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自分の人生が1つの物語だとしたら

今更と言われるほど今更ではあるが、原田マハさんの
「本日は、お日柄もよく」を読了。

普段小説をなかなか読まない(というか読めない)側でありながら、前々からレビューを見ては気になっていた1冊だった。

スピーチをテーマにした本書は、物語としても面白かったが、「語り」を武器に生きる人たちにとってもなるほどなぁと勉強になるものだった。

自分自身、教師という立場として日々子どもたちに語る場面は多い。プレゼンとはまた違うけれども、参考になる場面はたくさんあった。

物語の中で出てくるスピーチも、文面だけでありながら、胸を打たれる感動的なものが多々あった。
改めて、「言葉の力って凄いなぁ‥」と思わされた。



‥さて、どんな物語にだって、一部の例外を除いて、大抵は何かしらのハプニングや悲劇、トラブル、困難はつきものである。

本書では、主人公ではなく、かけがえのない友人になんとも居た堪れない悲劇が襲い掛かる。読んでいて、あんまりだと思った。あまりにも悲痛な出来事だった。

主人公は、直接我が身に何か起きた訳ではなかったものの、取り乱し、何ができるのだろうと困惑していた。自分も、同じ立場なら、なんと声をかけられるだろうか‥と思った。
ましてや、その当事者となったら‥とても立ち直れないのではないかと思うほど。


‥結果的に、この物語に出てくる人物たちは、その悲劇にも真摯に向き合い、そして悲劇を産んだ現実に立ち向かっていき、国を動かしていき、そして幸せを築き上げていった。

なんて、強いんだろう。



読み終えて、温かく、優しく、穏やかな気持ちになれた。
‥と、同時に、感じた。


ある人の人生の一部分が、こうやって、物語になるんだなと。

このお話自体はフィクションなのだろうが、誰にだって、物語よろしく、絶好調な時もあれば、思わぬ困難や悲劇に見舞われることもある。


波瀾万丈

順風満帆なだけの人生は、誰の心にも響かない。

逆境があるから。困難があるから。悲劇があるから。苦難があるから。

だから、物語は盛り上がる。


だから、登場人物に自己投影し、共感し、心を打たれる。

だから、ハッピーエンドになった時に、より感動する。


ふと思った。

もし僕の今の現状が、この人生が、1つの物語であったとするならば、
今はいったい、どの章なんだろうなぁ‥と。

割と今の自分は、平々凡々と、どうにか日々を生きることはできている。きっとそれは、幸せなことなんだと思う。

でも、やっぱり人にはいえない厳しさと困難さ、そして忘れられない過去がある。

そこから少しずつ立ち上がってきたけれど、僕は今、どの辺りにいるんだろう。


ハッピーエンドに向かっているんだろうか。

バッドエンドに向かっているんだろうか。

はたまた何の面白みも興味も持たれないような、物語にすらならないまま終わるのか。


物語であるとするならば、そろそろ自分にも、逆転の兆しが、好転のサインが、生まれ変わるきっかけが、起きてくるに違いない。


そんな望みを密かに抱えつつ、生きてみるのも悪くないのかなと思う。

きっと何かしら、僕には僕なりの、何か意味があって、これまでの人生がある。

あの時色々あったけど、ここまで頑張ってきて良かったなと。
あの時色々あったけど、今こうして幸せに生きられていて良かったなと。

エピローグでは、そう言えるような人生を歩みたい。

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