ゲームのしくみスプレマシー Vol.1 左回りの法則、ブーイング&クラップ、モチベーション・キープ、エスカレート・メソッド、プレイ・イメージ、スクリーン・デンシティを高める!、リピート・アクション、ワード・スピリッツ(1)~(3)、エモーショナル・プロデュース(1)~(2)
こんにちは、ゲームデザイナーの新田です。
お初の方も多いと思いますので、まずは自己紹介をします。
僕はゲーム業界でメインプログラマ、メインプランナーをしつつ、「大手の請負ではなく自分のゲームが作りたい」という希望を持ってサラリーマンをやめ、起業し、ゲーム会社を経営しています。
ゲーム業界在籍は20年以上になります。
ゲームデザインの研究については35年以上になります。
ゲームデザインにはプレイヤーが「絶対ハマる」チートのようなテクニックがいくつもあります。
プロのゲームデザイナーはそれを使ってプレイヤーをゲームにハメていきます。
プロはこれを当たり前のように使ってゲームを構築しています。
このようなテクニックは人間の普遍的な性質に根ざしているので、再現性があり、いつでもゲームに使えるゲームデザイナーの最強の武器になっています。
かなりやばい無敵の武器です。
一度覚えれば一生使えますし1つ1つは簡単ですので、知っておかないのはかなり勿体無いですね。
僕はゲームデザインの方法論やテクニックをウェブで公開している、割とレアな存在なので知り合いが僕の名前を出すと「あ、その人知ってる」とよく言われるようです。
ただ現場のゲームデザイナーは、僕のようにゲームデザインの方法論を公開はしていませんが、当たり前のようにチート級のテクニックをソシャゲやその他制作するゲームに惜しげもなく投入し、何百万人もの人がハマるゲームを作り出しています。
これがゲーム会社の収益の根幹になっているわけです。
こうした知識は、知っているか知っていないかで作るものに大きな差が出ます。
面白さの面でも当然違いますし、収益の面では何億、何十億も違ってきます。
僕が個人的に作ったゲームでも、1万人以上にプレイされ、勝手攻略ページができるような、5点満点で4.8点の非常に評価の高いゲームを作っています。
また守秘があるので詳しくは言えませんが、僕の作ったゲームデザイン教材が、大手の会社の開発マニュアルに使われたり、ゲーム専門学校の教材に使われたりしていたこともあります。
ゲームデザイン方法論の一部はウェブで
「メガヒットを作るためのゲームデザインパターン1、2」
として公開しているので、よければ見てください。
非常に好評で、これを密かに社内の教材として使っているゲーム会社が多いようです。
多くの会社は、他のゲームで使っているからとただただゲームシステムを真似して使っていますが、本質を押さえていないので中途半端なものになっていたりで、非常にもったい無いことになっているのが散見されます。
僕がテコ入れすればおそらくすぐに売り上げが何倍も違ったことになるはずです。
どんな小さなゲームであれ、ゲームデザインの知識は必須です。
ハイパーカジュアルなど、小さなゲームでもゲームデザイン次第で大きな効果を得られるしくみを入れ込むことができます。
なので個人開発、中小の会社でも爆発的なヒットを飛ばすことは夢ではありません。
100個作ってようやくヒットになったものが、5個作ってヒット、くらいの飛躍を得ることができます。
ゲームデザインのテクニックはゲームの規模や会社の規模に関係ありません。
どんなゲームでも面白くすることが可能です。
本当に知っているか、知っていないかです。
あなたがゲーム作りの経験があろうがなかろうが関係ありません。
個人制作でも、ゲームデザインの本質を知っているかいないかでゲームの内容は変わりますし、ゲームが面白くなります。
ゲームを作って一番まずいのがゲームが面白くないことです。
しょぼいゲームをいくら作ってもプレイヤーに評価されないのは当たり前のことです。
ゲームが面白くなれば、ゲーム作りが面白くなり、あなたの作るゲームはプレイヤーの賞賛を浴びることになり、ゲーム製作者としての人生が大きく変わるはずです。
ということで、僕が以前、一部の人だけに流していたゲームデザインメルマガをここに公開します。
ゲーム関係者は見ないと損する内容です。
ゲームデザインの本質と、秘匿されているチート級テクニックや裏技がかなり公開されているので、ぜひ見てください。
第1章 左回りの法則
●ある日の企画雑務
私はそのとき、ゲーム開発でメイン企画を務めていた。
「画面配置物はわたしが配置したいので、画像データの保存ファイルをもらえますか?」
画面配置物とは、体力ゲージや得点など、ゲーム画面の一番手前に配置される情報のこと。
その画像データをくれとの、プロデューサーからの要請だった。
ばかな! ありえない!
