お父さんへ20

お父さんがなぜ私を施設へやらなかったのか、ずっと考えていました。
お父さんだって、夜勤や泊りのあるサービス業をしながら小さい子どもを育てるのは
とても大変だったと思います。

たぶん、おばあちゃんが養女を産みの親に引き取られて、
そのことをお父さんにも話していたんだろうね。
おばあちゃんは、産みの親に渡さずに自分で育てればよかったってことをお父さんにもよく言っていたんじゃないかな?

お父さんは、私をこの家から嫁に出すってことに強くこだわっていたよね。
それはきっと、おばあちゃんが持っていた、養女に対しての思いだったんだよね。
そのおばあちゃんの思いを、お父さんが引き継いでしまったんだよね。

だから、『本当に子どものためになることは何か?』
ということには考えが及ばず、8歳の女の子を頻繁に1人で朝まで留守番させたんだよね。
お父さんは、お父さんお母さんやお兄さんもいて、家に1人で寂しいとか怖い思いをしたことがなかったから、私がどれだけ怖い思いをしたかも分からなかったよね。


本当に子どものことを考えていたら、きっとお母さんのお姉さんが私を育てると言ってくれた時、お願いしていたよね。
それが一番良かったと私は今思います。
むしろそうして欲しかったです。

だけどお父さんは、おばあちゃんの
「娘を産みの母親に取られた。自分で育てて自分の家から嫁に出したかった。」
という無念の思いを引き継いでしまいましたね。
だから自分の娘にも同じようにしてしまったんだね。
娘がトラウマを抱えるとも知らずに。


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