『肉体の学校』三島由紀夫【読書感想文】

「こんなに二人が、何も心なんか要らないほど、純粋に身体だけで愛し合ったことはなかったような気がした」

あらすじ

 浅野妙子は、離婚後に洋裁店を立ち上げ、成功していた。ある日、友人から素敵なバーテンダーがいる、と誘われて訪れたゲイ・バアで佐藤千吉に一目惚れする。そこから、2人の関係が始まりだした。感情を揺り動かされならも、妙子の千吉への気持ちは強まる一方であるが……?

感想

 対比的な表現が美しく構成されていて、素晴らしいの一言。 妙子と千吉の関係は、古今東西、恋愛物語の要素にもよくあるような。月並な言い方をすると「格差カップル」や「年の差カップル」これらの対比が非常に流麗に物語を通り抜け、痛快な仕上がりになっている。
 また、主人公の妙子は、オトナな女性でありながらも千吉の言動に内心で激しく喜怒哀楽するというカワイラシサもあり、これもまた非常に魅力的。
 自分の三島由紀夫に対するイメージとは、『金閣寺』の博学多才さであったのだけれど。 この小説は新たな彼の発見にもなった。彼の恋愛観は、現代でもなお、褪せない美しさがある。

令和の時代だからこそ読んで欲しい一冊。



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