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遠くなった北陸

はじめに

今年の3月16日に北陸新幹線が金沢―敦賀間が開業したと書きました。開業して、福井や石川県の南部は活気に溢れています。しかし、以前は関西と北陸は鉄道一本で結ばれていたのに対して、今は敦賀を除いて乗り換えが必要です。先日、北陸に行く機会があり、その時に感じたことを書いていきたいと思います。

東京中心?北陸新幹線延伸

先日、能登(被害が小さかった地域)へ行き、移動はすべて鉄道でした。ルートは特急-新幹線―特急で2回乗り換えをし、大阪から敦賀までの特急サンダーバードが1時間半弱、敦賀―金沢が各駅停車の新幹線で1時間弱、金沢から目的まで30分前後でした。金沢で30分近く待たされ、一度改札を出て、金沢駅周辺を軽く散策できるほどです。北陸新幹線開業前も和倉温泉方面の場合は乗り換えが必要なこともありましたが、1本で行けました。しかし、北陸新幹線開通後は原則乗り換えが必要になり、今回の延伸で2回乗り換えが必要になりました。そして、乗車時間が短く、ゆっくりできずに降りなければなりませんでした。大阪から金沢まで行けていたころは2時間半ほど乗れたので多少ゆっくりすることはできましたが、今はなんだか忙しないです。
富山や金沢から東京へ行くことが何度かありましたが、非常に便利で関東圏から近くなったことを実感できました。東京から北陸方面へ行くときは非常にゆっくりできますが、関西から北陸方面へ行くときは非常に忙しなく、一本で行けていた頃の楽さはどこにもありません。東京を中心にインフラが整備されていることを実感し、関西が取り残されている感じがしました。東京からのアクセスが格段に良くなった反面、大阪からのアクセスが格段に悪くなり、かつての東京からのアクセス並みかそれ以上と言えます。関西にいる人間としては、一日でも早く、北陸と関西を一本でつなげてほしいです。
新幹線開業時に特急をすべて敦賀止まりにするのではなく、ある程度、残しておくべきだったと思います。しかし、法律で北陸新幹線のような整備新幹線は新幹線開通に伴い、並行在来線を切り離すことが定められていますので、一概にJR西日本の判断を批判することはできません。法律を改正して、ある程度の存続を許容すべきだと考えます。新幹線開通と同時に「はい、さようなら」は酷だと感じます。新幹線の恩恵を受けない地域は新幹線開通により不便になることは多々あり、かつての全特急停車駅であった富山県高岡市がその最たる例です。新幹線開通のメリットを享受し、さらに在来線のメリットも享受できる仕組みにする必要があると思います。

延伸の裏で起こった大きな値上げ

ダイヤ改正に伴う北陸新幹線延伸の裏でとんでもない値上げが起こっていました。それは乗継割引の廃止です。乗継割引とは、新幹線と在来線特急を特定の駅で乗り継ぐ場合、在来線特急の特急券代が半額になるというものです。それがJR全社からなくなってしまいました。しかも、北陸新幹線延伸で和倉温泉方面へは新幹線から乗り継がないといけないのに、乗継割引の廃止で、正規の特急料金が必要になってしまいました。
そして、一番の問題は関西方面からのアクセスが悪くなり、乗り換えの時間を含めて、短縮時間がそこまで大きく、新幹線特急料金が適用になるため、以前より値上がりしています。つまり、関西から北陸方面へはアクセスが悪くなっただけでなく、値段も数千円レベルで上がっています。JR西日本は関西から北陸へ行く場合は通常とは違う特別料金としていて、両方を定価で買うより安くはなっていますが、以前より値段が上がっているのは事実です。北陸方面については乗継割引を残すべきでしたし、関西まで新幹線が延伸するまではこの特例を残すべきだったと言えます。今こそ、北陸に人を呼び込まないといけない時期に分断を煽るようなことはすべきでなかったと感じます。
確かに関東方面から人が多くの人が石川県へ来るのだとは思いますが、以前より値段が高くなった状態で金沢から和倉温泉方面へ行く人はどれくらいいるのでしょうか?大半が金沢や加賀温泉へ行くのではないでしょうか?新幹線沿線だけが日本ではありません。新幹線沿線からは少し離れたところへのアクセスは必ず確保するべきで、そうしないと同じ都道府県でも 格差が広がっていく一方と言えます。乗継割引の廃止で、そういった懸念を感じざるを得ません。
能登半島の大地震が起こる前に社内で決まっていたことだとは思いますが、やはり震災後に少し見直すべきではなかったのかと思います。北陸新幹線延伸で関東方面から石川県南部と福井県はグッと近くなり、観光需要が高まっていると言えます。延伸が北陸三県の復興にプラスに働くと考えられますが、肝心の能登地方の復興にプラスに働くかは疑問が残ります。新幹線開通エリアは賑わっているように映り、それ以外のところはそうでもないように映りました。能登地方の応援割で人がどれだけ来るかが今後の復興の決め手になると思います。

最後に

北陸へ向かう特急電車は30年近く前にデビューした車両が走っており、もうそろそろ置き換えの時期と言われています。そのため、音や揺れが大きく社内で作業はそう簡単にできません。それに対して、北陸新幹線は比較的新しい車両なので、音や揺れが小さく、快適です。そして、シート間ピッチが広い、足を伸ばせます。新幹線が米原でも小浜経由でも構いませんが、新大阪まで開通すれば、以前のように北陸と関西が近い存在となります。しかし、それがいつになるか不透明なところが多く、現実的ではない可能性もあります。北陸新幹線は未完成の新幹線で、これで大阪までつながれば、本来の力を発揮すると思いますが、今の状態が続けば、北陸と関西の分断が常態化し、かつての関西と北陸の関係は消えてなくってしまうかもしれません。かつてのように近い存在であってほしいと願うばかりです。能登地方は北陸でものどぐろやブリやカニなどの海鮮がトップクラスに美味しい地域だと思います。お土産に輪島塗の食器かお箸を買ってみてはいかがでしょうか?

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