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5歳の娘の吃音は突然、始まった。自分が愛されていることがただ申し訳なかった

娘が5歳の頃、お友達の家でのハロウィンパーティの帰り。突然声を出すことが難しくなり、自分でも驚いていたようだった。体を大きく反らせて思い切り声を出さないと喋れない。


そこから暫く、ほとんど話さなくなった。明るさがとりえの娘だったのに。保育園のハロウィンパレードの時、みんながワイワイする端っこでお化けに「トリックオアトリート!」の「ト」が言えなくて、大きく口をあけたのに静かに閉じて、うつむいていた顔が、今でも頭から離れない。

私は驚いて、小児科医のお友達に相談した。
内科を受診し、脳の異常がないのか確かめるための検査入院。入院の日、娘はすごくおしゃれをしていて。帽子をかぶってイヤリングまでつけて、お気に入りのユニコーンのぬいぐるみをどうしても連れて行くと。MRIのため今から全身麻酔なのに、浮かれて歌って踊ってやめない娘・・「遊びじゃないよ!」っていうと、「だ、だ、だって、ママママとはじめての2人でのお泊りだから」って言われて。力が抜け、涙が出た。こういうことの積み重ねで、苦しめてきたのかな。ごめんね。どんな状況でも自分が娘に愛されていることに、心から申し訳なかった。
※吃音の原因は解明されていなくて、親のしつけや態度に因果関係はないとされています。当時はそれを知らなくてただ自分を責める日々でした

脳の結果は異常なし。そこから少し、声が出ないことは落ち着いて、それでも話す時に繰り返しや引き延ばし、いわゆる吃音の症状が始まった。保育園児は無邪気なので、どうしてそんな話し方をするのか周りの子供に何度も聞かれた。真似もされた。
先生に頼んでクラスに説明してもらって、からかいや真似はおさまった。

吃音で多分珍しいケースだが、娘は年長で、すぐに自分の話し方がおかしいと自覚した。救いだったのは、話し方を気にするあまり、言いたいことを我慢する、ということはなかったことだ。喋りだしたら止まらない。いつも人を笑わせる人気者で、みんなに囲まれている。
言語聴覚士さんに2週間に1度お世話になりつつ、小学校に入り、新しい友達もできて、吃音を除いては元気に日々過ごしていた。そう見えていた、少なくとも私には。
次第に症状は進み、面白いことを思いついても、吃ることが怖くて言えなかったり、言い換えも3始まった。クラスでバカにされて悔しくて泣いて帰ってくることもあり、そのたびに私も影で涙した。日直が1人の時でも学校へ行くと言う。頑張ると言う。胸が痛かった。

吃音は、一般的に小学校中学年までに治るらしい。それまでに治らなければ、その後治る可能性はとても低いという。心にもやもやを抱えながら、何ができるでもなくその年齢になってしまった。

治療も3年をすぎ、ちょうどハロウィンも終わった先日、このままではいけないとふと思った。まだやりきっていないのではないか。後で何もできなかったと後悔するのは嫌だ。
全国どこへ通っても、そのために学校を休んだって、引っ越したっていい。そのあとの何十年の方が娘にとっては死ぬほど長い。
そこで、新たな言語聴覚士さんの模索が始まった。

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