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EDIBLE GARDEN:庭を食す ①はじめに

EDIBLE GARDEN (食べられる庭)ーーーその言葉を耳にするずっと前から、私はガーデニング用に植物を選ぶ際、食べられるとか、化粧品や洗剤などの材料として利用できるなど、観賞+アルファの楽しみ方ができるものを選びがちでした。

幼い頃、庭で採れたての胡瓜やトマトを食べたという幸せな体験への追憶がベースにあるのですが、この十数年の間、いくつもの自然災害や伝染病によって「日常」の概念が転覆し「非日常」と幾度も入れ替わる様を目の当たりにし、生きることや食べることへの考え方も変化してきたことが、理想の庭の方向性を決定づけたと思います。

「食べられる」という方向性が決まってから、一度振り切り過ぎたことがありました。短絡的に「畑やろう!」と意気込んで、電車で1時間かかる郊外の用地を借りるつもりで、見学に行きました。でも、何か(というか色々)違いました。

私が必要としているのは、住居から遠く離れなければ得られない畑ではなく、また、農作業のしやすさ重視で設計された、素朴すぎる土壌の景色でもありませんでした。食べ物が採れるだけでなく、ランドスケープとしての観賞価値があるもの、つまり食べられる庭(EDIBLE GARDEN)が理想なのだと気付きました。

この「食べられる庭(可食庭、と名付けることにします)」というコンセプト、ゼロから庭を作るという体験もいつか実現したいところですが、今回は、今ある庭をそのまま使います。この庭を「(ただの)庭」から「可食庭」に変えるために、食べられる物を探して、実際に飲食するという行為を通して、概念の後付けを試みたいと思います。(タイトルの「庭を食す」という表現には、そんな意味が込められています)。

早速、食材を見つけたので、食べてみます。(つづく)


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