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あの頃の私を抱きしめて

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まず、この告発の目的は2つ
・小学生の頃に受けた痴漢被害を知ってもらうため
・今後自分のような被害者がでないようにみなさんと一緒に対策を考え、教育機関に訴えかけていきたいため

記事を読んだあとに反応をしてくださったり、子ども同士の性被害防止のために一緒に声をあげていただけると嬉しいです。

性被害までの成り行き

私が3年間痴漢を受け続けるようになったのは、まず″目をつけられる″ところからはじまりました。

新入学生が学校に慣れるように、また在校生と仲良く触れ合えるようにとの名目で「鬼ごっこレクリエーション」をしました。逃げる人は1年生、鬼は4年生。男子上級生が私にタッチしてきたとき、その手が胸に当たりました。すぐに不快感を感じましたが、激しく逃げ回っている最中なので偶然に胸に当たるのは仕方なかったんだろうと、しょうがないですませました。しかし何回も鬼がタッチしようとしてくるたびに胸元を狙っているのがわかりました。これにはさすがに「たまたまじゃない、わざと狙っている」と感じましたが、3歳年上のがっしりとした男の子に「やめて」と伝えたら逆上されるのではないかと思いました。ただでさえ入学してすぐだったので、小学校の雰囲気もわからず緊張していて、担任の先生に伝えることができませんでした。

次の日、胸をタッチしてきた男子上級生がいるグループと廊下で遭遇しました。「おっ!」と声をかけられて、私は反射的にニコッと笑って会釈したのを覚えています。これが相手に「この子はOKなんだ」と思わせてしまった引き金でした。5人組の上級生男子グループがにやにやしながら、なにかヒソヒソ話した後立ち去って行きました。私のことを噂されているようで不安と不快感を覚えました。

笑って会釈をしてしまった日から、私の学校生活は一変しました。休み時間になって教室を出ると、男子グループが待ち伏せをしていました。通り過ぎた瞬間にお尻を触られました。私はまたしても「偶然手が当たっちゃったのかな」と思うようにしました。小学一年生のときはまだ性的な意味なんてわからないし、身体の一部に手が当たったという不快さと恐怖しかありませんでした。主犯格の男子はがっしりして大きかったのもあり、くわえて上級生の男子グループの威圧感から「なんで触るの」とも言えません。

それからすれ違う度にお尻を触られるようになりました。目の前からグループがにやにや内緒話をしながら自分に近づいてきて、すれ違いざまに手を伸ばしてきました。触るのはいつも主犯格のがっしりした男子のみでした。

目の前にその男子グループが見える度に心臓がバクバクして冷や汗をかいて、早歩きになりました。しまいには上級生のいる廊下を通るだけで、また会ってしまうのでは無いか、目をつけられてしまうのでは無いかとビクビクするようになりました。

痴漢をされた中でもいちばん苦痛だったのは、クラスの列で移動している最中に触られたことです。列を乱すわけにはならないので、上級生グループから距離を取ることもできません。前と後ろには友達がいて、私がお尻を触られるところを見たらどうしようと怯えました。もし痴漢されてるところを見られてその場で騒がれたら?先生に話されてしまったら?私は上級生グループに逆上されてしまうかもしれないし、先生が上級生に叱りに行って私が恨みを買うかもしれません。

小学生のときは、痴漢をされている自分が惨めでしたし、お尻を触られていることに抵抗できなかったのもあり、担任の先生に言ったら「あなたがえっちだから抵抗しなかったんじゃないの」という反応を恐れていました。小学生一年生の頭では、お尻や胸が性的なプライベートゾーンだということは理解していなくてもエッチな部分だとは知っていました。その頃の私は「お尻を触られている私もえっちだと思われてしまう」と感じていて、先生に相談もできませんでした。また、担任の先生が男性教諭だということもあり、話しにくい面もありました。

痴漢を何回も受けるようになると、私は相手のパターンを学習するようになりました。「いつも給食が終わった昼休みに廊下で待ち伏せをしてる」と覚えるようになり、昼休みに廊下に出たがらなくなりました。しかし学校の目標として「天気のいい日は必ず外で遊ぼう」と、児童が校庭で遊ぶことを強制されていました。必ず廊下を通って校庭に行かなければならないため、苦痛でした。昼休みになる給食の時間に「給食が食べ終わったら上級生が来る前に校庭に行く。もし待ち伏せされていたら先生が教室を出るタイミングと同時に行く。」と、頭の中で何度も何度もシュミレーションをしました。

そのうち、給食の最中に痴漢される場面が頭に巡るようになり、給食が食べれなくなりました。給食全員完食がクラスの目標になっていて、残せば周りから責められることはわかっていたので押し込むようにして味のしなくなったご飯を飲み込んでいたのを覚えています。日に日にそれも難しくなり、完食ができなくなってトイレで嘔吐しました。痴漢がフラッシュバックして給食が食べれない、でも完食しなきゃ責められる、無理に食べて嘔吐する。この繰り返しでした。小学一年生ながらにしてストレスで嘔吐するまで追い詰められるようになりました。

さらに家に帰れば、暴言を吐かれる、殴る、外に出されるなどの虐待も重なっていた時期だったので、どこにも居場所がありませんでした。

以下はその虐待の記事になります。

小学2年生になって、痴漢の相手も小学五年生になりました。その1年間もすれ違う度痴漢は続きました。その年に一番怖かったのは、女子トイレから出てきたときに目の前に上級生グループが立っていたことです。逃げ場もなく、これからどうなるのか恐怖でうずくまりました。さすがにこの状況を先生に発見されたらまずいと思ったのか、上級生グループは逃げるようにして立ち去りました。

