エンジニア組織のマネージャー・レプリケーション
副題は「Minimum Viable Manager」
主にエンジニアやデザイナーのマネージャーをどうやって見繕うのかについてのお話
典型的な悩み
これまで何回かエンジニアリングマネージャーについて書いたりした。
実はこれは機能別組織のマネージャーに共通する話題である。特に、エンジニアとデザイナーはこの傾向が顕著に出る。
(多くの場合)メンバー数が多い、人数が多いのだから本来はマネージャーも多くいてほしいはずである
(一方で)極めて専門的であり、普通はマネージャーなんてやりたくない
これに対する1つの解は軽量なマネージャーだ。
これの具体的なプロセスを考えてみよう。
マネージャー・レプリケーション
Full-sized manager
1人の部長、1人のグループマネージャー、8人のメンバーみたいな構成の組織を考えてみる(マネージャーを1人としたが本当は他にもいると思ってほしい)。
メンバーが8人というのはコミュニケーションが破綻するほどではないが、組織が大きくなると早々に辛くなりそうだ。次の3ヶ月で3人がジョインするなら3ヶ月後には辛いことになっている。
3ヶ月後にちょうどマネージャーが1人都合よく現れてくれれば良いがそうはならないだろうからもう少し現実的な手段を考える。
Minimum manager
完璧かつ完全なマネージャーを用意するのは難しいだろうから、逆に最小限のマネージャーを用意することを考えよう。
次の思考実験を行なう。
メンバーの内、誰か1人をマネージャーにする
グループは元のグループと同一のミッションと機能をもたせる
元のグループのマネージャーはグループのすべての仕事をこれまでと同様に行なう
これによる変化は
レポートラインが部長直下になる
マネージャーが利用できる権限がつく(かもしれない)
部署外のメンバーはその人をマネージャーであると認識する
これは良い。得られるものはほとんどないが、失うものも何もないし、やり直すのも簡単にできる。小さいことは良いことだ。
Minimum viable manager
マネージャーの重要な役割の1つが人事、すなわちメンバーの採用・配置・育成・評価だ。さっきのままでも採用はできそうだが、配置と育成と評価はできない。これをできるようにしよう。
メンバーを一人だけ新任のマネージャーにつける。
これで、元と新の両方のマネージャーの負荷を最小限にしつつ、マネージャーのアクションをすべて実行可能にできる。
この状態で上手く行かないのであれば元に戻せば良い。まだ引き返すのは簡単だ。
分担と引き継ぎ
元のマネージャーから仕事の一部を分担して引き継いでいこう。
仕事を分担するのに伴ってメンバーも異動すると良いだろう。この時点で十分な恩恵を受けられる。
元のマネージャー
自身の仕事を軽減していける
悩みを相談できる相手が増える
(おそらく)休みをとりやすくなるだろう
新しいマネージャー
すこしずつ負担を増やしていける
仕事に慣れることを優先できる
(そのうち)ムーンショットな仕事をしやすくなる
この時点で十分に恩恵を受けているなら、元に戻せるかを心配することないだろう。それより次のフェーズに進めたくなっているのではないか。
完全な分離へ
2人のマネージャーが協調できていれば、自然と役割は分離していく。
そのときには、グループごとにミッションと機能を再定義できる機会が生まれる。そう、やりたかったのはこれだ。
おわりに
リードタイムの話をしておくと
最初の3ヶ月はminimum viable
次の3ヶ月で分担と引き継ぎ
さらに次の3〜6ヶ月で完全な分離へ
というぐらいのペースで考えると組織のスケールと合う形で運用できる(守破離とも解釈できる、これくらいなら個人OKRの設定もしやすい)。
もし戻したくなったら戻せば良い。そのときには、「マネージャーの仕事をよく理解している頼もしいメンバー」が1人増えるという結果が得られる。
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