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私の妊活日記 ~ステップアップ~

自分の妊活に向き合おうとすればするほど、気持ちが重くなる。
私の周りにも妊娠まで5年かかった、10年かかったと話をしてくれる人がいる。
5年かかった先輩いわく、自分に原因があると先生に告げられたときは心臓を撃たれた気分になったそうだ。
きっとおそらく長くなるのだろうと予想はしているものの
その長期戦に向き合うための"覚悟”というまで心構えはまだできていない。


これまでの2度にわたるフーナー検査の結果に予想されるように、
夫の精液検査の結果はすこぶる悪かった。

タイミング法だけでは妊娠は望めないけれども
ただ、幸いにも全く精子がいないという訳ではなく
すぐに人工授精にステップアップしましょう、と先生からの勧めがあった。
併せて、私の卵管の検査結果にも多少の問題があったため
人工授精の前にFTと呼ばれる簡単な手術を受けることになった。

精液検査をしてから、事が急に進みだした。
これで少しでも前に進めると思って、一筋の光が見えたように思った。
具体的な治療、というイメージがしたからかもしれない。


後日、FT手術つまり卵管鏡下卵管形成術という日帰り手術を受けた。
日帰りだからそんなに大したことないとは思っていたけれど、静脈麻酔で無意識のまま寝て起きたら終わっていたという感じだった。
ただ同じ日に手術を受ける人が他に2名おられて、それぞれ帰るときにはご主人や親御さんが迎えに来られていて1人で帰るのは私だけだった。

看護師さんに何度か「どなたかお迎えは来られますか?」と聞かれて、その度に「いえ、1人で帰ります」と答えていくうちに
平気だと思っていたはずが、心細くなり帰り道には何だかお腹も痛いような気がした。


私も同じ仕事をしていたからこそ、夫の仕事については他人より理解している。
私自身も日帰り手術で大したことはないと思っていたし、まさか仕事を早帰りしたりできるはずもないので
夫には「今日行ってくる」と伝えただけだった。

仕事が忙しい時期にも重なっていて、その手術当日の夫の帰宅は夜11時を過ぎていた。
帰宅してすぐは、痛くない?大丈夫?と声をかけてくれたものの
夕方から一通の連絡もなく、おそらく早く帰る努力もしてないんだろうなと感じた。

今から振り返ってみれば、迎えに来て欲しいとも早く帰ってきて欲しいとも伝えた訳ではないので、仕方ないのかもしれない。
”察してほしい”が女性の我が儘であることは、随分学んできたつもりである。


こうして準備をした結果、いよいよ人工授精の当日になった。
朝、自宅で精液を採取してクリニックに向かった。

人工授精用に精液を処理して、30分ほど待って診察室へ。
そこで先生に言われた一言で、私は初めて撃たれた。

「前回の精液検査の結果より精液の状態がかなり悪いので、今回は人工授精はキャンセルしますか?」

まさか、そんな展開になるとは全く考えていなかった。
思考が止まったような気がした。
少し考えさせてもらうために診察室を出た瞬間、涙が出た。

ああ、やっぱり妊活って難しいんだな
時間がかかるものなんだな
妊娠するってすごいことなんだな


仕事中の夫に電話して、可能性は低いと分かっているけれど
とにかく人工授精は実施することにした。

ここから先は、外受精あるいは顕微授精もかんがえておいて下さいという展開になった。

本当に急展開。
私たち夫婦の場合は、あっという間にステップアップすることになった。

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