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札幌銭湯スタンプラリー2023のこと(その27・藤の湯)

札幌銭湯スタンプラリー2023、27軒目は藤の湯さんへ。

いよいよゴールが近い。

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スタンプラリーの期限まであと10日。残す銭湯は3軒。

開始当初は「これ、余裕で回れるんじゃね?」などと思っていたが、全然そうではない。結構ギリギリだ。

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3日に1スタンプと考えれば楽勝な気もするが、何が起こるかわからない。
臨時休業、ウイルス感染、出頭命令、強制連行、軟禁、監禁などなど、ラリー完遂を阻むアクシデントが発生しないとは限らない。

ただ、余裕でゴールを迎えるよりは多少スリルのあるほうが楽しいよなとも思う。見えるか見えないかくらいが1番よいのと同じだ。

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今日はどこかの湯でスタンプを貰うぞと決めていたものの、藤の湯は選択肢から外していた。

何しろ手稲区である。

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手稲は遠すぎる。実質、札幌ではない。事実上、外国といってもよい。それどころか、本当に存在しているかどうかも定かではない。

それくらい遠い。

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しかしだ。

一応、とアクセスを調べてみたところ、職場の目の前から藤の湯がある手稲本町へと運んでくれるバスを発見。しかも平日の夕方に4本だけ。

これはきっと「仕事帰りに藤の湯へスタンプをもらいに行く人もいるだろう」というJR北海道バスの厚意によるものだろう。
ありがとう、JR北海道バス。飲み会やお見合いで「好きなバスは?」と訊かれたら「JR北海道バスです」と答えよう。

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かくして藤の湯着。

「JR北海道バス最高!セイッ!」
叫びながらスタンプ用紙を差し出した。

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藤の湯は昨年1月の初訪問以来だ。

そういえば、私の初訪問から程なくして藤の湯は災難に見舞われた。雪の重さで天井が抜けたのだ。

当然、湯は休業となった。正直、このままサヨウナラになるのではと思ったのだが、私の勝手な予想を華麗に裏切り、藤の湯は復活を果たした。不死鳥である。藤の湯が銭湯界の美空ひばりと呼ばれる所以である。

お互い色々あったけど、再会できてよかった。

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藤の湯の主浴槽は熱くて深い。
しかし私はそのことを忘れ、全く躊躇わず、無邪気に飛び込んだ。

「ドビュッシー!」

私の発した声を敢えて文字に起こすなら、こうだ。

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深呼吸をして心を落ち着かせると、その深さと熱さが決して暴力的なものではないとわかった。沁みる。

それはドビュッシーというよりもショパンのように優しい。一方でワーグナーのような勇ましさも漂わせている。それから、えーっと、あと誰だ。ビバルディっていなかったっけ?それともあれか、小林亜星?もしくはキダ・タロー?浪速のモーツァルト?

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バチバチに温まった。

帰り道、通りがかったコンビニに「おせち予約受付中!」とあった。
夏のど真ん中にスタートしたスタンプラリーだが、そんな季節になったか。

今から予約するようなおせちフリークはコンビニで買わんだろう、とは思った。

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