『陰翳礼讃』谷崎潤一郎【読書感想文】

あらすじ

 西洋と日本との美意識について語られた随筆。
西洋は、暗い場所を消し、明るさに美を見出すことに執心した。一方で日本は暗さ(陰翳)にむしろ美を見出し、その暗さに調和するように芸術を昇華させていった。

感想

 参りました。色褪せません。
冒頭からずっと、分かるなぁ、と思って読み耽りました。確かに障子は鏡張りより、紙。厠(トイレ)が離れにあって冬寒いなぁ、遠いなと思ってもその寒さと遠さがなんだか風情なのだろうと感じます。


 現代を生きる自分、いや、西洋文化が浸透しきった現代だからこそ一層、この本の原説が滲みるのかなと思いました。 空間に興味がある人なら、読めば共感できるはずです。最近買った谷崎潤一郎氏のマゾヒズムについて書かれた本も良いけれど、これもまた文句なしの名作だと思いました。



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