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おでんについて

桜が咲き、柔らかな光に包まれる春うららにもかかわらず、今回はおでんについて。

なぜ、この期に及んで冬に逆戻りするかのようなおでんかというと・・・

それは今回の冬もおでんを食べなかったからである。

おでんは冬の風物詩であるが、一人暮らしのためかなかなかおでんにありつけなくて悔やんでいたのが2016年の初頭である。

そのため今年こそはと意気込んでいたのが2017年の暮れである。

しかし、望み叶わず気づけば2018年春である。

いや、本当のことを言えばちょろっとだけは食べたのだが、僕が望むのはおでん屋さんに行きたかったのである。
もしくはおでん屋じゃなくて自宅でもいいのだが、おでんをメインで食事をしたかったのだ。

おでんが格別好きという訳でもなかったが、先ほども申し上げたようにおでんは冬の風物詩である。
寒い寒い、と言いながら大根に少量の辛子をつけて日本酒を一杯あおりたいのである。

ハイボールをフェイバリットにあげる僕だが、ここはやはり日本酒に限る。
熱燗をちびちび呑むのもいいのだが、熱燗は呑めないのだ。
それに熱燗に頼ればセンチメントが加味される。
おでんと日本酒だけで充分画になるのだ。わざわざ熱燗にしたら管を巻いて愚痴などこぼさないといけないではないか。
友人とカウンターで明日のことなど気にせずくだらないことを言いたい。

酒を呑むときぐらい愚痴などこぼしたくない。そして酒は一人では呑みたくない。一人だと気持ちのやり場に困る。

なんしか、今年もおでんを食べれなかった。
わざわざ呑みに行くときにおでんに行こうとはなりにくい。

おでんの具材と言えば何か。

大根、じゃがいも、ごぼう巻きに牛串。卵は水分が取られるから好まない。

おでんの由来とはなんだろうか。
僕が思うに「御田」なのではないだろうか。
田の恵みに感謝を込めて敬称の意を込め「御」をつけたのだろう。

これぐらいのことはネットで、まさしくグーグル先生に聞けばすぐに解ることだろう。
しかしこの真偽を調べることは敢えてしないでおく。見切り発車なままスタートする。曖昧なまま歩を進める。いつだってそうしてきたんだ。

それでこの「御田」なのだが、当然田にまつわるものであるべきだ。

田というよりは土にまつわるものであれば合点が行く。

まずは大根。
ふむふむ。これは土に埋まっているので良しとしよう。 

次にじゃがいも。
もちろんこれも問答無用で可である。全身が土に埋まっているのだ。

次にごぼう巻き。
巻いているものは練りものだがごぼうは色が土にしか見えないから許してやろう。

次に牛串。
・・・これは完全に不可である。
せめて植物であってほしい。そのくせ、これは何時間も煮込んだのだと手間がかかっていることの象徴とされるやつなのだ。
・・・しかし、これが美味しい。

でもこれはおでんの由来から大きく外れる。(卵もこれに当てはまるが好きでないため特段気にかけるつもりはない)

牛串は「御田」ではない。

牛串は「御牛」だ。

もし、つべこべ言わずに好きなものを、お好みに煮たものを食べろと言うならば。

そんなことを言うならば。

それはおでんではない。

お好み煮だ。


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