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スタートアップにおける企業文化の要点
文化をこういう風に考えているよというお話し
組織デザインについてはこっち
企業文化
企業文化とはなにか?
そもそも文化という単語自体に抽象的な感じを受けるが、その定義について論じたいわけではない。ここではスタートアップが生き残るために実用的な話をしたい。キーワードは行動だ。
『爆速成長マネジメント』より
企業文化とは、組織の結束力を生む不文律の価値観やルールのことだ。この企業文化は社員のすべての行動の基盤となる。
できるだけ実用的に表現するとこうだろうか、企業文化とは明確な指示、目的、ルールがないときに社員がとるデフォルトの行動である。正解が特に示されない状況で最初に選ぶ選択肢、それが文化だ。
簡単な例を挙げる。「オフィスのゴミ箱がいっぱいになっていることに気づいた、このときの行動は?」たぶん次のどれかだろう。
ゴミ袋を縛って横に置き、新しい袋をゴミ箱に入れる、いっぱいになった袋は回収所まで持っていく
ゴミ箱がいっぱいになっていることを管理部の誰かに言う
ゴミ箱がいっぱいになっているがどうすればよいのかわからないので近くの人に聞く
なにもしない、自分の仕事ではないのですぐに忘れる
なにもしないが気になるので遠くから観察する
どれが正解というものはない。業務命令としてこれらの指示が与えられることもないと思う。ただ、多くの社員がとるであろう行動とやってほしいと思う行動はあるはずだ。
別の例を挙げてみよう。「目的不明なMTGがカレンダーにセットされていることに気づいた、このときの行動は?」
「これなんですか?」と無邪気に聞く
「もしかしてあれですか?」と仮説をぶつけ、自分のポジションをとる
事前に準備しておくと良いものがあるかどうかを聞き、MTGに備える
一声かけてほしいと不満を言う
MTGを開催せずに問題解決できるならしてしまう
特に準備せずにMTGに行ってみる
当然その場に応じて適切なコミュニケーションというのはあるだろう。ここで考えているのはその「適切」が全くわからない場合だ。これは社風ではない、デザインされるべきものだ。
文化と戦略
文化が社員の行動ならば、その行動は企業価値が最大化されるように最適化されなければならない。
例えば、もし会社がソフトウェアやインターネットに関連するものなら(スタートアップはほとんどそうだろう)、エンジニアは指示やルールがなくてもそのデフォルトの行動として技術的な研鑽を詰み、プロダクトに高い技術力を反映し、技術的な発信することを奨励されるだろう。これはおそらく会社の戦略に沿ったものである。
戦略に反する行動をとることや、戦略に対し取るべき行動がとられないということは、その文化を調整する必要があるというシグナルである。
文化と組織デザイン
企業は明確な目的、指示、ルールを体系化することがある。これは組織デザインと呼ばれる。この観点で、企業文化は暗黙的な組織デザインとも言える。
組織デザインをコミュニケーションのアーキテクチャと捉えるなら、企業文化はコミュニケーションのイディオムである。どんなプロダクトにもそのプロダクト特有の「明文化されていないが多用されるコードの書き方」がある。エンジニアならわかる通り、いろいろな人の癖が混ざると相当につらい。フレームワーク、アーキテクチャ、コーディングガイドライン、Lintがあればある程度は防げるが完璧ではない。
非常に優れた文化があれば組織デザインがなくても組織を機能させることはできるだろうが、これはかなりの『名人芸』である。スケーラブルでないことは誰にでもわかる。一方、組織デザインだけで組織を機能させるのも無理がある。ツリー状のシンプルな組織図と記憶できる程度の社内ルールだけで人間をコントロールするのは不可能だ。
文化は明示的な組織デザインと補完的な関係にある。組織デザインは完全でないが、文化も完全になりえない。
文化とはあなたがとった行動である
文化が戦略に沿ったものでない場合はその文化は変えなければならない。さてどうするか。
企業文化は社員のデフォルトの行動であり、正しいと信じる行動である。その不文律をどこから学ぶか?それはあなたがとった行動から学ぶ。
明文化された規律
強く何度も言った言葉
あなたがとった行動
あなたがとらなかった行動
あなたがとった行動によって起きたこと
あなたがとらなかった行動によって起きたこと
あなたが注目した行動
あなたが無視した行動
これらは社員を引き寄せる力場になる。
また、文化はあなたの性格が反映される必要がある。
他社の文化から気づきを得るのはいいが、他社のやり方をそのままそっくりまねようとしないほうがいい。あなたの血と汗と魂から生まれた文化でなければ、文化に命が宿り生き続けることはない。
しっくりくるものをしっくりくる言葉で表現するのだ。そうしなければそれは他人事になってしまう。
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