遅いインターネット/宇野常寛

今、世界は未曽有の災厄に包まれているが、結局人類の多くは生きてアフターコロナの世界を迎えるだろう

よって、ノストラダムスに便乗して勉学をサボる学生の再演などしても意味はない

無論、出来得る限りの感染対策をすることを前提として、その先の未来も考えていかねばならない

そこで本書の出番だ

奇しくも本書をアマゾンで購入した直後に、著者と東京新聞との間に起きたトラブルを知った

悲嘆にくれることばかりだ

それでも、私は微力ながら著者を応援せねばならない

なぜなら、子供が生まれるのだ

私は我が子に胸を張ってこの世界を生きるに値するものだと言えないし、自分の生き方を我が子に誇ることもできない

唯一できることがあるなら、文化的資本の充実というやつだ

私は彼に積極的に読書を勧めることはしないだろう

でも、それなりの年齢になった時、ふと本棚を見て興味を持ってくれたら幸いな本を集めておきたい

自分が生まれた年がどんなだったか知った時、それこそ早いインターネットの最悪な側面に絶望するかもしれないが、同時に、こういう対案を提示した本があると知れば救われることもあるかもしれない

また、我が両親は本書に書かれているSomewhereな人々の中でも特に厄介な部類の人間だ

インターネットは使えないが、信じたいものだけを信じ、政治にカルト宗教のごとくコミットすることしか生き甲斐を見いだせない人々だ (数年前、母親に母性のディストピアを読むように勧めたが、絶対に読んでないし、娘からそんなタイトルの本を渡されることの皮肉にすら気づいていないだろう)

それでも、育児をするにあたって全ての授乳と全ての排便の処理を夫婦だけで行うわけにはいかないし、少なくとも子供を3人育てた実務能力には感謝も尊敬もしている

ならば、我が子がそういう価値観に毒されず生きるためのサポートをするのも親の役目だろう(レールは敷かない。あくまでサポート)

私は私で、旧態依然とした社会に甘んじてしまっている部分も多々あるが我が子に自分の価値観を押し付けず、臨月にやることリストに日アサと大河ドラマの録画と記載するような人間であり続けることで、早すぎる世の中に抗いつつ、自己幻想からの自立を目指したいと思った

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