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映画『映画大好きポンポさん』がとにかくカッコよかったんだ!/ネタバレなし感想

これはある映画関係者の方が投稿した「【全部俺】映画に関わるいろんな人を演じてみた」という感じの動画です。楽しく見られる動画で大好きなんですが、改めて映画は多くの人が集まって制作している事を思い知らされます。言うまでもなくすべての人に役割があり、その才能が集まる事で映画がつくられています。映画『映画大好きポンポさん』はそんな集団創作たる映画に人生を賭けた、いや、取り憑かれた人物たちの熱い物語でした。

全員かっこいい

映画制作を題材にしたこの作品にも冒頭で紹介した動画のように多くの役割の人が出てきます。そして、この映画では、なんと、全員がかっこいいのです。

雑な言い方をするんですが話を進めるために存在する悪者っているじゃないですか。恐竜映画であれば「へ!恐竜なんか怖くないぜ!」とか言って単独行動をする人とか、ビジネス映画であれば「へへへ…あいつを出し抜いてやるぜ…」とか言って道徳に反する行動をする人とか…。いなくてもいいんだけれど、その人がいることで話が進むというような…。

まず、そういった仕掛けがありません。全員良いやつ。全員かっこいい。ただひたすらに映画に向き合う。映画をつくると決め、準備をし、撮り、編集をし、発表をする。そのために各人物が動き、考え、悩み、ぶつかり合ってひとつのものをつくる…そんな過程を純粋かつスリリングに楽しめるのがこの映画なのです。本当に気持ちがいい。

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かっこよさとは?

ではそのかっこよさって何かと言うと、もうそれはずばり私情の挟み方です。全員が割と好きな事をやります。言います。

ポンポさん(プロデューサー)「自分の直感を信じなくて、どうやって映画を撮れっていうのよ」
ジーンくん(ディレクター)「このままじゃ、僕の映画じゃなくなってしまう…!」
コルベットさん(先輩ディレクター)「自分が届けたい誰かひとりのために映画を撮るんだ」

※思い出しながら書いているのでディテールが違ったら申し訳ないです。

セリフを抜粋してみましたが、かなり個人的な事を言っています。「直感?僕の映画?自分が届けたい誰か?…いやみんなでつくってるんでしょうが!」と思う人もいるかと思います。ただ、これ、かっこいいのが、制作に携わる全員が同じように好きなことやる、って事なんです。ひとりだけこの状態だと独裁というか、ワンマンなチームになると思うんですが、全員が言いたいこと言えるチームは素敵です。撮影の現場でも「ああしたい」「こうしたい」とみんなが言います。監督だろうと、役者だろうと、技術スタッフだろうと、です。めっちゃかっこいい。幸せな現場。

映画とは誰のものなのか

自分のやりたいことを仕事にのせたいと思うこと。それは仕事へのコミット、モチベーションの高さとも言えます。映画は一般的に監督のものだと言われる事が多いかもしれません。ただこの作品では色々なスタッフが「自分のもの」として作品に関わる姿が描かれ、心が打たれます。

私が『ポンポさん』で一番好きだったのがここでした。みんな良い感じに私情を挟む。自分の想いをのせる。それは自分の過去と今している仕事が繋がる瞬間であり、いつか誰かにそれが届く可能性でもあります。

だから私情や想いを載せられる仕事は幸せなんです。一緒にその仕事をしている誰かの私情と絡み合い、高め合い、予想を超えるなにかに成長してしまう事があればなおさらに!

そんな仕事が、映画制作という仕事が、本作では描かれているように思いました。『ポンポさん』はクリエイターに向けて、映画好きに向けて…と言われている事が多い気がしますが、そんな事言わずにぜひもっと多くの人に見てもらいたい!きっと刺さるものがあるはず!

おまけ

原作やパンフレット内でキャラクターを紹介するに当たって「好きな映画を3つ言う」という手法が取られています。例えば主人公のジーンくんは『スティング』『ファイト・クラブ』『タクシードライバー』です。

これめちゃくちゃ人間性出ません?考えぬいて出した「3つ」というのが色々と物語るものがあり…自分を紹介するという手法としてもおもしろいと思っています。皆さんなら何をあげますか?ちなみに私は『マインド・ゲーム』『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』『レオン』です!あー!どんな人間だと思われるんだろうこのチョイスだと!

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