私は2つの意味でありえない! と思った。
そういったデータはグラフィックデザイナーが作成の管理責任を持つのであって、デザインを担当外の人の手にゆだねるなんてありえない!
画面配置物をなんの考えもなく(おそらくデザイン重視で)配置するなんてありえない!
私は要請を受け入れられない理由を説明して、なんとか納得してもらったのだった…。
* * * *
さて、1つめの理由は担当の問題なので置いておくとして。
2つめの理由には、実はゲームデザイン的な理由があります。
私が画面上になんらかの情報を配置するときには、「左回りの法則」を使っています。
人にはなぜか、左回りを好む、という習性があるのです。
例えば、スポーツ。
陸上競技のトラック、スピードスケート、野球のベース、すべて左回りですね。
ギャンブルでいうと、競馬、競輪、競艇、みんな左回りです。
F1などカーレースもだいたいコースは左回りです。
文字を横に書くときは、左から右に文字を書きますね。
このラインより上のエリアが無料で表示されます。
本屋で本棚を見ると、重要な本は左側から右側に並べられる傾向があります。
人は道路で交通規制をしないと、自然と左側通行になる傾向があるというデータもあります。
どうやら人は左から右に目線を移動させる傾向があり、左回りの方を右回りより好む傾向があるのです。
この法則は実際にビジネスの現場でも使われていまして、デパート、スーパーでお客の動線(巡回経路の線)を決めるときは、その流れが左回りになるように、売り場の位置を設計していると聞きます。
厳密に言うと、「左下」からの左回りです。
だから、ゲームで画面上になんらかの情報を配置するときは、「左下に一番重要な情報、それから左回りに、重要度の高い情報」と、配置していくことになります。
では、ダンジョン(地下迷路)のあるゲームを作るとしたらどうするでしょうか?
人は壁にぶつかると、右に曲がって壁に左手をついた形で左回りにダンジョンを移動しようとします。
ですから、やさしいダンジョンではその法則に沿えば出口に行くようにし、難しいダンジョンでは法則と逆の分岐をいくつか用意するようにダンジョンを設計すればいいことになります。
なんらかの空間デザインをする際は、「左回りの法則」を考慮にいれてみてください。
より人にやさしいインターフェイスを作ることができるでしょう。
第2章 ブーイング&クラップ
●部屋の中での宝探し実験
ある心理学の実験がありました。
それは部屋の中に隠された宝(コインなど)を探させる実験なのですが、被験者は宝がなんであるかを知らされていません。
ではどうやって宝を見つけるか? というと、部屋には数人の「誘導役」がいて、合図を出すことで見つけてもらうわけです。
最初の実験では、誘導役は被験者(宝を探す人)が宝のないところに行ったり、関係のないものを触ったりすると「ブー!」とブーイングを出します。
戸棚の前に行くと「ブー!」、冷蔵庫を開けると「ブー!」、とにかくブーイング。
この実験では、被験者は徐々に萎縮して動けなくなり、宝を探せなかった人もいました。
次に行われた実験では、誘導役は被験者が宝のあるところに近づくと「パチパチパチ!」と拍手をします。
窓際に近づくと「パチパチ!」、花瓶に触れると「パチパチ!」という具合で拍手が響きます。
この結果、実験を受けた被験者は全員宝を探すことができました。
●ゲームをプレイする対価
この実験でわかったのは、
1・禁止だけだと被験者は選択肢がだんだん見えなくなり、最後には動けなくなった
2・賞賛を与えると、被験者は早く宝を見つけることができた
ということでした。
ゲームでもそうですが、例えばアクションゲームでプレイヤーをおとしいれる仕掛けばかりが多くてギャーギャープレイヤーキャラが叫ぶだけになってたり、RPGでせっかく話を進めたのに、希望もなにもない鬱屈した悲惨な展開にばかり話が進んでいくと、プレイヤーはなにをやっても「罰」ばかり与えられている気になってしまい、それだけで「ほんっとにつまらないゲーム!」の烙印を押されてしまいます。
ゲームは現実への物質的な対価がない。
しかし、精神的な対価はあります。
それはゲーム内での「賞」であり、「賞賛」です。
ゲームはプレイヤーが達成したことに対して「賞」もしくは「賞賛」を与え続け、引っ張っていくほうがよい。