小学3年生になり、痴漢の相手が小学六年生になった頃でした。やっと相手が卒業していなくなる、やっと恐怖から解放されるという言葉にできない気持ちがありました。卒業式になり最後に痴漢の相手と目が合いました。そいつが最後に私に言ってきた言葉は「じゃあな!俺も楽しかった!」。私が痴漢の相手から初めてきちんと話しかけられたときでした。

家に帰ってから言葉を再生して、3年間ではじめて怒りが心から湧き出ました。泣くほど嫌だったのに、給食が食べれなくなるほど怖かったのに、学校を休むくらい苦しかったのに、相手には「楽しかった」と捉えられていたのか。相手は楽しんで私をここまで追い込んだのか。その夕方はご飯も食べずに自分の部屋にこもり、涙が止まりませんでした。

性被害の後遺症

痴漢やレイプなどの性被害を受けた人は、性被害を受けた回数や期間に関わらず、精神的な後遺症が残る場合があります。

例としてはPTSD(Post Traumatic Stress Disorder)という、心的外傷後ストレス障害があげられます。これは強烈なショック体験や強い精神的ストレスが、精神的なダメージとなって、時間が経っても強い恐怖を感じます。

私も被害当時のフラッシュバックに悩まされた一人です。不全機能家庭だったため、被害を家族に相談できなかったこともあり、病院には受診しませんでした。

痴漢をされた廊下を通るたびに、主犯格の上級生がいないか周りを見渡すくせがついてしまいました。自分が周りを見渡す仕草をしていると意識した瞬間に、被害当時の恐怖や光景が浮かびます。小学5年生になっても、私はその場で座り込んでしまうことがありました。

中学校に進学し、ガタイのいい先輩男子のグループがたむろっている場面でも当時の被害が思い出されました。反射的に怖いと思ってしまいます。高校生になった今でも男子グループがたむろっている姿に強い威圧感を感じるときがあります。

痴漢の時効は何年?

痴漢の公訴時効の年数は、迷惑防止条例違反で3年です。つまり私は小学生のうちに被害届を出さなければなりませんでした。そのころにはまだ、性的同意年齢にもいたっていません。つまり、私が被害届を出すべきだった年齢は、まだ性的なことが何を意味するのかを理解すらできない年齢であったということです。

幼い頃の性被害を″性″被害だとやっと認識するのは大人になってからだったという人もいます。他の部位を触られるよりお尻や胸を触られることが何か違うと知っていても、それが性加害であるとは理解できません。そんななか、性がなんなのかわからない児童を切り捨てる″3年″という時効。

私は小学生の恐怖経験が性被害であるということに、高校生になってやっと気付きました。フェミニズムに触れ始めて、プライベートゾーンを同意なく触ることは性加害だということを知りました。

私がそれを知ったときには遅すぎたのです。

痴漢被害から8年経ち、性被害を性被害だと認識して1年。現高校2年生の私が今からできることはなにがあるのでしょうか。弁護士に相談する?依頼する?

幼少期から殴る蹴る外に出す等の虐待をされてきて、つい最近児童相談所の施設で3ヶ月近くも暮らすようになった私に、親は弁護士の費用を出してくれるとは全く思えません。子どもを愛さない親は、子どもの傷をどうにか癒そう、お金をかけてまで支えてあげたいという心はありません。

大学受験を目の前にしながらも受験費や入学金もままならない私には弁護士に依頼する金銭的余裕はありません。楽しみに過ごせるはずだった小学校生活の3年間と性被害の後遺症に悩まされた日々はもう戻りません。このまま失われた日常を取り戻すことももうないのだと思うと、悲しくて辛くて涙がでます。

子ども達を守るために

これからの子ども達を性被害から守るためにはどうすればいいのでしょうか。

・幼稚園/小学校からの性教育を
性教育と言っても、生殖や男女の身体の違いを教えるだけではありません。相手のプライベートゾーン(水着で隠れるところ)を触らない、同意とは何か、という相手を尊重する教育です。私に「楽しかった」と言い去って行った加害者の男子児童は″プライベートゾーン″や″同意″を知らなかったはずです。

・時効の引き上げを
児童同士の性被害に関わらず、子どもにはプライベートゾーンを触ることが性的な意味を持つことがわかりません。そのため、痴漢を″性の″被害だと捉えることが難しくなります。性を知ったときには時効が過ぎていたなんて悔しい思いをしてほしくはありません。痴漢を迷惑行為防止条例から除外し、強制わいせつとして扱うべきという意見もあります。

・児童が相談しやすい環境を
今回のケースでは、家庭内で虐待が起きていたために親に相談できず、担任に相談することで被害が家庭に知らされてしまうのではという懸念から相談を躊躇う場面もありました。担任に話せる環境を作るのはもちろんですが、その他の窓口として保健室の先生やスクールカウンセラーなどとコミュニケーションがとれる環境を作っておくことも重要です。

最後に

ここまで、長い告発文を読んでいただきありがとうございました。一人でも多くのかたに子ども同士で性加害や性被害が起こり得ることを知ってもらいたいです。その他の意見がございましたらリプライ、引用リツイート等して頂き、議論の場にしてもらえると嬉しいです。

私も1人の性被害者として声を上げることに決めました。
#MeToo #WithYou #フラワーデモ


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