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僕の昭和スケッチ

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「僕の昭和スケッチ」は、昭和レトロを描いたライフワーク画集です。誰の心にもある遠い日の思い出を描いていければと思っています。毎週月曜更新予定(祝祭日を除く)。
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2021年5月の記事一覧

僕らはみんな漫画が好きだった/貸本漫画

 イラストエッセイ「僕の昭和スケッチ」78枚目 あなたは貸本屋って知っていますか? 読んで字のごとく本を貸す本屋さんです。 古くは江戸時代からあったのですが、1940年代末頃から月刊漫画雑誌を扱うようになり、間もなく厚表紙の豪華な単行本(月刊漫画雑誌に連載された漫画の単行本化されたもの)に加え、貸本専用漫画(大阪、名古屋等で生まれた貸本専門の漫画出版社から大量に発刊された厚手の雑誌/単行本)を取り扱うようになると、貸本ブームは一気に花開いたのです。 子ども達は「立ち読み

初めてのデートだった日/遠い日の思い出

 イラストエッセイ「僕の昭和スケッチ」77枚目 <画/もりおゆう©  原画/水彩 サイズF5> あなたは、初めてのデートって覚えていますか? 今日は、ちょっと恥ずかしながら僕の初デートの話し(⌒-⌒; )💦 僕は特にモテたという事は全くないけれど、初めてのデートは16歳で当時としてはちょっと早い方かもしれなかった。彼女は一つ年下の15歳(目茶若い)。 デートの場所に選んだのは、繁華街にあった個人経営のレストラン。 もちろん喫茶店に入っても補導される時代。 だから初デ

地蔵のいた街角/遥かな昭和

 イラストエッセイ「僕の昭和スケッチ」76枚目 「お地蔵さんって昔は何処にでもあったのに、いつの間にか見かけなくなりましたね…」 K君と言う私のテニス関係の友人が或る日僕にそんな事を言いました。 その言葉が妙に胸に残り、私は時々お地蔵さんのいる風景を描きます。 上の絵は、子供の頃実家のすぐ近くにあったお地蔵さんの記憶です。 母親に連れられてこのお地蔵さんの前を通ると、手を合わせて祈る事を促されたものです。 昭和→平成→令和と時が流れ、私達の生活は格段に豊かになりました

死人の出た家に舞う鴉/遠い日の迷信

 イラストエッセイ「僕の昭和スケッチ」75枚目 <「鴉の舞う家」 画/もりおゆう©  原画/水彩 サイズF5> 「死者の出た家の屋根には鴉が舞う」 これは僕が子供の頃に母親の在所の岐阜県黒野村に行った時に母親から聞いた言葉。 「あそのこ家では今日ご不幸があったんや…ご主人が今朝方畑で倒れんさって…そやで鴉が屋根の上にあんなに集まりよる…」 と母親が暗い空を見上げて言った。 もちろん、これは根拠のない迷信で、鴉が夕空に舞うのは珍しい事ではない。たまたま曇天の薄気味悪い

僕らはみんな忍者だった/昭和大ブーム

 イラストエッセイ「僕の昭和スケッチ」74枚目 <画/もりおゆう©  原画/水彩 サイズF5> 昭和を席巻した大ブームと言えば、やはり忍者ブームです。 隠密剣士、伊賀の影丸、忍者部隊月光、風のフジ丸、忍者ハットリくん、等々あげればきりがありません。 おもちゃ屋や駄菓子屋には、ゴム製の手裏剣や巻きびし等の忍者グッズがずらりと並んでいたものです。 けれど、僕ら貧乏ボーイズには中々手が出ず… それで、いきおいシャドウ、つまりマネが大流行! 手裏剣ごっこは、手の平を水平に