これは「じゃあ障害はいらないんだ」ということではないです。
越えるべき障害は必要です。
障害を越えたところに、達成感があるからです。
なにも達成しないのに「賞賛」はありません。
障害を越えたら、「賞賛」はそれ相応に大きなものであったほうがよい。
シューティングゲームでは敵をサクサク撃破できるタイプが好まれます。
RPGも敵をサクサク倒してガンガン勝利を積み重ね、アイテムがモリモリ拾えるほうが嬉しい(いいアイテムがモリモリ貰えるのとは違うところに注意)。
越える障害を、小目標にしましょう。
小目標はステージをクリアしたこと、話を進めたこと、レベルを上げたこと、必殺技が成功したこと、なにかが「できた」ことなどです。
ゲームの始めから終わりまでを小目標で段階的に区切り、達成したところで「パチパチ!」と拍手をして誘導していく。
そうすれば、最後までプレイヤーを導くことができます。
第3章 モチベーション・キープ
●アキノ君のよくある日常
「なにをすればいいのコレ。わっかんねー!」
アキノ君は先日買ってほっぽり出していたRPGをプレイして言った。
「わかんねー。どこいけばいいんだろう…。できることはやったし…」
だんだんイライラしてくるアキノ君。
30分くらいいろいろなことを試してみる。
以前行った町へ行き、いろいろな人に話し掛ける。
まだ行っていないところはないかと、フィールドを隅から隅まで歩く。
けれど、プレイヤーキャラは行ったり来たりしているだけ。
「…ああー! もう! つまんね!」
アキノ君はディスクを取り出した。
セーブもせずに電源をプチッと切る。
ディスクをケースにパチン! とはめた。
さて、このゲームは次、いつプレイされることになるのだろうか…?
* * * *
●ハマるしかけの基礎
さて私は今悩んでいます。
どうしたら今作っているゲームに「強烈な」モチベーションを持たせることができるようになるだろうか!?
どうすればプレイヤーが「ハマる」のか!?
その整理も兼ねてちょっと「モチベーション」について考えてみたいと思います。
ゲームはプレイヤーを飽きさせないようにしないといけません。
飽きるのが早いほどそれはまずいゲームですね。
なんで飽きるのか? というと、だいたいが
「なにをすればいいかわからない」
からです。
なにをすればいいかわからないから、RPGのフィールドで同じ動作を延々と繰り返す。
なにをすればいいかわからないから、シューティングゲームでいつも同じところで死ぬのを繰り返す。
なにをすればいいかわからないから、レースゲームで時間切れになるのを何度も繰り返す。
なにをすればいいかわからないから、ゲームはやめられてしまいます。
やめられてしまうと、これはゲームにとって「機会の損失」なんですね。
ゲームを「面白い!」って思ってもらうためには、まずプレイを続けてもらわなければならないんです。
「ハマる」という言葉は言葉に過ぎない。
その本当の意味は、「延々と続ける」ということ。
ですから、
「なにをすればいいかわかる」
状態にして、延々と続けられるようにすることが、ゲームの基本のひとつだと思うんです。
ではどうすれば、「なにをすればいいかわかる」のでしょうか?
それは「目的」を作ること。
で、その目的はたとえば「モンスターを倒す」という小目的。
それが積み重なって、レベルが上がる、中ボスに辿り着く、別の町に進む、お話が進む、などの中目的に辿り着く。
そして最終的に、「大魔王を倒し、お姫様を助ける」という大目的に辿り着きます。
目の前にある目的、それが積み重なって、大きな目的にとどく。
だから、続けてもらうには、小目的を常に与え続けることが必要になります。
目の前にある、「すること」!!
それが、「ハマり」に繋がる。
プレイヤーが、進んでしたがる「すること」を小目的にするんです。
もしくは、すごいご褒美がある「すること」を小目的にするんです。
人がしたがり、欲しがるのは、感情を刺激することです。
戦って敵をぶっとばす!!
敵地を占領する!!
宝物を探す!!
そしてそれを積み重ねたら、賞賛して盛り上げる!!
常にすることが感情を刺激することなら、ハマること請け合いだと思います。
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