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札幌銭湯スタンプラリー2023のこと(その18・望月湯)

札幌銭湯スタンプラリー2023、18軒目は望月湯さん。

約1ヶ月前にお邪魔した際には臨時休業を喰らい、格好悪いふられ方となったので、リベンジである。

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この「札幌銭湯スタンプラリー2023」の記事は、訪れた銭湯の暖簾をヘッダー画像にしている(暖簾不使用銭湯を除く)。

使っている写真は借り物とかでなく、ちゃんと訪問した日に撮ったものだ。変なところに凝るたちなので、絶対に撮るのを忘れない。

目的の銭湯へ向かいながら「暖簾、暖簾、暖簾…」とアホの子のおつかいよろしく、小声で繰り返している。

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望月湯の暖簾は、シンプルかつ力強い。

私の知る限りにおいて、ほとんどの銭湯は端っこに「牛乳石鹸」とプリントされた、色合いも図柄も派手めの暖簾を使っている。そして多くの銭湯は、複数の暖簾を使い分けている。

どの湯がいつ、どういった暖簾を使っていたかを記憶することはないが、それでも「この暖簾、初めて見た!」とか「この暖簾、◯◯湯でも使ってたな!」とか、ささやかな楽しみにはなっている。

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牛乳石鹸暖簾はバリエーション豊富だ。複数の暖簾から、どうやって今日の一枚を選んでいるのか。

普段は寡黙な番台のご主人が「今日はどの暖簾にしよっかな~♪最近暑いから涼しげなこれにしちゃおっかな~♪」なんてやっているかと思うと、微笑ましい。初デート前にコーディネートを思案する男子高校生(童貞)みたいだ。

もちろんご主人なりのお気に入りがあって「いろいろ迷ったけど、結局いつも通りのこいつに決定!」と、毎回同じのになっちゃったりとか素敵過ぎる。

童貞男子高校生が、結局はお年玉で買った一張羅のSUPER LOVERSを選んじゃうのと同じだ。

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派手派手な牛乳石鹸暖簾もそんなわけで最高だが、黒地に白の「望月湯」もまた最高だ。なんと力強い。

どんなタイミングで洗濯しているんだろうか。
そもそも何枚あるのだろうか。

店先でタバコをふかしつつ、暖簾を眺めてあれこれ考える。俗にいう時間の無駄というやつだ。

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「望月湯」という字体がよい。大豊湯もオリジナル屋号暖簾を使っているが、丸みを帯びたフォントだ。それはそれで可愛らしいが、望月湯のソリッドな字体も悪くない。

そして黒地に白。nWoと同じだ。

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「アイ アム チョーノ エーッ!オイ番台 スタンプ押せオラッ!」
喚きながらスタンプ用紙を差し出した。

ご主人がTEAM2000のポーズを決めながらスタンプを押してくれたのを見逃さなかった(嘘)。

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久しぶりの望月湯。脱衣場のテレビでは甲子園の中継が流れていた。

望月湯と同じく豊平区にある北海高校が、大差をつけられての9回裏。

野球のことはよくわからないけれど、これは万事休すというやつだろう。
しかし君たちはカッコいい。甲子園なんて、そうそう行けるものではない。出場しただけで名誉豊平区民だ。

「俺、甲子園出たことあるんだよね〜」
合コンでそう語る未来は君らの手の中だ。

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私もそんな未来が欲しかった。でも、銭湯を巡ってスタンプを貰う人生も悪くはない。

それぞれの夏がある。プレッシャーと緊張から解き放たれた球児たちには、残り少ない夏を謳歌して欲しい。SUPER LOVERSとか着て。

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