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スタートアップがCTOを採用する手順

前回の記事

すでにCTOが在籍している場合、あるいは採用すべきCTOの要件を言語化できているならば問題ない。むしろ実際に一番ありそうなのは「そもそも当社においてCTOというポジションが必要なのかわからない」だ。実はこれはかなり難しい問題で一般的な解はない。ただし有用な思考プロセスは提供できる。

経営課題

「今、会社が解決しなければならないものはなにか」

CTOという話題以前になにをしたいのかを考えよう。短期から中長期に渡って、企業価値を最速で最大化することが経営チームのミッションである。このための具体的なトピックが経営課題だ。

事業計画の達成を阻害する直接的で具体的な要因を考えなければならない。「エンジニア採用で困っている」。これはよく聞くがあまり直接的ではないいし具体的でもない。採用は全ての会社の共通のトピックだが、それによって何が起きているかは各社によって事情が異なる、こちらのほうが重要だ。CEOが観測できる直接的なメトリクスは次の2つしかない。

  • 開発速度が計画より遅い(開発が遅いか、難しいか、人員が足りないか、能力が足りないか、見込みが甘いか、コミュニケーション不全を起こしているか、技術的負債が多すぎるか)

  • コストが高すぎる(開発費か、人件費か、サーバ費用か)

この2点において、現在特に悩んでいなく長期においても悩みそうもないならCTOの話はとりあえず忘れていい。

経営チーム

「現在の経営チームは課題を十分に解決可能か」

次に考えるべきは、その課題は今の自分達で解決できるのだろうかということだ。解決可能ならばCTOは今の所必要ない。

問題は解決が難しい場合だ。これは能力があるかどうかに加えて、十分にリソースを割けるかどうかという点も考慮される。

課題を現在のチームが解決できない場合、チームを調整する必要がある。CTOが必要かはまだわからないがとにかく調整する必要がある。

採用すべき人材

「課題を解決可能なようにチームを再編成したときに、そのうちの一人はCTOと呼ぶのが一番しっくりくる」

経営チームはサッカーチームに似ている、絶対に必要なポジションというのはCEO以外に存在しない。新しいメンバーとして適切かどうかは、そのチームの採用しているシステムと他のメンバーとの関係で決まる。全てのチームにフィットできるメンバーもいない。

CTOという単語はほとんどなんの意味もないハリボテ的な単語だが、これを使えば説明コストを多少は節約できることがある。

じゃあどうする

基本的な思考プロセスは以上だが、これで話が済むかというとそうもならない。

  • 最適な経営チームがわからない

  • CTOを探すということは自分達にその能力がないことを自白している

  • 知り合いがいない

全て難しい問題でこれといって銀の弾丸はないが良いプラクティスはある。

  • 経営チームと言っても無数に組み合わせがあるわけではない、典型的な類型というのはある。似たような苦労や失敗をした人は世界のどこかに大抵いる。

  • オープンな組織をつくる、失敗に寛容な組織をつくる。そうしておけば「CTOの採用」というビッグトラブル(!)にも対応しやすい。

  • スタートアップの場合は特に現場に近い仕事が期待されるだろうから、CxOは「後方互換」をもつことが望ましい。つまり、その人がCTOとして機能しないとしても採用したくなるような人材をCTOにすべきだ。(この観点で考えると、そもそもCTOは外部からの採用をしない方がスムーズである)。

Next: オンボーディング

「ある人がCTOあるいはCTO候補となったときなにをやるべきか」

新入社員のオンボーディングは非常に重要である。ならば経営メンバーのオンボーディングが重要でないはずがない。次回このあたりを書く。

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