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中東事情

はじめに

イランと聞けば何を思いますか?危険、怖いなどイメージが最初に浮かべるでしょう。詳しい人はペルシア絨毯、ペルシア帝国、ゾロアスター教を思い浮かべるかと思います。実際、イランという国は一部地域を除き非常に安全です。パリのようなヨーロッパの大都市よりも安全です。実際、ヨーロッパであったような犯罪に巻き込まれるケースはごく稀です。そして面白い国です。一度行けばはまる国です。そして、日本が中東で大事にすべき国です。

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イランのイメージは何が作った?

では、なぜイランという国に対して、ネガティブなイメージが強いのでしょう?アメリカと敵対しているからと言っても過言ではありません。ペルシア湾を挟んで向かい側の国、サウディアラビアに対しては悪いイメージを持っている人は少ないはずです。アメリカと仲のいい国だからです。裏を返せば、アメリカと仲のいい国は悪いイメージがない。アメリカと仲の悪い国はイメージが悪い。これはなぜでしょうか?アメリカが世界の大国だからでしょうか?それも理由として考えられますが、日本に入ってくる国際情報はアメリカ寄りの情報だということです。アメリカ目線からの情報なので、このようになるのです。実際、サウディアラビアは近代国家とは思われないような刑罰を行ったり、人権侵害を平気で行ったりしています。最近ではすこしましになったと言われますが、それで怪しい部分は残っています。密かに、核開発を行っているとも言われています。さらにそれをアメリカが黙認しているとも言われています。イランは核開発を行っているとして、経済制裁を科せられました。


イランを最も敵対している国

イランはトランプ大統領になってから、再度経済制裁を科せられるようになりました。トランプ大統領がイランを目の敵にするのには理由があります。資産家のトランプ大統領はユダヤの支えがあり、ユダヤのルーツはイスラエルです。そのイスラエルを味方をしないはずがありません。イランはそのイスラエルと敵対して、中東諸国で唯一イスラエルに勝利した国でもあります。レバノンとイスラエルが戦争をしたとき、レバノンのヒズボラを支援したのがイランです。イスラエルにとってイランは中東最大の脅威です。その脅威を取り除きたいイスラエルとイスラエルの肩を持ちたいトランプ大統領の考えが一致しないはずがありません。そして、前任のオバマ元大統領の核合意離脱を決め、経済制裁を復活させたのです。

中東は下記図のような対立構図が存在します。サウディアラビアとイランが対立している理由はスンニ派とシーア派の対立です。両者は中東の覇権を争っています。そして、イスラームの覇権も争っています。ちなみにスンニ派がイスラーム教のマジョリティーです。シーア派はマイノリティーです。この2か国はペルシア湾を挟んで常に対立してきました。イランとサウディアラビアの覇権争いを具現させたのがイエメン内戦です。イランとサウディアラビアの断交内戦を激化させるのです。

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中東は様々な対立を抱えています。その原因は宗教対立と言われることが多いです。確かにそうですが、それは名目上の話です。実は資源が対立の元凶と言えます。世界各国が中東の資源を狙っています。資源権益が中東の対立を生んでいるのです。イスラーム教が対立を生んでいるといわれますが、あの地域にどの宗教があろうと結果は同じです。ちなみにペルシア湾の石油シェアは世界の半分近く占めているとのことです。戦争の歴史は資源争いの歴史と言っても過言ではありません。決して、好戦的な民族がいる、いないの話ではありません。つまり、資源があるところに争いが生まれます。イランはその渦中の国ということです。アメリカと対立をして、現在のようになっているのです。

日本はイランと付き合うべきか

イランは言わずと知れた資源大国です。石油、天然ガス、鉱物資源など様々です。現状、サウディアラビアの石油に依存している日本。東南アジアからの石油の輸入を増やそうとしていますが、ペルシア湾の比ではありません。やはり、湾岸諸国に頼らざるを得ない状況です。今年の5月からイランから石油の輸入を日本はストップしました。アメリカの経済制裁の一環です。イランの主な産業は石油・天然ガス産業です。石油の輸出ができなくなるととイラン経済に打撃を与えることになります。

しかし、イランの経済だけでなく、実は我々の首を絞めることにもなるのです。輸入量が減ることで、需要は輸入停止前と同じですので原油価格は上がります。原油価格が上がるとガソリン代、電気代は必ず上がります。回りまわって、その他の物価も上がります。製造工程で石油を使っているからです。サウディアラビア、UAE、バハレーンからの石油だけで賄えると石油小売業界は言っています。実際、賄うことは可能ですが、生活に間違いなく支障を来たします。原発から火力発電に切り替わっている昨今ですとなおのことです。

政治レベルから国民レベルの話を落とし込みます。政府間同士ではイランと中国は非常に良好な関係です。イランのインフラはほとんど中国が整備しているといっても過言ではありません。しかし、イラン国民はそれに対して、いい気持ではありません。イランでは中国に対する印象は拝金主義の権化のように思われています。お金ですべてを解決するといったところです。それに対して日本に対しては、真面目で熱心という非常によいイメージを持っています。国民感情レベルでは日本がイランに進出することは大歓迎なのです。ものづくりの技術やインフラ整備は日本をお手本にしたいとイランの人々は口々言っていました。政治の壁さえ超えることができれば、日本はイランでいい地位を築くことができるでしょう。

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