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移動手段?旅行の始まり?

はじめに

今日からGWの人が多いのではないでしょうか?みなさんは遠出をするときに何を使って移動されますか?車や鉄道、飛行機、中には船という方もいらっしゃるかもしれません。僕は鉄道での移動が好きです。僕自身が鉄道好きというのもありますが、チェックイン手続きがなく、乗り込んだらあとは寝て待つだけというのが非常に好きで楽です。鉄道の場合、寝過ごしてしまうこともあるので、その辺りは注意していますが。今回は鉄道がもたらすものについて書いていきたいと思います。

移動手段としての鉄道?それ自体が目的?

会社へ行くときにすし詰め状態の満員電車に乗っていると思います。その電車は何が目的で乗っていますか?と聞かれると間違いなく、会社へ行くためと答えられるはずです。乗っている電車が何であれ、会社の最寄り駅まで行けば、それでいいというものです。これは移動手段としての鉄道になります。移動手段としての鉄道は多くの人を乗せることを目的にしている鉄道で、自分の足の延長です。どの電車であろうが目的地まで行けるのであれば、その電車でも構わず乗れる電車です。このタイプは通勤電車や地下鉄、私鉄の通勤電車が分類されます。東海道新幹線はどちらかというとこちらに分類されます。
それに対して乗ること自体が目的の鉄道とは一体どのような鉄道でしょうか?それはいわゆる観光列車で、トワイライトエクスプレス瑞風やTRAIN SUITE四季島やななつ星が当てはまります。移動手段としての鉄道とは違い、社内設備も充実しており、まるで高級ホテルにいるような気分が味わえます。一般の人からすると観光列車が乗ること自体が目的の鉄道と思われるでしょう。しかし、さきほどの移動手段としての鉄道にあえて、在来線特急、東海道新幹線以外の新幹線を書きませんでした。これは書き忘れではありまん。


旭山動物園号とスーパーカムイ

在来線特急は東海道新幹線同様、移動手段としての鉄道として使われますが、新幹線と違い目的地に特化したものが車内にあることがあります。京都・大阪と鳥取・倉吉を結んでいるスーパーはくとは椅子の柄が鳥取県にまつわるものが描かれていたり、洗面台に因州和紙が使われていたりします。博多と大分を結ぶソニック号(883系)は大分にゆかりのあるものを通路に展示しています。京都・大阪―新宮を結ぶ一部のくろしお号(287系)には白浜町のアドベンチャーワールドをモチーフにしたパンダくろしお号が走っています。東海道新幹線はグリーン席を除き、2列3列の計5列シートになっていますが、他の新幹線では自由席は5列ですが、指定席は2列2列の4列であったり、グリーン車より上のクラスのグランクラスになると4列もありますが、3列の場合もあったりします、ファーストクラスような快適な空間が広がっています。僕もグランクラスに一度乗ってみたいと思うのですが、なかなか手が出ません。

ソニックの車内


乗ること自体が目的の鉄道はそれをコンセプトに作られたものもありますが、利用者がそう思うようになったものもあります。今ではなくなったブルートレインは、昔は移動手段としての鉄道でしたが、それに乗ること自体が目的の鉄道でした。そのきっかけとなったのが青函トンネル開通に合わせてできた上野―札幌を結ぶ北斗星で、その翌年に誕生した大阪―札幌を結ぶトワイライトエクスプレスです。どちらもバブルの時代にでき、車内設備は豪華でしたが、バブル崩壊後もその人気は衰えずチケットは常に争奪戦で、旅行会社がトワイライトエクスプレスで行く北海道旅行を組み、いつも盛況でした。トワイライトエクスプレスや北斗星は少し背伸びすれば手の届くブルートレインだったので、超高級な寝台列車より手ごろで好きでした。寝台列車は車内で1泊しますが、それが苦にならないような工夫が凝らされていました。これらのブルートレインは船旅に近いものがありますが、あの旅情は船旅にはなくブルートレインでしか味わえないものだと思います。

北斗星

都市部を通っている特急列車は通勤需要もありますが、移動手段に特化した鉄道でなく、乗った時から目的地を味わえるような工夫がされています。特急に乗っている時間は短くはないと思うので、うたた寝をした後に車内を散策してみてください。面白い発見があると思います。鉄道に付けられている愛称から旅先の情報のヒントになるかもしれません。鉄道が地方の活性化のカギを握っていて、観光列車や新しい列車を走らせることの集客効果は大きいと考えています。

鉄道好きは地理が強い?

