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僕の昭和スケッチ

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「僕の昭和スケッチ」は、昭和レトロを描いたライフワーク画集です。誰の心にもある遠い日の思い出を描いていければと思っています。毎週月曜更新予定(祝祭日を除く)。
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2021年1月の記事一覧

鉄くずを拾え!/昭和少年奮戦記

 「僕の昭和スケッチ」60枚目 <画/もりおゆう 原画/水彩 サイズF5> 今回は、お小遣いのとても少なかった…いや、まだまだ生活の苦しい家庭も多く、そもそもお小遣いなんて貰えない子もいた昭和少年達の奮戦記です。 もちろん、実際にあったお話です。 昭和30年の初め頃の事… 或る日曜日の朝、町内の誰かが 「鉄くずを拾って小遣いにしよう!」と言い出したことがあります。 (😅💦とても信じられない話しでしょう) 「学校の廃品回収の時に知った近隣の鉄くず回収業のオッサンの所に

雪降り積む夜/太郎を眠らせ…

 「僕の昭和スケッチ」59枚目 今日は僕の絵と共に三好達治の詩「雪」を紹介します。 太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ 次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ 三好達治は、昭和を代表する詩人の一人です。 たった二行の詩ですが、簡潔で無駄がなく、美しい一篇です。 僕は19歳の頃に東京のアパートの一室でこの詩を読みました。 大抵の若い人がそうであるように、僕も自分が何者なのかも、又何になりたいのかも判らずにいた…そんなころに読んだ一篇です。 *三好達治/昭和の詩人  処女

ひっそりと生きる/昭和庶民生活

 「僕の昭和スケッチ」58枚目 <画/もりおゆう 原画/水彩 サイズF5> これは、繁華街や工場地帯周辺によく見られた長屋・バラック等の路地裏の記憶です。 先週の記事で書いたように路上で女性が洗濯をしています。ただ、この絵のお母さんはタライではなく既に洗濯機を使っていて何よりです(笑)。 足元はまだまだ土の所も多く、狭い路地は入り組んで行き止まりの所などもありました。遠くにビルはあってもまだ低く、木造の建物の間からは空が見えた時代です。 みんな狭い住居に息を潜めて、

タライと洗濯板と石鹸の語る昭和物語

 「僕の昭和スケッチ」57枚目 <画/もりおゆう 原画/水彩 サイズF5> 電気洗濯機が登場する前までは上の絵のようなものが洗濯道具でした。 石鹸は大振りの固形石鹸で、戦後の劣悪なヤミ石鹸の時代を経て、本格的に廉価な石鹸が普及したのは1950年代中盤頃からと言われています。その一翼を担ったのが、かの「花王石鹸」でした。今のような粉石鹸に代わるのはその後、電気洗濯機の普及と共にです。 洗濯板やタライ…これももう使っている人は殆どいないでしょうね。ドリフターズのコントで金

昭和の電化製品/女性を解放した洗濯機

 「僕の昭和スケッチ」56枚目 <画/もりおゆう 原画/水彩 サイズF5> 昭和の時代に電化製品の三種の神器として擧げられたものは、テレビ、冷蔵庫、洗濯機です。 これは、マスコミのキャッチコピーですが、私はこの3つを並列に置く事に何時も違和感を感じます。 テレビは、文化生活を豊かにしたもの。冷蔵庫は食生活を豊にしたもの…、それは間違いのない事です。よく判ります。 しかし、洗濯機の登場は「何かを豊にしたといった生易しいものではない」、と私は思います。 冬期には出来るだけ