し進めます。法に基づいて運営することを法治主義と言います。対義語は人治主義です。絶対王政が人治主義に当てはまります。

三権分立はなぜ必要なのか

立法で法を作り、行政が作られた法を運用し、司法がその法にのっとった政治を行っているか監視しています。近代国家では司法・立法・行政はそれぞれ独立し、それぞれの長がいます。日本の場合であれば、司法のトップは最高裁判所長官、立法のトップは衆議院議長・参議院議長、行政のトップは内閣総理大臣です。これらの長は同じ人がなることが禁じられています。権力集中が絶対主義の原因であるとホッブズをはじめとする思想家は考え、権力の分散を主張しました。民主国家ではこの考え方は当たり前で権力を分散させています。
議院内閣制だと国会と内閣が一緒になっているように思われますが、そのようなことはありません。国民が選んだ国会議員が内閣の長を指名しています。立法は行政の長を指名する権限も内閣を辞めさせる権限も持っています。逆に内閣は衆議院を解散する権限を持っています。内閣と国会が連動するシステムになっています。そのため、日本やイギリスの世論調査では内閣支持率と与党の支持率が直結します。それは議院内閣制を採用している国の宿命です。
大統領制を取っている国は国民が大統領を選び、議会の承認を経ずに選出されます。大統領制を取っている国の方が民主的と言われることが多いですが、大統領制を取っている国は議会に対する権限が小さく、大統領の政党と議会の与党が異なる場合は政権運営ができず機能停止することがあります。実は大統領よりも総理大臣の方が議会に対する権限は強いのです。
司法との関係について見ていきましょう。内閣は最高裁判所長官の指名とその他裁判官の任命を行います。司法が内閣に対して行うことは、政令や省令が違憲かどうかチェックしています。日本の司法の問題点は政治色の強い問題を忌避します。憲法問題で政治的な問題に関しては私法が関与することはありません。それは戦後日本がアメリカの顔色を窺っていたからと考えられています。政治色の強い問題に関して、違憲であると明言しないケースが多く放置されることが多いです。
国会に対しては作られた法律が違憲かどうかチェックしています。司法の役割は法に従っているかどうかをチェックすることです。国会は司法に対して、弾劾裁判と言って裁判官が不祥事を起こした場合にその裁判官を辞めされるかどうかを裁判します。
このように三権がそれぞれの機関を監視し合うことで、権力の濫用を防ぐことができます。日本では事例の少ないものもありますが、ヨーロッパなどではよく司法が行政や立法に対して違憲判決を下すことがよくあり、即時無効にしているケースが多いです。日本では戦後にアメリカへの配慮もあり、司法が消極的です。この課題を解決するのは我々です。他人事ではありません。

最後に

法は我々が生きるために必要なルールです。すべては法に従って運営されています。 人だけでなく、国家も法に従っています。法を破ると罰が与えられます。法や政治については義務教育の段階で教える必要があります。社会に出て働いたり、何かを契約したりするときに非常に重要になります。ブラック企業に勤めて苦しんでいる人は法の知識がなく、社会を変えることができず、そこから逃れることができないと思っていることが多いからです。本来、これらの知識を学校で教わることで、救われる人は少なくないはずです。教師をしている友人から聞きましたが、法的にまずい事例が多いそうです。法や政治はインテリの持っている知識ではなく、身を守るための武器です。知っていると知らないでは非常に大きな差が生まれます。生きていくうえで非常に大事な分野です。たった一度の人生も無駄にしないためにも法や政治の知識を身に付けましょう!

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