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本を出したい女の話15

1人を突き進めた先に見えてくる、人と生きる事。それは仲間でもパートナーでも形はなんでもいい。1人でも幸せ、だけど更に人生の豊かさを増幅させるには人と生きる必要があると思った瞬間があった。次は、について話そうか。


足し算の愛と引き算の愛。

私は足し算の愛しか知らなかった。好きなら会いたいと思うし、言葉で愛情も伝えたい。喜んでくれそうなプレゼントを贈りたいし、その人に興味を持ち、話を聞くことが私の愛し方だった。

でもそれが年齢を重ねて沢山の人と会い、自分の守りたいものが増えると同時に随分と思考が凝り固まって与えてもらう愛で愛情を測るようになってしまっていた。デートがスマートだからとか、連絡を沢山くれるからとか、尽くしてくれるからとか。もちろんこれらはあるに越した事はない。その方が潤滑に交際できるとは思う。ただ、この現代。マッチングアプリというとんでもなく便利でお手軽なサービスが誕生した。
不要普及の外出を禁じられ、他者との関わりが一気に減ったコロナ禍を境にマッチングアプリは市民権を得たように思う。私も随分とお世話になった。そしてこれはなんとも中毒性のある無限脱出ゲームだということに気付くのはだいぶ先のこと。

アプリでは顔、年収、趣味、身長、文章の雰囲気など数字や目に見えるものでしか判断できない。そこのファーストステージを互いにクリアしてようやく実際に会うこととなる。会ってみて思ってたんと違うとなることもなられることもあって、その場合2回目に繋がる事はほぼない。会った後連絡がこなくなることも、会う約束をしていたのにも関わらずドタキャンやブロックされることもざらにあった。なんとお手軽。まるで回転寿司。合いそうな人が流れてきて、会うことになって、合わなければはい次。どこまでも出会えてしまうのだ。この人と上手くいかなくてもアプリにはいろんな人がいるし。と1人の人にかける熱量は圧倒的に減る。その為、どこで差別化するかとなると与えてくれるもので比較せざるを得ないのだ。大変失礼なことを言っているのはわかってるが続けるぞ。
お店を予約してくれた、お店の雰囲気が素敵だった、聞き上手だった、ご馳走してくれた、甘い言葉を言ってくれた。気持ちいいのだ、ちゃんと女として扱われていることが。普段男性性ゴリゴリで仕事を頑張ってるからこそ、この人なら私の弱さを理解してくれるんじゃないかと期待してしまう。でも大抵私じゃない誰かを選んでアプリを退会していく。

自分に自信がない当時の私のような女性ほど抜けられないと思う。日々の疲れや頑張りを男性の優しさで癒そうとしてる下心は大体透けて見えているはずだ。誠実な人ならそこできちんと一線を引いてくれるが、逆に男性側の下心を出してくる人も沢山いるだろう。どちらにせよ傷を負ってまた心の鎧が分厚くなる。傷つかないように更に軽率な気持ちで小綺麗な格好をし、好きでもない人と飲みにいき、好きになれるかを考える。

本当に、何やってたんだろう私。(苦笑)

もちろんアプリでもいい出会いは沢山あると思うし、そこからの結婚もこのご時世とても多い。アプリに問題があるのではない。当時うまくいかなかったのは私のマインドに原因があったのだ。何度でも言うが、まずは自分。自分を満たしてからじゃないともらう事ばかりを考えてしまう。あなたが愛をくれたら私もあげるというスタンスでは相手も疲弊してしまうし、そんな軽率な気持ちで接しても信頼関係は作れない。まんまと無限脱出ゲームの沼にハマっていた。

そんな時、なんとなく興味が湧いて行った誰も知らない飲み会にて私はまた人生における大切なことを教えてくれる人と出逢ったのだ。

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