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淡々と続く時間の中で



朝起きてお弁当を準備し、身支度をして、犬に朝ご飯をあげて出勤する。通勤路の新緑が輝いていたり、海辺がより一層輝いて見えたり、季節が徐々に進んでいることを感じる。

会社に着くと正午までの時間はあっという間で、昼食後は黙々と本を読む。相変わらず朝鮮戦争、済州、在日コリアンに関する書籍を読んでいるが今だにこの、こめかみの血管が震えるような想いの根源を掴むことは出来ていない。

午後もまた時々の休憩を挟みながら淡々と仕事をする。午後6時に会社を出るがちょうど空がオレンジ色に染まっている時間帯でとても気持ちがいい。この瞬間も、この季節だけのもの。昼間の暖かさが残る車で家路に着く。時々、思い出しながら。

帰宅後は、一日中褒められるのを待っていたような態度の犬をそれ以上に褒めてあげる。誰かと一緒にいてもその人からしか得られない安心感を求めるのは人間も動物も同じなのかもしれない。夕食を済ませてお風呂に入る。しっかりと湯船に浸かり身体を温める。その温かい体のまま、犬の散歩へ行く。まだ夜は冷えるが芯まで温まった身体にはちょうどいい冷たさだ。今日は月がまん丸だとか、星が綺麗だとか、ぼんやりと浮かぶ存在に伝えてみたりもする。もうしっかりした形はない、ぼんやりとしたものだ。

ひと通りの寝支度を終えて部屋に入る。何をするわけでもなく、大きく揺れることも無く、ゆっくりと眠りに向かう。1日が終わる感覚も最近はほとんど無い。ただ夜になったり朝が来るだけ。終わりなどなく、命が続いているような感覚。ただそこに生活が存在しているだけ。この体を借りて魂がある。

その繰り返しを生きている。

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