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自転車



昔から自転車をよく盗まれる。
鍵をうっかり忘れていた時もあったが
鍵を掛けていても盗まれる。
家族や友人に
え?また?うそやろ。とデジャブかのように言われる。

過去10年間で6回盗まれた。

そして、その内3回返ってくるという謎の返却率。。
いや、いつも見つけてくれるお巡りさんに感謝。

幸いなのか、兄弟が多い私は
盗まれるたび、兄達の自転車を借りたり、
いつの時代の色?というような
令和の時代には滅多にお目にかからない
イカツイ紫色の自転車に、ご丁寧に白いペンキででっかく名前が書いてある祖母の愛車を借りたり、
2分の1の確率にかけてダッシュで学校に通っていた時もあった。

そんな6回中3回の中で、不思議な返り方をした愛車がいる。


ある日知らない番号からの着信に出ると
山口県警からだった。

何も悪い事はしていないけど
短い時間で過去を振り返る自分。

パトカー見るとちょっとドキッとするやーつ。

話を聞くと、
"大阪で盗難届が出されていた自転車が山口県で見つかりました"とのこと。

ん???



私は大阪に住んでいた時代があり、
当然のようにその時代も自転車は盗まれていて、
その後地元の山口県に帰ったのだが
どうやら大阪で盗まれた自転車が山口県で発見されたという。

え?そんな事ある??笑

引き取りに行くと
たしかに大阪時代の愛車2号だった。


盗まれてから3.4年は経っていたけど
まだ乗れなくは無い状態で、
破棄してくれるとお巡りさんに言われたが
思わず連れて帰った。

なんとも不思議な気分だった。


この愛車2号は、私の元を離れた後
どうしていたのだろう。

1人の人がやむ負えず自転車を盗み、
西へと向かった目的地がたまたま私の地元だった

とか

盗んでは乗り捨て、また誰かに拾われて捨てられを繰り返して奇跡的に私の元まで帰ってきたのか。

そんな妄想をするのは
この愛車2号は思い出が詰まっていたから。

パティシエの修行時代を過ごした大阪で
愛車1号が盗まれ
お金がないから新しい自転車はすぐには買えず
早朝、走って出勤していた。
1分でも長く寝たかったあの頃にはやっぱり自転車はなくてはならない物で
安いのを探して買った。

そして一年足らずでまた盗まれた。

あの頃は寝ていなかったせいか
めちゃくちゃ腹が立った。
なんで自分ばっかりなん。
もっとええ自転車あるやろ。
いや丁度盗みやすい自転車なんやろか。
いやでもなんで私のなん!!!!

ほんとにムカついた。


だけど、返ってきて
久しぶりに思い出を振り返れて
ちょっとおもろいなと思った。

人の物は盗んだらいかん。

でも、私のなけなしのお金で買った愛車が
もし、誰かの役に立てたなら
一瞬でも誰かの足になれたなら
ええかもなって。

実際、そんなキレイな事ではないかもしれないけど


妄想ぐらいきれいでいいでしょう。


そんな事を思い出した昨晩は
アゴ長めの三日月がとってもきれいでした。


写真は中秋の名月の時のです。


秋ですね。。

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