そのくつわはずっしりと重くて冷たかった。こんなものをもし歯のあいだにはめられたら、たしかにいろんなことを早く覚えるに違いない。それがぎゅっと引っ張られるのを感じたら、それは時が来たということなのだ。そしてこれから何処かに行くのだということを知るのだ。 轡/レイモンド・カーヴァー
余白の白は、墨に対立するということがない。 ただ無為の深まりを示すばかり。 篠田 桃紅「これでおしまい」より
まもなく、会期が終わりを迎えるイサム・ノグチ「発見の道」(東京都美術館)を、行こう行こうと思いつつ、ギリギリ滑り込みで鑑賞してきました。 私が20代の頃から、勝手に人生の節目節目にイサム・ノグチに出会うと感じていて、(同年代の方はきっとそう感じられる方、多くいらっしゃるかと思います笑)ちょうど、イサム・ノグチが大地を彫刻したと言われる札幌モエレ沼公園が完成してすぐに札幌へ行く機会があり、その圧巻のランドスケープに感動したことを覚えています。 初めて、イサム・ノグチを知った
【孤独の影】 孤独というものが、私の生きているかたち。すべてです。つくったものは、わたしの孤独の影です。 篠田桃紅 「人生は一本の線」より
本こそが、もっとも完璧なメディアである。今回、読み終えた(いろいろと併読しているので、つぶやきと前後してしまいすいません。。)本書「失われたいくつかの目録」ユーディット・シャランスキー著(細井直子 訳)は、 海に沈んだツアナキ島、絶滅種カスピトラ、不死身の一角獣、年老いたグレタ・ガルボ、サッフォーの恋愛歌、マニ教の7つの聖典、キナウの月面図…。自然、歴史、文学の魅力を詰めこんだ、「喪失」をめぐる12の物語。 と続けて本の帯に紹介されています。本の帯に銘打つ言葉通り、本書は
「迷惑をかけたくない」という日本独自のコンセプトは、一見、他者を慮っているようで、そうでもないのだろう。人を煩わせたくないという感覚は、ここに書かれている通り、人にも煩わされたくないという心理の裏返しだからだ。 「他者の靴を履く」ブレイディみかこ著 より
秩序を乱す人々の中には、その秩序の欠陥を他の人々より強く感じさせられていたり、その欠陥の犠牲になって苦しんでいる人がいるのだということを、現存の秩序が必要だと思っている人ほど肝に銘じておかねばならない。 「他者の靴を履く」プレイディみかこ著 (本中 渡辺一夫氏エッセイより引用)
読書中。あとで感想をまとめたいのですが、 とても心に残ったキーセンテンス。 他者の靴を履くことができる社会をつくるには、 自分たちが自分にかけられた呪いを解く必要がある。 「他者の靴を履く アナーキック・エンパシーのすすめ」ブレイディみかこ著
時の試練を経た古典は、その多くが現代に通じる、 いえ、普遍的な人間の営みに通じるエッセンスを持っているので、 読み手が生きてきた中で得た必須の概念に響くのだと思われます。 もちろん、歴史的に繰り返し起こる事象に対する知恵、 未来予測としても有益なことは言うまでもありません。 今回は、特に新刊ではありませんが、 自分の生きる国の文化にもっと関心を持っていきたい、という (まだ持っていなかったんかい、といわれてしまいそう) 気持ちから、土屋恵一郎 著、「世阿弥 風姿花伝」を見