ヨーロッパの鉄道はTGVやICEがありますが、これらはすべて種別であり、鉄道の愛称ではありません。TGVやICEは日本の新幹線を表す言葉で、新幹線パリ行きや特急ベルリン行きといった感じになります。日本は親しみを持ってもらうために鉄道に名前を付けます。その愛称が目的地と関係のある名前が付けられることがあります。先ほどのスーパーはくとは因幡の白兎が由来ですし、名古屋と長野を結ぶ特急は長野県の旧の国名である信濃からしなのという名前が付けられています。その特急の愛称からおおよその目的地が推測できるようになっています。

TGV


特急の行き先と愛称からその場所がどういう場所であるかが分かるようになります。先ほどのくろしおは和歌山県へ向かう列車で和歌山県の太平洋側には暖流の黒潮が流れています。北海道を代表する花からすずらんと名付けられた特急もありますし、秋田県と山形県の県境にそびえる鳥海山から鳥海と名付けられたブルートレイン(上野―青森:日本海周り)がありました。地理でこの都道府県の有名なものや特徴を一緒に覚えなければなりませんが、鉄道好きからすると鉄道の愛称からそういった知識もインプットされるのです。これは愛称が付けられているから、その周辺知識としてインプットされているだけであって、愛称がなければ、そういった知識が一緒にインプットされることはないと思います。
外国の特急の愛称はほぼ種別であり、日本のように同じ車両でも行き先が違ったり、停車駅が違ったりするだけで名前が変わるようなことはあまりないでしょう。日本特有の文化かもしれません。もしかすると、外国でも日本のような愛称はあるかもしれませんが、、、特急の愛称がその当時の人の思いや地元の方たちの思いが詰まっていると思います。新大阪と西鹿児島(現:鹿児島中央)を結んでいたブルートレインなはが誕生した当時は沖縄がアメリカの占領下で本土復帰の願いを込めて付けられました。なはは残念ながら廃止されましたが、なはのエンブレムは那覇市のゆいレールに寄贈され、展示されています。

東海道新幹線は最初にこだまとひかりが誕生し、こだまは音速を、ひかりは光速を彷彿とさせ、速さを連想されるものですが、ひかりより速い種別をのぞみとしたのは非常に素晴らしいと思います。実際には当時の国鉄の愛称はすべて大和言葉が由来であり、希望の大和言葉であるのぞみを採用したという話があります。物理的に光より速いものはありませんが、物理的なものでなく、人々の思いは光より明るく照らし、これからの日本への思いを託して付けられたのではないかと思います。今でも新幹線は人だけなく、人々の望みも一緒に乗せているのだと思います。



最後に

鉄道好きは少し変なイメージを持たれることがあります。アイドルと鉄道好きの男は女性からの人気は評判はあまりよくないですし、厄介なイメージやネガティブなイメージが付きまとっていることも否めません。駅や線路沿いで迷惑行為をする鉄道ファンが取りざたされることも多々あります。しかし、どんな趣味であれ、節度を持てば楽しめば何の問題はありませんし、その範囲であれば、健全です。世間一般的に健全と言われている趣味(スポーツなど)で、度を過ぎたことをすれば、単なる迷惑な人でしかありません。何をもって、健全不健全とするかは節度を持って楽しんでいるかどうかであって、ジャンルごとに分けられるものではないと思います。移動手段としての鉄道は限界を迎えつつありますが、乗ること自体が目的の鉄道はまだまだ可能性もありますし、移動手段としての鉄道に乗った時から旅先に行った気持ちにさせてくれるとそれも旅の1つの目的となり、乗ること自体が目的の鉄道とも言えます。鉄道は日本の貴重なインフラで世界一です。それを活かすのは我々、利用者です。利用者の使い方で鉄道インフラの今後を大きく左右すると言えるでしょう。

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